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※この物語はフィクションです。

実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。


〈File64:宙をかく〉

一瞬とはいえ、智世は放火魔の姿を見てしまった。

そんな一抹の不安も今だけは呑みこみ、建物の裏側を探索することに徹する。

建物の裏側は比較的拓けていて、かつてはきちんと周辺の道が舗装されていたようだった。

その名残ともいえる、ひび割れて砕けたアスファルトを行くと、寂れたプレハブ小屋が見えて来る。

蝶番のひとつ外れたドアから小屋の中を覗くと、ロッカーの他に掃除用具などが点在していた。

床は埃を被っていて、さっきの建物の中よりも空気が籠っている。

念のため錆びたロッカーをこじ開けてみると、制服らしきものがぽつんと底に落ちていた。

「用務員室だったのかな?人が隠れられるスペースはなさそうね」

「ガソリンが撒かれた様子もないようだ」

目ぼしいものがないこ****************************

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