光AU(警察)VS闇AU(マフィア)です
相変わらず推しは右固定
にわかなので勉強不足な所がありますが、その時は優しく指摘して下さると嬉しいです
このシリーズに含まれる予定のCP一覧(増やすかも)⤵⤵
キラホラ、マダホラ
クロメア、ドリメア、スワドリメア
インエラ、ラスエラ
◇◆◇◆◇
グチャ…ガシュ…
白いタイルが敷き詰められた部屋で、ホラーは斧を振っていた。
「今日は多いな…」
ガシュッ!と勢いよく振り上げ、切断する。顔に真っ赤な血が数滴散った。着用している白いエプロンはペンキで塗ったかのように真っ赤だった。
「あ?……アイツら…!殺すんなら綺麗に殺せよ!これじゃあ右足は売りに出せねぇじゃねぇか!」
顔を顰めるホラーの両手には、先程切断された右足と左足がそれぞれ握られていた。既に息を引き取った人間の足。一般人が見たら余りのグロ画像に卒倒していただろう。
ホラーは所謂後処理人だった。
ホラーの家族は(言ってもホラーと弟しか居なかったが)経済的に厳しく、ホラーは弟に飯を食べさせるために日雇いの仕事をして食いつないでいた。そんな生活に慣れた頃、ナイトメアと呼ばれた男に後処理人として何故かスカウトされ、生活は一変した。
高い給料に血生臭い仕事。明確なことは分からないが、ナイトメアが只のお偉いさんでは無いことは分かっていた。
既にあの世へ行った人間の解体。誰もしたがらない仕事故か給料が高く、それをしていく過程でイカれたコレクター向けに目や腕、頭蓋骨を売る為それの代金の四割程を追加で貰える事もある。今日の仕事もこれだった。
左足はゴツゴツと逞しい筋肉で覆われいるが、右足はナニかに数度貫かれたらしく所々に穴が空いており、とても綺麗とは言えない。
はあ…と思わず溜息をつく。アイツらがやった仕事は何時もこれだ。
「なあに溜息付いてんの?」
「……何処ぞのサイコ野郎のせいで貰える額が少なくなったもんでな」
「あっは!言うじゃん!」
真っ黒の瞳から黒い液体を滴らせ、ホラーの背後に立ったのはキラー。ナイトメアの部下の1人で、主に殺しを生業としている。
今日の売りに出せないヤツもキラーが殺した者だ。優秀な奴だが仕事は杜撰だった。
「キラー、お前はもうちょっと傷付けずに殺せないのか」
「えー?ウチを裏切ろうとしたヤツを?わざわざ傷付けずに?」
「裏切ろうとしたヤツ…?」
「ん?あー、そういや聞いてないんだっけ?」
ま、気にしなくていーよ!とおどけた口調でキラーは笑ってみせた。
ホラーは只の後処理人だ。ナイトメアに雇われてはいるがナイトメア率いる組織に入っている訳では無い。そのため3年間仕事についていても知らされる情報は極わずか。
余計な事を考えず、ただただ人間の解体をしていくだけだ。
「気になる?」
「ぇ、」
何時の間にかすぐ近くに居たキラーにタイルの張り付いた壁へと押し当てられる。
「ヴっ」
「ホラーが何でも言うこと聞いてくれるなら教えてあげるけど?」
空いた足と足の間に右足を滑り込まされ、足の付け根の部分を刺激される。キラーの言う「何でも」が何を指すのかは今迄の経験から簡単に察しがつく。瞳すら見えない真っ黒な瞳孔には確かな情欲が見えた。
駄目だ。コイツに流されてそんな過ちをする等情けなくて弟に顔向けができない。そんな思いに反して、自身のソウルがドンドン下へと向かっていく。
「…や、めろ!」
「え〜?何で?気になるんじゃないの?」
「ひ、ぁ!足、やめっ…!」
「どうせ誰も来ないんだから良いじゃん」
依然として腕を離さないキラーに本格的に焦り始める。腕力は正直言ってホラーの方が数倍強いが、自身を雇っているナイトメアの直属の部下だ。手を出したらクビになるかもしれない。それだけは避けたかった。
コイツに流されるのは嫌だ。でも抵抗する術がない。残された選択肢はもう1つしか無かった。
ホラーが諦めて目を瞑ろうとした時───
──「残念。俺が来たから終いだな」
何時から居たのか。フードを被ったスケルトン、マーダーがキラーの腕を掴み睨んでいた。
「マーダー!?」
「チッ……もう帰ってきやがったのかよ」
驚き目を見張るホラーと顔を顰めるキラー。そんな2人にマーダーは嘲笑しながら話し出した。
「ナイトメアへの報告が早く済んでな。来てみたらこの有様だった訳だ」
「ちぇっ。ちょっとは空気とか読めよ」
不機嫌そうに肩を竦めるキラーに対してホラーは安心に胸をなで下ろした。危うく本気で大切なモノを失いかけたのだ。マーダーへの恩は計り知れない。
まあこの事依然にマーダーからは度々飯を奢ってもらっているので今更なわけだが。
「助かったぜ…ありがとなマーダー」
「おう。そういやホラー、ナイトメアが呼んでた。直ぐに来いだと」
「え?ナイトメアが?俺何かやらかした?」
「さぁな」
正社員では無いホラーへのナイトメアからの呼び出しは珍しい。偶に『仕事はどうだ?』と気まぐれに連絡をしてくる事はあるが、呼び出しは中々無かった。
まさかクビか?嫌な想像をして背骨に冷や汗が伝う。
「ホラー?早く行かないと怒られるよ?あ、怖いんなら俺と一緒に行く?」
「ひ、1人でいける!」
キラーの軽口に、弾かれたように走り出す。流石にまたキラーと2人きりになる度胸は無い。次2人きりになって本気でヤられる等絶対にゴメンだ。
「…行っちまったな」
「にしてもナイトメアが呼び出すとか珍しいじゃん。何かあったの?」
「ここんとこ”アイツら”の動きが活発になってるんだとよ」
「うへぇ…マジか」
キラーが顔を顰め苦々しく言う。マーダーも面倒くさそうにフードを被り直した。よっぽどマーダーの言った”アイツら”が苦手らしいが、闇AUに所属している者にとってはそれは共通認識だった。
◇◆◇◆◇
「ええっと…エレベーターエレベーター…」
闇AUの本拠地は表向きでは普通の会社を装っている為、外観は他の会社と大差無いが内装は(恐らくナイトメアの好みである)黒等の暗い色で均等されている。社内は兎に角広く、正社員も目的の場所に辿り着けない事がある。モチロン階数も半端なく、エレベーターを使わねば社長室まで汗だくで行く事になってしまう。
「………社長室って何階だっけ?」
正社員ですら迷子になる構造の社内で、正社員ですら無いホラーは当然迷った。
うーんうーんと唸っても迷っている事実は変わらない。『直ぐに来い』とナイトメアに言われているのに…こんな事ならマーダーと来れば良かった。
「はあ…どうするか……」
『おイ、何しテるんだ』
「うおっ!?」
後ろのノイズがかった音声に驚いて飛び退く。思わず振り向けば、後ろに黒色のドローンがフワフワと飛んでいた。
「エラー!?」
『デ?何シてるんダ』
「えっと…ナイトメアから呼ばれてるんだが、階が分からなくて……」
『はア…呆れたナ』
「ヴッ…すまない……」
『たク…社長室は30階ダ』
「あ、ありがと!」
エラーに感謝を告げ、早速エレベーターに乗り込み30階を押す。扉が閉まる前、ホラーはフワフワと飛ぶドローンに手を振った。
ホラーはエラーに会った事は1度も無い。それはホラーが正社員では無いから、と言う訳では無い。闇AUの正社員達もキラーもマーダーも秘書のクロスも、もしかしたらナイトメアですら実体のエラーに会った事は無いかもしれない。
エラーは闇AUの情報屋だ。もっともエラーもホラーと同じ闇AUの正社員ではなく、利害の一致関係で成り立っている。
『本当二……不憫だナ…俺もお前モ』
こンな事に巻き込まレるなんテ。とエラーは誰も居なくなったエレベーターの前で人知れず呟いた。
◇◆◇◆◇
「遅い…何をグズグズしていた」
「ヴッ…す、すまない」
黒革の椅子に座ったナイトメアは目に見えて不機嫌だった。細い指で長机をトントンと苛立ち気にノックしている。
「はあ…まあ良い。お前に1つ大事な事を伝えなければ行けなくてな」
「大事な事?」
「クロス、資料を」
「はい」
ナイトメアの秘書であるクロスが何やら書かれている資料の束を渡してきた。資料には少々ボヤけているがホラーと同じくスケルトンの顔写真があり、その隣に写真のスケルトンの特徴等が書かれていた。他の資料も同じ感じでどうやら解雇通知では無いらしい。
「えっと…これは?」
「コイツらに会ったら逃げろ。口を聞くな。コイツらの言葉に耳を貸すな」
「え?何で?」
「コイツらはウチの敵でな。お前にも接触してくるかもしれない」
「へー……」
毎日の様に死人が出る仕事をする組織の敵…警察か?いやでもそれなら『警察には会うな』とかで良いんじゃないか?何でわざわざこんな資料まで作って…ホラーは思わず頭を捻った。
「よし、分かったのなら戻っても良いぞ」
「あ、うん」
ナイトメアの言葉に言われるがまま、ホラーは仕事場へ戻ろうと踵を翻した。が、
「嗚呼、1つ忘れていた」
シュルッとナイトメアのコートに隠れていた触手が、ホラーの体へ巻き付く。
「な、何!?ナイトメアっ!?」
「辛いかもしれないが我慢しろよ?」
「むがっ!?」
口にナイトメアの触手が侵入してくる。触手の味は苦くて辛くてとても美味しいとは言えない。
そうしている内にナイトメアはどんどん喉の奥へ奥へと触手を侵入させてくる。
「んぐっ…」
───ゴリッ
「ご、おッ!?」
喉の奥。ナイトメアの触手に混じって、ナニか感じる。大きさは親指位。硬さは金属。
ナイトメアはそのナニかを触手で握り、ホラーの喉奥へ押し当てている。
(コイツまさか…飲ませようとしているのか!?)
ホラーは万年腹ぺこだがそんな得体の知れない物を飲み込む度胸は無い。もし飲んで喉に詰まったらどうしてくれるんだ。そんなホラーを意に返さず、ナイトメアはドンドンと触手を奥へ押し付け、さっさと飲めと催促してくる。
「はあ…」
「…んぐ?」
何時までも飲もうとしないホラーに呆れたのか、ナイトメアが触手を引っ込める。助かった?と安堵に息を吐くも、その次の衝撃でホラーは目を開いた。
──ゴリュウッ!
「あ”、がッ!?な”、なん”ッ」
「ヒヒッ…お前が素直に飲み込まないからなあ……ソウルにブチ込むしかないだろ?」
モンスターの命の象徴であるソウルにナニかが無理矢理推し入ってくる。慣らしもせずこじ開けられ、ホラーは痛みに悲鳴をあげた。
涙の膜が出来て霞んだ視界の中、コチラを不憫そうに見ているクロスと目が合った。そんな哀れそうに見えるんなら助けて欲しいものだ。
「はぁ…はぁ…」
「ヒヒッ…全部入ったな。もう良いぞ、戻れ」
「んのヤロ…!…言われなくても戻るよ!」
触手を漸く引っ込ませたナイトメアに軽く睨みを聞かせながらホラーは社長室を出ていった。
「良いんですか?先輩」
「何がだ」
「ホラー先輩に教えてあげなくて」
「ハッ…アイツは大丈夫だろ」
ナイトメアは変わらずニヤニヤと笑みを浮かべ、クロスはそんなナイトメアを横目にこれから起こるであろう”戦争”に思いを馳せた。
◇◆◇◆◇
今日はこれで終わりです
気が向いたら続き出します
コメント
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続きほしい
楽しみ〜〜!