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ruruha
785
#マフィア
らむらむ
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13
あおい
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「お兄ちゃん!お兄ちゃん…!」
燃え盛る家の中から叫ぶ妹の凛の声が聞こえる。
「…凛…!もう少しの辛抱や…!!!わしが助けたるからな…!!! 」
「お兄ちゃん…もう私達の事はいいから、これ以上苦しまんといて。」
どんどん勢いを増していく炎の中から聞こえる凛の悲しげな声。
「アホか!何言ってるんや!はよ手伸ばせ!」
塁は何とか凛を助けようと必死に燃え盛る炎の中に腕を伸ばすが届かない。
腕が熱い…自分の腕が炎に包まれる…
もう限界だ…
「…………凛っ…!…はよ……もう……腕が…。」
「お願いお兄ちゃん、自分のために生きて?」
「くっ……。なに…アホな事言うてんねん…凛…!!!行くな…!!!」
凛はそう言い残し自ら炎の奥へ奥へと消えて行った。
.
.
「はっ……!」
目を開いた先には見慣れた部屋の天井。
「……はぁはぁはぁ。くそ…またこの夢か…。」
まだ朧気な意識の中、周りを見渡し、ここが現実の世界である事を確かめる。いつもと変わらぬ部屋の様子が広がっている。
そして今度は自分の体に意識が移った。悪夢のせいか体はじっとりと汗ばんでいた。
「……はぁ…。」
深く溜息をつき、汗で張り付いている服を脱ぎながら、頻繁に見るこの夢はなんなのかと考える。
――。
当然答えなんぞ出るはずもなく。
「凛…。」
妹の名前を呟きながら重い体を引きずるようにベットから出た。
汗を流そうとお風呂場へ向かった。
“自分のために生きて”
夢の中で燃え盛る炎の中から、悲しそうにそう言った凛の声が頭の中に焼き付いて離れない。
「そんな事言われんでもワシは自分のために生きてきた…ずっと……。」
そう頭の中で呟きながらシャワーの蛇口をひねる。
―シャアーー…。
振り注いでくる水に打たれ、どんどんと頭が冴えてくる。
夢の中の凛の姿。
ポツンと悲しげに佇みこちらを見つめていた…
「本当にそうなの?」と問われている気がした。
思えば金貸しの道に入ってから自分の人生を顧みる事は一度もなかった。いや、無かったというより振り返る必要なんぞないと思って生きてきた。
父親が知人に騙され借金を背負い追い詰められた末に家に火をつけ自殺。母親は男と失踪し、妹の凛はその火事に巻き込まれ死んだ…。
一瞬にして家族も住む家も無くした。それでも、父親の借金を返すために己の身を削った。そこから生まれた銭への執着心…。
そんな地獄のような日々を振り返る必要は無いと思って生きてきた。
それなのに…
シャワーに打たれていると、その記憶が走馬灯のように蘇ってきた。
自分の中で蓋をしていた記憶…。
今まで銭のため、金貸しとしてどう生きていくかその事だけを考えて生きてきた。
その生き方が間違ってると言うのか。
凛の言葉が頭から離れない。
「これ以上……どうしろ言うんや…。」
今まで湧いてこなかった迷いと戸惑い、塁が金貸しになってこんな風になるのは初めての事だった。
―その2時間後
―金矢金融事務所―
塁は事務所に出勤し帳簿をつけ作業をしていた。
―ガチャっ!バタバタッ!
「兄貴ぃ!大変ですー!」
けたたましい足音と共に叫びながら竜一が部屋に飛び込んできた。
ルイはその音にチッの一つ舌打ちを打つ。
「やかましい。静かにせえって いつも言うとるやろ。」
「はぁはぁ…。すんません!早く兄貴に伝えな思って。」
「で、どないしたんや?」
「あ、あの……高瀬が飛びよりました!」
「チッ…あのガキが…。舐めた真似しよって。飛んだ先の居場所はもう見当ついとるんか?」
「いや、それがまだ…。ただ、あいつが良く出入りしてたクラブは目星ついてます…。」
「そうか…あいつミナミでよう呑んだくれとるいう噂やったな…。さっそくそのクラブ行くぞ…。」
「いや…!ちょ…あの…そのクラブなんですけど…。」
いつもの勢いが無くどこかバツの悪そうな竜一。
その様子にルイは眉間に皺を寄せて問いただす。
「何や歯切れの悪い。なんか問題でもあるんか?」
「えっと、その…。あいつが良く出入りしてたのが桜子ちゃんのクラブらしくて…。」
「……だからなんや?」
「あいつ桜子ちゃんに相当夢中らしくてそれで金……。」
「……あいつが誰に入れ上げてようがそんなもんワシには関係無い。こっちは銭返してもらうだけや。余計な事考えるな。」
「はい、ですよね…。」
「ほな、米原のクラブ向かうぞ。」
「へい。」
竜一の言葉を掻き消すようにそう言ったルイの目には少しの戸惑いと不安が渦巻いているように見えた。
それは舎弟として雇われてずっと側に居る竜一だからこそ分かるの微妙な空気感の変化だった。
そして、2人は桜子が経営するクラブに向かった。
ミナミの街の繁華街。
高級ブランドで着飾った男と女、同じような化粧や顔をして張り付けた笑顔で通り過ぎていく。
金欲と愛欲が渦巻く街。
金貸しにとってこんな好都合な街は無い。
嘘と見栄で塗り固められた世界。
この街で金貸しをしていると人間の本質が段々と見えてくる。
かりそめの華やかさの中で段々と大きくなっていく見栄と嫉妬。そして同時に大きくなっていく孤独。その孤独感を利用されて、人は夜の世界の罠にハマっていく。そして金を落とす。この世界では金が物を言う。
ここで渦巻くそんな虚しい欲望を塁は嫌というほど知っている。
いくら幼い頃の同級生…思い出がある桜子であろうとも夜の世界にいる以上、例外ではない。
しばらくして2人は桜子のクラブが入ったビルに到着した。
エレベーターに乗り店の桜子のクラブが入ったフロアまで上がっていく。
ガラ…
正面に店の入り口が見えた。
「兄貴ここです。」
「…………。」
ルイは鋭い目つきでその入り口を睨んでいた…。
この時、竜一にはその横顔が何か覚悟を決めたようなそんな表情に見えた…。
そして、店の中へ足を進める。
「いらっしゃいませ。」
「おお、兄ちゃん。 今日ママは出てる?」
「申し訳ございません。あいにく本日ママはお休みをとっておりまして…。」
「休み…。兄貴どないしましょ。」
「……。お前はここにおれ。
店の子らに高瀬の情報聞き込むんや。」
「分かりました。情報掴めたら連絡します!…兄貴は?」
「ワシはちょっと調べたい場所があるからそっちに向かう。頼んだぞ。」
「へい。」
そう言い残し、足早に去って行く塁。
竜一の目にはその背中が何かに駆られて焦っているように見えた。
舎弟として雇われて塁のそんな後ろ姿を見るのは初めての事だった。
―兄貴、やっぱり桜子ちゃんの事―
「あ…あの、お客様。ご指名はございますか?。」
「え?あ、そやなぁ!ここの店一押しの女の子つけてくれるかぁ!」
「もちろんです!良い子揃ってますよ♪」
「うひょ〜!」
早速、仕事を忘れて浮かれる竜一であった。
コメント
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うわああ、12話……めっちゃ重くて切ない回やった……😭💔 塁の過去が一気に明かされて、妹の凛ちゃんの「自分のために生きて」が刺さりすぎる…。 自分を顧みずに突っ走ってきた金貸しの人生に、初めて迷いが生じるシーン、すごくリアルで心にきたよ。 桜子ちゃんの店に向かうラストも、何か覚悟決めたような横顔が気になる…!次どうなるん!?続き待ってる〜!!🌸✨