???「ん〜!よく寝た!」???「あれだけ闘って神堕ちして一晩寝ただけで回復したんですか?まぁ怪我は治ってませんが……」
???「気持ち的には回復したよ〜」
ここは、橙の家。「紫雲雨花」は、昨日の闘いから即寝てしまい、今起きたところである。「不山橙」はご飯の準備をしながら雨花と話している。
雨花「まぁ怪我は少し悪化したかなぁぐらいだから大丈夫だよ!そこまで深刻にならなくても」
橙「怪我してる時点で大丈夫じゃないですよね!?全くもう……」
そして、橙が料理に集中しようとすると、
雨花「橙ちゃん」
橙「何ですか?」
雨花「…………」
「「ただいま」」
橙「!」
橙は微笑むと、
橙「おかえりなさい」
二人の間に優しい空気が流れ込んだ。
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ピンポーン
橙「誰でしょうか。雨花さん分かります?」
雨花「この気配は……「あいつ」だね」
橙「「あいつ」……あぁなるほど」
ピンポーン
雨花「珍しいね。こんな風にインターホンで「あいつ」が来るなんて」
橙「あんまり家にあげたくないですけど……仕方ないですね」
橙は、玄関の方に歩いていった。そして、扉を開ける。
???「よっ!雨花いる?」
玄関には……
橙「お久しぶりですね。」
「「化茶さん」」
化茶「とにかく家にあげてくれよ〜話があるんだ」
橙「また何か企んでませんよね?」
化茶「企んでもお前ならアタイを簡単に倒すことぐらいできるだろ?とにかくあげてくれ」
橙「……どうぞ」
橙は、化茶を家にあげる。
化茶「おぉ!怪我だらけの傷だらけ!いいなぁいいなぁ!お前がこういう姿になるのアタイは興奮する〜!!!!」
橙「やっぱり家にあげない方が良かったでしょうか」
雨花「それで?こんなに大人しく来訪してくるなんて何かあった?」
化茶「んふふっ!アタイは今言ってしまえば、風来坊。天使にも妖怪にも、もちろん人間や神にも属さないどこにもつかない存在。だからあの世の法律の穴を掻い潜っていわゆる「悪い事」をするのも簡単なんだ。猫は主を決めない。餌を持ってくるやつなら誰にでも縋り付く。アタイはそんな生き方をしたいのさぁ〜それでな。アタイを風来坊でいさせてくれる協力者の一人がこれをくれたんだ。」
化茶は小さな包袋を取り出す。
橙「何ですか?これ」
雨花「多分これ、相当手に入らないやつでしょ?翡翠ちゃんのお店にも売ってるかどうか……」
化茶「開けてみにゃぁ〜」
開けるとそこには……
雨花「これは……まさか……」
化茶「西洋の神々が育ててるザクロの一部だよ」
橙「え」
「「えぇぇぇぇぇぇ!?!?」」
神々が育てるものには、何かしら力が発達する。例えば、雨花の飼っているフンコロガシのように、「神が育てる」ということに意味がある。人間で言う「言霊」のようなものである。
橙「ザクロって心臓の健康や「血液」「生命の源」と言われる果物で、神が育てるザクロには、それらの意味が強く反映されますよね?!ということは……!」
化茶「そうそう〜雨花の怪我を完治させることができるんだにゃぁ〜にゃはは」
橙「雨花さん!」
雨花「これ……不死になったりしないよね?」
化茶「ん〜さすが用心深い!それなら心配にゃーよ。一気に全部食べたら不死になっちまうけど、一部分を食べる分には怪我が治るだけで済むんだよ〜」
雨花「………何でこれをわたしに?」
化茶「いつまでも怪我人だとアタイと張り合いが取れないから〜」
化茶は、いつも自分のために行動する。自分の目的のためなら敵にも手を貸すような妖怪。それが化茶。だからこそこのザクロの話は信頼出来る。
雨花「じゃあ食べるよ……」
橙「は、はい……」
シャリッ
雨花「…………!」
橙「雨花さんの怪我がみるみるうちに治っていく……!」
雨花が負った傷が光を出しながら治っていく。そして、見事に完治した。
橙「よ、」
「「良かったぁぁぁぁ!!!!」」
橙は、とても大きく喜んだ。
雨花「よし、これで……」
橙「え?」
雨花は体をうづかせると、
「「「「やっと好きなだけ修行ができる!!!!」」」」
化茶「ぶふっ……これはまた大怪我するのも遠くないかもな?」
橙「雨花さん……あなたという神は……」
雨花は、目をキラキラさせて、早速荷物をまとめる。
雨花「さぁ!小雨丸!家に帰るよ!」
「橙ちゃーん!」
橙「な、何です?」
雨花は、自分が出せる精一杯の笑顔でこう言った。
「「ありがとう!!」」
橙「!、いえ。無理だけはせずに。……といってもあなたは無理するでしょうけど」
雨花「あはは!じゃあね!」
そして、雨花は帰ろうとした。
化茶「あと少し待て。これ。」
雨花「?」
化茶が渡してきたのは、小さなメモだった。
雨花「何なのこれ?」
化茶「まぁ帰ったら読め。じゃあな」
こうして化茶は外に出ると妖術で帰っていった。
雨花「橙ちゃん!また冥府で!」
橙「はい。冥府で」
雨花も瞬間移動で帰っていた。
橙「少し、淋しいものですね。」
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雨花「さてと、あいつがわたしに渡してきたものは何なんだろう」
雨花が開いたメモにはこう書かれていた。
『新月の光、汝の反逆へ照らしきる時、あと数日』
雨花「…………」
話さなきゃ……いけないんだろうな
橙ちゃんたちに
分かってるんだよ 橙ちゃんたちが幻滅なんてしないって
きっと わたしが犯した罪も 自分のことを責めることも 橙ちゃんたちは 笑って許してくれる
「傷つけたと自覚できてるだけで充分です」とか言って
でも……
でも……!
わたしはその「受け止められる」ということをされるとそれが「間違い」だって決定づけることになるんだ……
それでも……
話さなきゃいけないんだよな
わたしは
早く話さないと