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SnowMan 短編集
② 巳羅井駅。
阿部 亮平 ( アベ リョウヘイ )
アイドルグループ、SnowManのメンバー。
最近何もかもが嫌で、自暴自棄になっている。
事務所まで電車で通っている。
注意 あべちゃんキャラ崩壊
死ネタあり。
あべちゃんなんかやばいやつ。
阿部side
がたん、ごとん……
電車の揺れる音。
ガヤガヤしてる車内。
その中に、マスクサングラスでいる俺。
もう、慣れている。
嫌だ、刺激が欲しい。
そう、求めるようになったのは、いつからだろう___
深「明日午後集合ね〜、!」
佐「おぉ、珍しいね、」
岩「んじゃ、午前オフ?」
渡「涼太…デートしよ、」
向「ラウール〜!」
目「佐久間くん、」
岩「…ふっか、」
俺以外、全員カップル。
ゆり組は尊い。
みんな幸せそうで、俺も、って焦ってしまう。
でも俺だけ、恋愛対象は女だった。
だから、佐久間の告白をことわってしまった。
今は、それを慰めてくれた目黒と付き合ってるらしい。
なんだ、俺じゃないのかよ、って思った。
俺だけを想って、俺だけに、俺のために存在している。
そんな人が欲しかった。
阿「ふぅ……」
いつも使っている、巳羅井駅。
これで、みらい、と読む。
人が少なくて、まぁまぁ居心地がいい。
事務所から帰る時は多いけど、行く時は空いている。
午後使うのは初めてで、ほとんど人がいなかった。
俺が開放感を感じて伸びをすると、電車がやってきた。
驚くほど静かに。
入ると、誰もいなかった。
シーン、とした車内。
不気味だなぁ、と思いながら窓の外を見た。
巳羅井駅。
それが、「未来駅」になっていた。
阿「っ、?」
息を呑んだ瞬間、電車が発車し、アナウンスが流れた。
無機質な、冷たい声。
「本日は、ご乗車いただき、ありがとうございます。
この電車は、未来行き、未来行きです。」
阿「…え、?」
もう一度窓を見ようとすると、トンネルに入り、辺りは真っ暗になった。
暇なので、他の車両も探検してみる。
俺が乗っているのは一番後ろの端っこ。
そこから歩いていく。
6両編成だった。
そして最後の一両に足を踏み入れ、運転席の前まで来た時。
人を見つけた。
人とは思えないほど気配がなく、美しかった。
阿「ぁ……」
声にならないため息を漏らし、目が合う。
?「……はじめ、まして…」
阿「あ、初めまして……」
阿「…名前は、なんですか、?」
?「……名前……」
阿「僕は、阿部亮平と言います。」
?「阿部、さん、」
俺を知らないのだろうか。
長くて綺麗なまつ毛をパチパチして、俺を見つめている。
阿「あなた、は、?」
?「……わかんない、です…」
阿「わかん、ない、?」
?「はい、誰かにつけてもらうものなんですか、?」
阿「そう、だと思います。」
?「じゃあ、阿部さんが付けてください、」
阿「俺、?……雪、とか、?」
?「雪……」
全体的に青白く、雪のようだから。
?「名前、雪、です…」
阿「雪、さん…!」
?「さんじゃなくていいです、雪、で。」
阿「じゃあ、亮平でいいですよ。」
?「亮平、」
阿「ふふっ、笑」
?「笑、」
その人は笑った。
その笑顔に目を奪われたのは、間違いなかった。
あたりが明るくなった。
トンネルを抜けたのだろう。
ドアが開いた。
駅を降りた。
そこには、駅はなかった。
看板だけ、ポツンと置いてあった。
「井舞駅。」
声に出すと、「いまえき。」
後ろを見ると、俺がドームに立っていた。
もう一度前を見ると、韓国で踊っている俺。
右、左、上、前、
また前を見ると、違う景色になっていた。
未来?
よくわからないが、すごい、
そんなことを思って一歩踏み出した。
その瞬間、俺は、巳羅井駅に戻っていた___
「電車が到着します、ご注意ください。」
アナウンスが流れる。
俺の後ろにはたくさんの人がいた。
電車は普通に満員。
また、いつものような日々が始まっていた。
ある日、また午後に巳羅井駅に訪れた。
またあの子に会えるかもしれないという淡い期待を抱きながら。
もっと知りたい。あの子を。
そう思いながら足早に走って行った。
電車に入ると、一目散に最初の車両に走って行った。
この前と同じ席にいた。
少し驚いたような顔をして、
雪「こんにちは、亮平。」
というのだった。
それから、暇ができたらすぐ通うようになった。
帰ってきても、時間が経っていなかったから。
あの子に会いたい、あの子と話したい。
ひたすらそう思っていた。
電車に入ると、いつもあの子は座っていた。
俺を見つけると目を細めて、微笑む。
そしていつものように俺が隣に座り、話し始めるのだった。
アイドルである、ということを打ち明けても何にも変わらなかった。
話を聞いてくれ、相談に乗ってくれた。
精神安定剤みたいに、安心できた。
俺だけみたいで、嬉しかった。
それから降りては未来を見て、踏み出しては巳羅井駅に戻るのだった。
そんなある日。
いつものように電車に足を踏み入れ、一両車に向かっていると、雪の隣に男がいた。
阿「はっ、?」
俺は自分を制御する間もなく、その男を突き飛ばしていた。
男はドアの外に落ちて行った。
虚しく、ドアが閉まった。
雪「え、りょう、へ…」
阿「雪は俺だけ見てて。俺だけ愛して?」
そういうと、いつもの笑みを浮かべて、隣に座った。
雪の態度が変わることはなかった。
狂っていた。
狂っていたけど、愛だった。
アイノカタチ。
これが違うだけだ。
深「……あべちゃん、?最近おかしいよ、?」
佐「あべちゃん、?」
あぁ、ウザい。
お前らは幸せなんだから、それでいいだろ。
ほっとけよ。
それを話せるのも、雪だけだった。
阿「……雪、俺雪のこと好きなの。付き合って、」
雪もわかっていると思う。
雪「私もだよ、亮平。だけど、もう、会いに来ないで欲しい。」
阿「……え?」
なんで、と言いかけた瞬間、ドアが閉まった。
一歩踏み出した瞬間、巳羅井駅に飛ばされた。
未来が見えなかった。
どうなるのかわからなかった。
でも、もう来ないなんて無理。
雪と会えないなんて、生きてる価値ない。
そう思って、またあの電車に乗った。
雪「……亮平、来たんだね。」
いつもの笑顔とは違う、どこか寂しそうな顔。
阿「うん、」
いつものように、また隣に座ってお話をした。
でも、いつもとは違った。
降りる時、雪もついてきたのだ。
雪も、こっちの世界に来てくれるのだろうか。
そしたら、ずっと一緒にいられる。
嬉しくて、歩いてしまった。
未来は見えなかった。
だけど、幸せになるに決まってる。
だって、雪が一緒だから。
巳羅井駅にまた戻っていた。
踏み出そうとした瞬間、
がくっ、という脱力した感じがあった。
それから、意識を失った___
佐久間side
佐「ひっく、あべ、ちゃっ、なんでっ、」
深「阿部ぇ、泣 なんで、なんでだよぉぉ……!」
あべちゃんの遺体が、駅で発見された。
巳羅井駅。
そこでは時々、謎の遺体が発見されるそう。
あべちゃんも、その一人になってしまった。
佐「あべ、あべちゃっ、やだ、やだよぉ、」
目「……佐久間くん、」
後ろから蓮が抱きしめてくれている。
佐「っ、うわぁぁぁぁ……泣、」
俺は崩れるように泣いた。
ニュースが流れていた。
「SnowMan、阿部亮平さんが遺体となって発見されました。
周りには、季節外れの雪が、積もっていたということです。」
END__
コメント
5件
なんか切ないお話だったな〜...( ´•̥ ω •̥` )
あべちゃんがあ''ぁぁあ"!! 雪は何物?