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第二十三話「解き放たれた本能と、絶対不可侵の愛の誓い」
合宿最終夜。人里離れた洋館の夜空に、サキュバスの魔力を活性化させる「赤月」が浮かび上がっていた。
「これより、全サキュバス合同訓練の最終試練……『真夜中の精気争奪戦』を開始するわ!」
中庭に集まった生徒会長たちの宣言により、ついに合宿のクライマックスが始まろうとしていた。しかしその時、洋館を揺るがす強大な魔力の波動が響き渡った。
「甘いわね、落ちこぼれのサキュバスたち」
漆黒の翼を広げ、上空から舞い降りたのは、本家から派遣された最高監察官・ヴィクトリアだった。
「人間ひとりの男に現を抜かし、サキュバスとしての本能を忘れた貴女たちに学園を護る資格はありません。今夜限りでこの学園を廃校とし、その男——タカシの『極上の精気』は本家がすべて回収・幽閉します」
「な……なんですって!?」
白銀美咲が声を荒げる。
ヴィクトリアが手に持った杖を掲げると、周囲一帯に絶対不可避の強力な絶対魅了(グラン・チャーム)の結界が張り巡らされた。
本能を強力に刺激されたサキュバスたちが次々と膝をつき、意識を混濁させていく。
「くっ……体が、動かない……っ!」
「タカシ……逃げ、て……」
朱音も、黒羽も、生徒会長すらも、本家の圧倒的な力の前に押し潰されそうになっていた。
ヴィクトリアが冷笑を浮かべ、動けないタカシへと手を伸ばす。
「さあ、極上の精素を差し出しなさい」
「ふざけるな……っ!!」
立ち塞がったのは、他でもないタカシだった。
「俺は……渡さない! 美咲も、朱音も、黒羽も、会長も……みんなと過ごす『ふつうの日常』を、お前なんかに壊されてたまるか!!」
タカシの強い感情に呼応するように、その胸の奥から眩いばかりの純白の光芒が溢れ出した。
それは、サキュバスの本能による強奪を拒絶し、互いの信頼と愛によってのみ覚醒する——伝説の『純愛精素(プラトニック・エナジー)』だった。
光の精気は結界を突き破り、傷ついたヒロインたちを包み込んでいく。
「タカシくんの精気……なんて、温かくて強いの……っ!」
美咲が立ち上がる。割れた眼鏡の奥の瞳には、強い意志の光が宿っていた。
「ハッ、あんなババアにタカシを渡すわけないでしょ!」
朱音の爪が赤く輝く。
「タカシくんがくれた想い……絶対守るんだから!」
黒羽が漆黒の翼を力強く広げる。
「我がハーレム部の愛の絆、見せてあげるわ!」
生徒会長の号令とともに、タカシから力を与えられた4人のヒロインが一斉に躍動した。
覚醒した彼女たちの圧倒的な連携攻撃の前に、監察官ヴィクトリアの結界は完膚なきまでに打ち砕かれたのだった。
「馬鹿な……人間とサキュバスの絆が、本家の魔力を凌駕するなんて……! おぼえていなさい!」
捨てゼリフを残して姿を消す監察官。
学園の存続と自分たちの未来を守り抜き、歓声をあげるヒロインたち。
だが、すべての精気を使い果たしたタカシは、その場に膝から崩れ落ちた。
「タカシくん!?」「タカシ!」「しっかりしなさい、タカシくん!」
駆け寄る美咲たちの胸の中で、タカシの意識は静かに遠のいていく。
波乱に満ちた合宿が終わり、物語はいよいよ最終話(第二十四話)のグランドフィナーレへと向かうのだった——。
コメント
1件
うわあ、ついに来たね、第23話! タカシが「ふつうの日常」を守るために立ち上がるシーン、めっちゃ熱かったよ。純愛精素(プラトニック・エナジー)って設定すごくいいな——「本能で奪う」んじゃなくて「信頼と愛で生まれる」ってのがこの話のテーマに合ってる。監察官に押し潰されそうになったヒロインたちがタカシの精気で立ち直って連携攻撃、からの一転タカシが力尽きるラスト……次回最終話、どうなるのか気になって仕方ない!
桜咲かな
299