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#普通
野々さくら
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ありあ
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夜の闇に包まれた仄暗い村。
どこからともなく、幼い子供たちの歌声が響いてくる。
「オジロクオバサガ 啜リ泣ク♬」
「重イ鎖ガ コノ地ニ響ク♬」
「子供ヲ縛ル 鎖ガ響ク♬」
その歌に合わせるように、鎖が地面を擦る音が鳴り響く。
「ジャラジャラ♬」
「ガシャガシャ♬」
「鎖ヲ鳴ラシ♬」
「オジロクオバサガ 来ルヨ♬」
「来ルヨ♬」
子供たちは歌を口ずさみながら、楽しそうに縄跳びをして遊んでいた。
だが、その子供たちは異様だった。
体が生気を感じさない程に白いというのも異様だが、それだけでなかった。
遊んでいる子供たちには、顔がなかったのだ。
目も、鼻も、口も、眉も。
本来あるはずのものが、何一つ存在していない。
まるでのっぺらぼうの様に。
それでも子供たちは歌い続ける。
一人の子供がぽつりと呟いた。
「何でこんな風に言われなきゃいけないの?」
すると、別の子供が静かに答える。
「私たちはただ、言われた通りにやってきただけ」
その声には悲しみと諦めが滲んでいた。
やがて空気が一変する。
子供たちの声が重なり、低く、不気味に響き始める。
「絶対に──許さない」
次の瞬間、その声は怒りに満ちた絶叫へと変わった。
「許さないっ!!」
◇ ◇ ◇
信愛は勢いよく身を起こした。
「はっ!」
荒い呼吸を繰り返しながら胸を押さえる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
夢の中で見た、顔のない子供たち。
耳に焼き付いた不気味な童謡のような歌。
そして最後に響いた、怨みに満ちた叫び。
「何だったんだろ・・今の夢・・・」
頭の中に、あの言葉がこびりついて離れない。
「おじろくおばさって何だろ・・・」
考え込んでいると、隣からさくらの声が聞こえた。
「信愛!起きた?」
信愛はゆっくりと振り向く。
「あ、さくら・・・てか・・今何時?」
「もうすぐ17時だよ」
その言葉に、信愛は目を丸くした。
「え!?私そんなに寝ちゃってた?!?」
さくらはくすりと笑う。
「もうぐっすり(笑)」
信愛は照れくさそうに頭をかいた。
「ごめーん!」
「いいの!いいの!」
さくらは優しく笑うと、立ち上がりながら振り返った。
「てかもうすぐ夕飯の
準備終わるから早くおいでよ」
◇ ◇ ◇
信愛が慌てた様子で居間へ向かうと、すでに食卓には湯気を立てるすき焼きが並び、甘辛い香りが部屋いっぱいに広がっていた。
信愛は申し訳なさそうに頭を下げる。
「すいません、寝ちゃってました」
美羽は柔らかく笑った。
「あはは、いいのよ」
秋穂も穏やかに頷く。
「まぁ今日は朝が早かったからね」
そこへ、台所から茜が人数分の食器を抱えてやって来る。
「あ♬起きたね信愛♬」
信愛は照れ笑いを浮かべながら肩をすくめた。
「ごめんねみんな・・なんか手伝う事ある?」
すると朝陽が首を横に振る。
「あ、もう終わりますからゆっくりしてて下さい」
やがて全員が席に着き、賑やかに食卓を囲んだ。
鍋の中では肉や野菜がぐつぐつと音を立て、笑い声が絶えない。
そんな和やかな空気の中、信愛だけは箸を持つ手を止め、どこか思い詰めたような表情を浮かべていた。
その様子に気付いた焔垂が心配そうに声を掛ける。
「随分疲れてたみたいだな?大丈夫か?」
信愛は小さく微笑む。
「ううん・・・平気」
しかし、その笑顔はどこかぎこちなかった。
茜が不安そうに身を乗り出す。
「ホント大丈夫?元気ないよ?」
美羽も優しく問い掛ける。
「確かに顔色悪いわね・・何かあった?」
信愛は少しだけ視線を落とした。
「あ、いや大した事じゃないんです
ただ・・変な夢を見ただけで」
さくらが興味深そうに首を傾げる。
「変な夢って?」
信愛は言葉を選ぶように少し考え込む。
「なんて言ったら良いのかな・・・
顔が無い子供がボール遊びしながら歌を歌ってる夢」
その場の空気がわずかに静まった。
茜は思わず顔をしかめる。
「なに・・それ」
朝陽も神妙な面持ちで呟く。
「気味悪い夢ですね」
秋穂は静かに尋ねる。
「でもその歌ってどんなの?」
信愛は記憶を辿るように目を伏せる。
「私も聞いた事ない歌だったんですけど
おじろくおばさがどうのこうのみたいな
そんな歌でした・・・」
おじろくおばさ。
信愛の口から発せられた七文字の単語に、勇、美羽、秋穂の顔が強張る。
コメント
1件
うわ、めっちゃ不気味な話やな…!顔のない子供たちが歌う「おじろくおばさ」の童謡、ゾッとしたわ。信愛が見た夢の描写が生々しくて、現実の食卓の和やかさとのギャップが逆に怖さを引き立ててる。最後に勇たちが固まった場面で「やっぱり何かあるんや!」って鳥肌立った。続きが気になる…!