第14話「選択の時」
蒼と美月が未来ノートに新たな夢を描いてから3ヶ月が経った。二人は忙しい日々の中でも、互いを思いやりながら絆を深めていた。美月は病院での看護師の仕事から転職し、今は地域の福祉センターで働いていた。新しい職場での挑戦にやりがいを感じながらも、蒼との時間を大切にする努力を続けていた。
一方、蒼は美月との未来を形にするための決意を固めていた。その日、彼は仕事を早めに切り上げ、ジュエリーショップに足を運んだ。ショーケースに並ぶ結婚指輪を見つめながら、彼は美月とのこれまでの思い出を思い返していた。 「これが、俺たちの新しいスタートになる。」 そう心に決めた蒼は、美月にぴったりの指輪を選び、店を後にした。
その帰り道、蒼はふと立ち寄った公園で一息ついていた。満月が輝く夜空を見上げながら、美月に指輪を渡す瞬間を想像していたその時、不意に背後から声をかけられた。 「久しぶりだな…覚えてるか?」
振り返ると、そこに立っていたのは3ヶ月前に美月を脅かした男の一人だった。蒼は驚きと警戒心を抱きながらも冷静を保とうとしたが、男は蒼に詰め寄り、挑発的な態度を見せた。 「お前のせいで俺たちは散々な目に遭ったんだ。今日はその借りを返してもらうぜ。」
蒼はその場から逃げようとしたが、男は仲間を呼び寄せ、蒼を取り囲んだ。彼らは蒼を脅し、暴力を振るおうとしたが、蒼は必死に抵抗しながら美月との未来を守るために立ち向かった。
その頃、美月は福祉センターでの仕事を終え、帰宅の準備をしていた。すると、スマートフォンが鳴り響き、警察からの連絡が入った。 「蒼さんが公園でトラブルに巻き込まれ、現在病院に搬送中です。」
その言葉に美月の心臓が凍りついた。 「蒼が…?どうして…?」 彼女はすぐにタクシーを呼び、蒼が運ばれた病院へ向かった。
病院に駆けつけた美月は、手術室の前で蒼の無事を祈りながら涙を流していた。 「蒼、お願いだから無事でいて…」
手術が終わり、医師から「命に別状はない」と告げられたとき、美月は安堵の涙を流した。病室で目を覚ました蒼は、美月の顔を見て微笑みながら、弱々しく手を伸ばした。 「美月…これを…」 彼が差し出したのは、血に染まった結婚指輪の箱だった。 「君と一緒に未来を作りたい。それが、俺の全てだ。」
美月は涙を流しながらその指輪を受け取り、蒼の手をしっかりと握った。 「私も…蒼と一緒に未来を歩みたい。どんな困難があっても、二人で乗り越えよう。」