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浮気
🎲
青桃⬅️青水有
浮気パロ
nmmn
頬をそっと撫でる。
隣のベッドはもう冷たくなっていた。
まろの匂いが残っているはずのシーツは、昨夜から一度も温もりを帯びていない。
「…また遅かったんだな」
俺は独り言のように呟いて、ゆっくり体を起こした。
スマホの画面には、既読がつかないままの昨日のメッセージが並んでいる。
『今日も遅くなるかも。ごめんな、ないこ』
既読はついたまま、返事はない。ため息を一つ落として、キッチンへ向かった。
冷蔵庫を開けると、まろが買ってきたらしいプリンがまだ三個残っている。
賞味期限はもうすぐ切れる。
「…食うか」
スプーンを手に取ったけど、結局一口も食べられず蓋をしたまま戻した。
いれいすのスタジオ。
いつものように皆が集まって、ゆるい打ち合わせが始まる。
「ないくん、今日の髪型かわいいね。ちょっとふわっとしてる」
りうらがにこっと笑って言う。
隣で初兎が頷きながら、
「ほんまやな。ないちゃん、最近なんか雰囲気ええわ〜。恋してる顔してるで?」
「…そんなことないよ」
小さく笑って誤魔化した。
視線を少しだけずらすと、まろがスマホをいじりながら少し離れたソファに座っている。
隣にはいむがいて、二人は何かを囁き合って笑っていた。胸の奥で、何かがきしむ音がした。それは、偶然だった。夜遅く、コンビニに寄った帰り道。
路地裏の小さなバーから、まろの笑い声が漏れてきた。
足を止めた。
ガラス越しに見えたのは、まろの横顔と、その肩にそっと寄りかかるいむの姿。いむがまろの頬に指を這わせて、何かを囁く。
まろは目を細めて、優しくいむの髪を撫でた。俺は、息を止めた。
そのまま動けなくなって、ただ見ていた。
二人がキスをする瞬間まで。
その夜、家に帰っても何も言わなかった。
まろが帰ってきたのは、午前三時を回ってからだった。
「おかえり」
「…ん。悪いな、遅なって」
まろはいつものように軽く手を上げて、シャワーを浴びに行った。
俺はリビングのソファに座ったまま、膝を抱えて天井を見上げた。
日々が、少しずつ色を失っていった。まろは休日も
「用事がある」
と出かけて、夜はますます遅くなる。
活動も、なぜかまろといむの二人でいる時間が長くなった。
俺 が話しかけても、まろの返事は短くて、優しい言葉はもうほとんど聞こえなくなっていた。「ないちゃん、最近元気ないみたいやけど…大丈夫?」
初兎が心配そうに声をかけてくる。
「ん、大丈夫。ちょっと疲れてるだけ」
「ほんま? なんか顔色悪い気がするんやけど…」
「ありがとな、初兎」
俺は笑顔を作った。
でも、その笑顔は鏡に映すと、どこか歪んで見えた。りうらも、そっと寄ってきて囁く。
「ないくん、無理しないでね。りうら、いつでも話聞くから」
「…うん。ありがと、りうら」
皆は、きっと
「喧嘩してるんだ」
と思っている。
俺とまろが付き合っていることは、メンバー全員が知っていたから。誰も、本当の理由には気づいていない。
ある夜。
ベッドの上で、薬のシートを手に持っていた。
睡眠導入剤。
一錠、二錠、三錠……。指が震えて、シートから錠剤がぽろぽろとこぼれた。
「…もう、いいよな」
飲み込んだ瞬間、喉が焼けるように熱くなった。
でも、それ以上に胸が冷たかった。次の日も、その次の日も、俺はスタジオに来なくなった。
まろは一度だけ、LINEで聞いてきた。
『具合悪いんか?』
返事をしなかった。
そして、会議の日。全員が揃った会議室。
俺は一番奥の席に座っていた。
顔は青白く、目は落ちくぼんでいるのに、なぜか穏やかな微笑みを浮かべていた。
「みんな、ちょっと聞いてほしいことがある」静かな声だった。
なのに、部屋の中の空気が一瞬で凍りついた。ゆっくり立ち上がって、テーブルの上にスマホを置いた。
画面には、まろといむの写真がいくつも並んでいる。
路地裏のバー。
夜の公園。
ホテルのエントランス。
どれも、はっきりと二人が親密にしている瞬間だった。
「…まろ、別れよっか、」
ぽつり、と言った。まろの顔から血の気が引いた。
いむは目を大きく見開いて、唇を震わせる。「ないちゃん…?」
「待って、ないこ、ちょっと——」
まろが立ち上がろうとした瞬間、初兎が低い声で遮った。
「…お前ら、何してんねん」
いつもよりずっと冷たい。
あにきは黙って二人を睨みつけていた。りうらは、ただ呆然と立ち尽くしている。
声が出ないみたいに、口をぱくぱくさせているだけだった。俺は、静かに首を振った。
「みんな、怒らないで。
俺が、決めたことだから」
ゆっくりと息を吐いて、俺は続けた。
「まろ。
いむのこと、好きなんだろ?」
まろは言葉に詰まった。
いむは俯いて、肩を震わせている。
「…俺は、もういいよ。 お前らが幸せなら、それで」
小さく笑った。
乾いた、ひび割れたような笑顔だった。
「今まで、ありがとう。 二人で、幸せになってな」
そう言って、静かにドアの方へ歩き出した。
誰も、引き止められなかった。ドアが閉まる音が、会議室に小さく響いた。そのあと、長い沈黙が落ちた。
コメント
2件
めぇーーーっちゃ好きです😭‼️ 感情的にならない、呆れの域まできてる桃もバリ好きやし暴露した後の白と黒の反応もヤバいし😭💖💖 何より感情と言動を表す描写がとってもお上手でずっとニヤニヤして読んでました😭😭💖 何度も読み返させていただきますえぐいですありがとうございます‼️😭😭💖
初コメ失礼いたします! まじで大好きです🫶💕︎︎賞味期限がきれそうなのプリンのとことか設定が細かくて読みやすいなって思いました! 今まではあんまり儚い系?を好んでなかったんですけどもうどストライクにささりました✨️書いてくれてありがとうございます( ߹꒳߹ )♡