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元貴は少し呆れたように言う。
「いや笑、ちょっと待って」
涼ちゃんを見る。
「昨日帰って、ちゃんと拭いた?」
涼ちゃんは少し視線を落として、小さく答える。
「……うん」
元貴はもう一度おでこに手を当てる。
明らかに熱い。
「いやいや」
少し真顔になる。
「もう今日は帰れ」
涼ちゃんが少し驚いた顔をする。
元貴は続ける。
「お前これ 38度はあるだろ?」
涼ちゃんは少し考えてから言った。
「……朝測った時は、38.2」
スタジオが一瞬静かになる。
綾華が思わず言う。
「え、結構あるじゃん」
高野も眉を寄せる。
元貴はため息をつく。
「なんで来たんだよ」
それからすぐ言った。
「マネージャーに俺から送っとくから」
「今日は帰れ」
「帰る準備しろ」
はっきりした口調だった。
涼ちゃんは少し固まる。
「え……」
手を鍵盤の上に置いたまま、考え込む。
帰っていいのか。
途中で抜けていいのか。
レコーディング中だし。
まだ自分のパートもある。
涼ちゃんは少し俯いた。
「……でも」
小さく呟く。
どうしていいのか分からなくて、
そのまま 黙り込んでしまった。
りょん.
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