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「先生、ですよ。」
「いいじゃん、そんな小さいこと。」
ミラはふとケイゴを見る。
(またあの子と話してる。私は話せないのに…。
家でも会えるのに、学校で喋れないのが
寂しいなんて、贅沢だよね…。
ケイゴは昨日怒ってたけどさぁ、私だって…。)
***
「華峯さん。」
食堂に向かおうとしていたら、急に呼び止められた。
「今からお昼なら、一緒に行かない?私も外部生なの。」
***
「昨日帰りに話掛けたかったんだけどさぁ、気づいたら居なかったから。」
「昨日は用事があって急いで帰ったから。話掛けてくれてありがとう!嬉しい!」
彼女は尚子ちゃん。
「ナオでいいよ。」
「私もミラでいいよ!さっき、外部生って言ってたよね?そう呼ぶんだね。」
「そう。持ち上がりの人達を内部生、高校からの人を外部生って呼ぶんだよ。」
何故かナオは桜華学園のことに詳しくて、
どんな学校かどんな先生がいるかとか、色々教えてくれた。
「ねぇ、ケイゴくんの彼女はお弁当作ってくれないの?」
また一軍女子達がまとわりついている。
「彼女じゃないし、彼女だとしても負担掛けたく無いですからね。」
「私だったら彼氏にお弁当作ってあげたいけどなぁー。あっ!私が作ってあげようか!?」
「いりません。お弁当作るより勉強してくださいね。」
「私がお弁当作ってるんだよ。だから一人増えるくらい、なんてことないよ。」
「遠慮しておきます。」
「うーじゃぁ、私のお弁当分けてあげる!それなら作る量も変わらないし。」
「分けてもらってしまったら、足りなくなりますよ。」
学食を食べながらポーカーフェイスを崩さない。
「あー。人気だねー亜月先生。一軍女子にロックオンされて。かわいいもんねー。お似合いだなぁー。マキはね、欲しいと思った男は必ず手に入れるのよ。それだけのものもあるしね。」
「そうなんだ。」
「亜月先生は簡単にゲットされちゃうかなぁー!」
「……。」
***
ケイゴは部屋でレポートをしている。
コンコンコンとノックされる。
「どうかしましたか?お嬢?」
ミラを招き入れる。
「………ねぇ、脱いでくれる?」
ミラは独り言のように呟いた。
「うん?」
「だから、脱いでくれる?」
今度はしっかりケイゴの目を見て言う。
(またこの人は…。たまにあるんだよなぁー。
訳のわからん行動が。)
「お嬢が望むなら、何なりと。」
優しく笑って服を脱ぐケイゴ。
その様子をボーッと見つめるミラ。
上半身を脱いだところで、ミラがベッドに引っ張る。
ケイゴはされるがまま。
「ねぇ、ここ(ベッド)に寝てくれる?」
ミラは始終何を考えてるか分からない顔をしている。
ミラがゆっくりケイゴの方に体を向けながら隣に寝転ぶ。
小さく何かを呟いて悲しい顔をする。
ケイゴもミラの方に体を向ける。無性に愛おしい。
ミラは目を瞑ってケイゴの胸に頭をくっつける。
ケイゴは穏やかに笑って、ミラを包んだ。
しばらく穏やかな時間が流れる。
フッとミラは我に返る。
(ハッ!昨日に続いてまたやってしまった!)
「え、ぇぇぇっとー。ケイゴ、私そろそろ部屋に戻ろうかなぁーなんて。」
「…ねぇミラ、貴方は俺を弄んだんだよ。俺を裸にしてぇ、煽って。離す訳ないでしょ?」
妖艶な微笑みをしてミラを見る。
「このまま、イケナイコト、しちゃう?」
ミラは真っ赤になる。
「し、しません!」
「俺は貴方のものだよ。そして、貴方も俺のものだよ。」
「何!急に!」
「さっき言ってたよね。寝転んだときに小さな声で。ケイゴは私のなのにって。」
「………。」
ミラは更に紅くなり、顔をケイゴの胸に埋めた。
ケイゴは愛おしそうにミラの頭を撫でる。
(レポートは明日でいいか。)