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氷についての補足説明
氷は元々武士の家系に生まれた人間でした。人手不足のため十六歳で戦地に出されて特にこれといった戦果を残す事なく死亡、その後無名で身寄りのない武士として埋葬され、数十年経ったのち物の怪化。その際に同じ場所に埋葬された武士達の思いも取り込まれました。本文中で氷が『血を分けた親兄弟』と言っていたのは彼らの事で、実際に物の怪化したのは氷一人です。親兄弟が祓われた、というのは墓が暴かれきちんとした形で供養されてしまった、彼らとの繋がりが断たれてしまったという事です。氷自身はその事に気付いておらず、また人であった頃の記憶も全て無くしているので、ただ漠然とした人への恨みしかありません。
氷が雪の何代か前の名告主に名告げされた名は《自衛》と《邪悪》ですが、この名は決して当時の名告主が悪意を持って名告げたものではなく、優しすぎた氷を思い彼の力が何かに悪用されたりしないよう名告げたものです。外で刃物を持った人に不用意に近付かないように、近寄れば害があると思わせるようにしたかったのでしょう。ただその結果氷や名もなき武士達の墓が暴かれ、祟りを鎮めようとする人の心理が働いてしまったわけなのですが。ちなみに《死》の名へと変化したのは《自衛》の方です。
カバーイラストに使用させて頂いたイラストは、お気づきかとは思いますが氷のイメージです。「ただの少女の最後の『名告げ』」は雪を中心に物語が進んでいたので、なかなか本編では氷の侍らしさが出なかったかなと、補足説明という場を設けて説明しました。