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「しっかり食べたはずだけれど、微妙に足りない気もするのだ」
亜里砂さんがそんなことを言う。
分量的には、御飯を1人1合以上、更に野菜やお肉も御飯と変わらないくらいの量を食べているはずだ。
それでも薄味のせいか、するっと入ってしまった。
「実はお腹の余裕は、この後のイベント用だったりするんだな」
先輩はそう言って、自分のザックから四角い箱を取り出した。
箱の中にあったのは、茶色い円形のケーキ。
「今日はクリスマスイブですからね。せめてこれくらいは用意しようって川俣さんと話していて。生クリームとかのは無理でも、このタイプなら大丈夫だろうって用意したんですよ」
「サン●イ島のチェリークラフティ。個人的には学校周辺で一番美味しいケーキだと思う」
そんなわけで、早速ナイフで切り分けて食べる。
一口食べた彩香さんの視線があらぬ方へ。
「ああ、何か凄く美味しい」
「贅沢なクリスマスイブなのだ」
確かに。
豪華なパーティよりも贅沢な気がする。
外は雪山で月や星が綺麗で、本物の雪が積もっている中、こんなに美味しいケーキを皆でいただくなんて。
「あああ、食べ過ぎだとわかっているけれど、止まらないのですよ」
未亜さんがそんなことを言いながら食べている。
「今日はいいんじゃないですか。雪山でカロリーを使っていますから」
「そうなのですが、何か理性が本能に負けたみたいで悔しいのですよ」
何か未亜さんらしい言い草だ。
でも未亜さん、そんなことを言いつつも、とっても美味しそうにケーキを食べている。
ふと疑問が湧いたので聞いてみた。
「しかし、いつの間に買ったんですか」
車に乗ってからは、先生も先輩もずっと一緒の行動だったはずなのに。
「学校が終わった後、急いで車で買いに行って、その後に皆さんを迎えに行ったんですよ」
なるほど、それ位しか時間はないものな、と思う。
でも確かに、このケーキは美味しい。
チェリーとカスタードが凄く合っている。
そうまでして、わざわざ買ってきた理由がよくわかる感じだ。
「ああ、名残惜しいけれど食べてしまったのです」
「まだ残りが一切れ残っていますよ」
目分量で7分の1に切るのは、かなり難しい。
だから切りやすい8分の1に切ったので、一切れだけ残っている。
「それでは最後の一切れ争奪戦、ジャンケン大会と行こうじゃないか」
「負けないのだ!」
先生を含む7人全員で、ジャンケンが始まる。