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炎天下の中、自宅の庭でボール遊びをしていると視界の端に映る岩の山。
その岩山には1本の細いパイプが突き刺さっており。
自宅の裏庭に続く人がすれ違える程度の細い通路に置かれている。
そんな自分の背丈より少し高い岩の山が幼いながらにしていつも気になっていた。
どうして岩があんなに沢山あるのだろうか、何の為に積み上げられているのだろうか。
いつも見えるそんな岩山が気になっていた。
この日も汗を流しながらボール遊びをしていました。
いつもの様に視界の端に映る岩山。
遊んでいるとガチャ、っと音を立てて玄関の扉が開かれる。
そこには両手に靴を持った母親の姿が。
玄関を綺麗にしようと出てきたのであろう母親は手にした靴を玄関の段差に靴を立て掛け。
箒を手にすると掃き掃除を始めた。
そうだ! 母親に尋ねてみよう、と思いたち。
岩山の事を聞こうと母親の元に駆け寄る。
「ねぇ、ママ」
「どうしたの?」
「あの岩の山には何があるの?」
「あの中には井戸があるのよ」
「じゃ、あの棒は何?」
と、指さをして尋ねると母はニッコリと不敵に笑みを浮かべ。
「息が出来るようによ」
そう言うのです。
何故だかその笑みにゾッとし、一体何が居るといるのだろうか。
母には家族に言えないような秘密があるのか、そんな風に思いました。
何だかこれ以上追求してはいけないような気がし。
それ以来井戸について言及する事を辞めました。
自分の身の安全を考えた結果です。