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「ジョー・アルヴィアン。担当教員のファレルだ。実践的な魔術を教えている。魔術の腕前は?」
王立アカデミーの中央広場には大理石で作られた大きな噴水と手入れがされた花壇がある。そこにいたのは黒い魔術師用ローブを着た背の高さが目につく30代後半の男性だ。白いメガネが余計にローブの黒さを引き立てている。こちらを見透かそうとする視線を感じる。でもそこに悪意はこもっていないようだ。なかなか興味深い。俺にそのような振る舞いをする人間は今までいなかったから。
「こちらこそよろしくお願いします。多分魔術の腕は悪くないと思いますよ。ファレル先生。」俺はそう返す。その答えに彼は満足していないようだ。
「悪くないか。入学試験で満点をとった生徒がそう言うのか。」直接的な質問の仕方だ。その点は好ましいと感じられるな。
「魔術を実戦で使うのには必要な物があまりにも多いですから。現場での判断力、精神の安定性、そして魔力を温存すること。魔術の組み立て力や魔術の制御力が優れていても魔術が実践で使えない人間に心当たりは、ファレル先生?」俺はわざとらしく微笑んで真実を述べる。優秀な魔術師に求められるのは本番で失敗しないことであり、特に人を殺める場合ならばこれができない魔術師は意味がないと言える。
「ああ、多くを見てきた。」彼は納得したように答えるが、俺に対しての疑義は深まったように感じられる。いや、疑義というよりは子どものような好奇心?