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◆ 1話 MINAMO発表
【特別ニュース番組・午後8時】
画面下に淡緑のテロップが流れる。
《UMI社 世界同時発表》
《日本の精密な技術が関与した次世代AR“MINAMO”とは?》
《声を出さない無声入力が実現》
《充電という行為の消滅へ》
キャスターは灰色スーツに水色のインナー。
抑えた声で報じる。
「本日、アメリカUMI社が、
日本企業との共同開発で完成させた
“日常に溶け込むARアシスタントMINAMO”を発表します。」
画面端には視聴者コメント。
《日本の技術が入ってるの胸熱》
《眼鏡に見えるAIすごい》
《声出さないの便利すぎる》
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【中継:国際展示ホール】
ライトは水色と緑の中間色。
未来的ではあるが、どこか柔らかい。
観客席には大学生のりくといまりの姿。
りく:薄灰ジャケットに緑Tシャツ。
いまり:淡緑トップスに灰スカート。
二人とも試作機のMINAMOを着けている。
りくがつぶやく。
「ほんとに普通の眼鏡みたいだな……。」
いまりは笑いながら言う。
「日本企業が“日常に紛れる形”を調整したんだって。
細かい色味とか、ゆがみの無さとか。」
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ステージに登場したのは
UMI社CEO、エリオット・グレイ。
淡水色のMINAMOが顔に自然に馴染み、
アクセサリーのようでまったく主張しない。
エリオットがゆっくり語り始める。
「Today, we introduce MINAMO —
a device shaped by UMI engineering…
and the remarkable precision of Japanese technology.」
通訳の声が続く。
「本日発表するMINAMOは、
UMIの基幹技術に加え、
日本企業の細やかな設計が融合したモデルです。」
会場が静かにざわついた。
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【無声入力のデモ】
エリオットは口を開かない。
喉もほとんど動かさない。
ただ、ほんのわずかな筋肉の振動だけ。
スクリーンにふわりと文字が現れる。
『Hello. MINAMO is listening silently.』
スタジオキャスターが息を飲む。
「……本当に声を出していません。」
解説員が説明する。
「日本企業が作った“喉表面の微細振動センサー”が
ここまでの制度を実現させました。
声を出さず、周囲に悟られずにAIと会話できます。」
テロップ:
《声を出さない会話》
《図書館・電車・職場でも自然》
《日本製マイクロセンサー採用》
いまりが興奮気味にささやく。
「すご……。日本の企業、やっぱ細かいところ強い。」
りくも頷く。
「雑音拾わないってこういうことか……。」
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【充電の説明】
スクリーンに淡い波紋が広がる。
「MINAMO uses sodium-ion batteries — safe and calm.
And with the personal battery field…
charging simply disappears.」
通訳が続ける。
「MINAMOは安全なナトリウム電池を使用し、
“個人バッテリー圏10m”に入るだけで
自動で充電されます。」
会場がどよめく。
映像には、
部屋の中にあるMINAMO、AirWay、スマートリングが
眠っている間に自然と満たされていく様子。
解説員が付け加える。
「無線給電の基盤技術はUMIですが、
“電波の抜け感”と“安定化アルゴリズム”は
日本の電機メーカーが担当しています。」
りくがぽつり。
「……日本の細かい調整、こういうとこで出てくるのか。」
いまりが笑う。
「なんか誇らしいね。」
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【日常に溶け込むデザイン】
画面には街中の人々が映る。
・普通の眼鏡にしか見えない細さ
・水色・緑・黄緑の淡いフレーム
・髪色や肌に自然に馴染む彩度
・UIは視界の端に控えめに浮く
・AirWayはアクセサリー感覚の耳飾りのよう
キャスターが説明する。
「デザイン面は日本の企業が主導し、
“主張しない未来”を形にしたとのことです。」
街のコメントが流れる。
《本当に眼鏡と変わらない》
《仕事中でも違和感ゼロ》
《アクセ感覚で選べて嬉しい》
りくは感心したようにつぶやく。
「これなら誰でもつけられるよな……。
未来って派手じゃなくて静かなんだ。」
いまりは柔らかく笑う。
「日本の企業が“目立たない未来”を目指したって聞いたよ。」
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【発表会の締め】
エリオットはMINAMOを軽く押し上げる。
自然で、昔ながらの“眼鏡の仕草”。
「No cables.
No voice.
No friction.
Just a calm, beautiful life.
Crafted with global engineering —
and perfected with Japanese precision.」
通訳が静かに伝える。
「ケーブルも、声も、負担もない。
ただ静かで、美しい生活へ。
世界の技術が土台となり、
日本の精細さが仕上げたデバイスです。」
りくは深く息をついた。
「……こんなん、世界中が欲しがるだろ。」
いまりもまっすぐ画面を見つめる。
「日常に溶けて、静かで、綺麗で……。
こんな未来、待ってたんだよ。」
スクリーンに波紋のMINAMOロゴが浮かび、
世界が一気にざわめいた。
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【番組の締め】
MINAMOのイメージが放映される。
キャスターがまとめた。
「MINAMOは、
UMIの大胆な構想と、
日本の繊細な技術が組み合わさった
“生活のOS”となるかもしれません。」
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