テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#不倫
#離婚
#ヒトコワ
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
黎明会は、手に入れた空っぽのルーツ・ガーデン旧本社を拠点に
「新生ルーツ・ガーデン」と銘打った偽の慈善事業を開始した。
彼らの狙いは、詩織さんが築き上げた「誠実」という名のブランドを食い潰し
不当な寄付金を集める「詐欺ビジネス」への転換だった。
「詩織さん、奴ら名前を商売道具にしやがった。…このままじゃ、あんたが積み上げた信用が一円残らず泥を塗られる」
海斗が不快そうに画面を睨む。
しかし、私は父の万年筆を回しながら、穏やかに告げた。
「いいえ、海斗君。彼らが『独占』しようとするから価値が出るのよ。……なら、その価値をゼロにしてあげましょう」
私は即座に、公式声明を発表した。
【『ルーツ・ガーデン』という名称、ロゴ、および運営ノウハウのすべてを、本日より一円のライセンス料も取らず、全世界にオープンソース(無償公開)とする】
この瞬間
「ルーツ・ガーデン」は私の私有財産ではなく
誰もが名乗り、誰もが実践できる「概念」へと進化した。
世界中の小規模な支援団体が次々と「我こそがルーツ・ガーデンである」と名乗りを上げ
黎明会の「本家」という主張は、膨大な善意の海の中に一円の端数として埋もれていったのだ。
「独占できないブランドに、投資価値はないわ。……さあ、海斗君。次はあなたの番よ」
「了解だ。…黎明会が偽の寄付金を集めるために作ったマネーロンダリング用のサーバー、今、全権限を奪取した」
「……彼らが洗浄しようとしていた裏金、一円の漏れもなく、世界中の孤児院と自立支援施設へ『匿名の寄付』として一斉送金してやったぜ」
黎明会のモニターには、刻一刻と減っていく「悪の残高」が表示されているはずだ。
彼らが必死に貯め込んだ「黒い数字」が、一瞬で「白い未来」へと書き換えられていく。
その数時間後、私のスマホに非通知の電話が入った。
『……見事な手際だ、詩織君。私の「資産」をここまで綺麗に清算してくれたのは、君が初めてだ』
低く、落ち着いた声。
黎明会の真のトップ───
長谷川さえも跪かせた日本経済の影の支配者・黒田からの、直接の対談申し込みだった。
「……私の帳簿に、あなたのような『不良債権』と会う予定は入っていませんが」
『ふふ。……君の父、そして直樹。彼らがなぜ、あそこまで「一円」に固執したのか。その本当の答えを、私が教えてあげよう』
【残り11日】