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《10:00》
「さて、掃除でもするか~……って、言っても綺麗なんだよねぇ」
アオイは部屋を見回して、思わずつぶやいた。
この家、普段からきちんと掃除されているらしく、ほこり一つ落ちていない。
「……何からしようかな?」
そんなことを考えていると――
「おかぁさん、おかぁさん!」
ユキちゃんがアオイの服をくいくいっと引っ張ってくる。
――くっ、可愛い。
心の中で悶絶しつつも、アオイは優しく応える。
「んー?どうしたのかな?」
「遊んで~!」
「そうだねぇ、遊ぶのはちょっと待ってね?」
「ぶぅ~!」
「こーら、ぶぅたれないの!」
ユキちゃんのほっぺをふにふにすると、すぐに「えへへ」と笑顔を見せる。
――天使か?
「なにするの?」
「うーん、そうだね、掃除をしようかと思ってるんだけど」
「え……綺麗じゃなかった?」
ユキちゃんがしょんぼりとした顔をする。もしかして、普段の掃除を頑張っているのはユキちゃん?
「あ、いや、そんなことないよ?ほら、上の方とか届かないでしょ?でも、いつも掃除してて偉いね!頑張り屋さん!」
「えへへ、頑張った!でも、上の方は危ないからじぃじがやるなって……。」
「それは正しいよ!もっと大きくなったらできるからね。」
「うん!ユキ、大きくなる!」
「うんうん、じゃあ少し待っててね?」
「ユキも手伝う!」
そう言うと、ユキちゃんは三角巾をつけて、はたきを持ってきた。
――うわっ、この格好、アニメの中だけかと思ってたけど、本当にあるんだ……めっちゃ可愛い!
「じゃあ、はじめよっか!」
「うん!」
《12:00》
掃除が一段落した頃、ちょうどおじいちゃんが帰ってきた。
「帰ったぞ。」
「お帰りなさいま……お帰りなさい!」
――まだちょっと敬語が抜けない……やばい、直さなきゃ。
「じぃじ!おかえり!」
「うむ、掃除をしていたのかの?」
「うん!おかぁさんがしてたから手伝った!」
「偉いぞ。」
「えっへん!」
――あぁ、天使か。いや、これは天使だ。可愛すぎる!
「昼食はまだかの?」
「はい、今すぐ用意しますね!」
「うむ、帰りに《馬鹿》の肉を買ってきたから、これを調理してくれ。」
そう言って渡されたのは竹の葉に包まれたずっしりとした肉。
――待って、《馬鹿》って「うましか」!?馬なの?鹿なの?ややこしいな!
「わかりまし……分かったです!」
――ああ、敬語が抜けきらない!これはユキちゃんの前では自然体を心がけないと!
「私も手伝うです!おかぁさん!」
――ほら、ユキちゃんまで真似しちゃってる!これは本気で直さなきゃ……。
「うん、一緒にやろうね!」
こうして、次のミッション――昼食の準備が始まる!