「おいおい、聞いたか?例のカジノ、なくなったらしいぜ。」
「は?なくなったって……閉店か?」
「違う違う、そういう意味じゃねえんだよ。物理的になくなったんだ。」
「物理的に……ってどういうことだよ?」
「噂によると、たった一人の少女に壊滅させられたんだってさ。建物は木材ごとなぎ倒されて、見るも無残な状態らしいぜ。」
「はぁ!?あそこって警備厳しいって有名だっただろ?どうやってそんなこと……。」
「その警備ごとぶっ倒されたんだとさ。で、その少女、ずっと『妹ちゃんを出せ!』って叫びながら暴れてたんだとか。」
「『妹ちゃん』って……なんだそれ、意味がわからねえ。」
「しかも、近くにいた熊さん組の連中もまとめて半殺しにされてるらしいぞ。」
「おいおい、熊さん組ってあのヤバい連中だろ?それごと潰すって、どんな奴だよ……。」
「さぁな。でも捕まってないらしいぞ。」
「マジかよ!なんで捕まってねえんだよ!」
「そこが謎なんだよな。情報によると、その少女は赤い髪だったって話だ。」
「赤い髪か……そんな目立つ見た目で、なんで捕まらねえんだよ。指名手配されてるだろ、普通。」
「いや、それがされてねえらしいんだよ。妙に情報が出回ってなくてさ。」
「怖えな……早く捕まってほしいわ。」
「なぁ、ところでさ、お前、そういう噂どっから仕入れてくるんだよ?」
「ああ、こないだ飲みに行った酒場でな、白い神父さんが居て色々教えてくれるんだよ。」
「白い神父……なんだそりゃ、怪しさ満点じゃねーか」
「いや、怪しいけど妙に話が上手いんだよな。しかも、やたらと噂に詳しいんだ。今度一緒に飲みに行こうぜ、そいつも連れてさ。」
「そりゃ面白そうだな!情報の出所がそいつだったら笑えるけどな!」
「まさか、そんなわけねえだろ。……たぶん。」
「おい、たぶんってなんだよ!」
「へへ、じゃあ次、またネタ仕入れたら話すわ。」
「おう、頼むぜ!」
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