テラーノベル
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「はぁ…疲れた」
新しく3人が加入して、間もない頃は
当然、右も左も分からずに…
俺達6人が毎日、手取り足取り教えてやって
やっとこなして行けていた
「あの宮舘君。この後、どうすれば良いですか?」
辿々しい標準語の新入り君が、緊張しながら聞いて来る…
「あぁ。この後、しばらく仕事無いから…。お昼ご飯、食べてて良いよ」
疲れ切っていた俺は、かなり短めに返事を返し
またすぐ…机に伏せ、自身の体力回復に努めたが…
「あの…。肉と魚があるんだけど…どっち食べても良いんかな?」
再び遠慮がちに、声を掛けられ…またすぐ顔を上げた
「良いよ。食べたい方、食べな」
今度は、かなり…ぶっきらぼうに返してしまって
反省したがもう遅い…
「はい…」
頷いた彼は、俯きながら楽屋の隅で1人弁当を食べ始め
俺は…ボーッとその姿を見つめている…
「………」
人に教える事に、まだ慣れなくて…
極度の人見知りの俺は、新しく加入して来た3人との距離感を…まだ測れないでいた
元々、顔が怖いと定評のある自分が…近付いて行って、怯えられないだろうか?
佐久間や阿部の様に、温和にサラッと仲良くなれたら楽なんだろうな…
性格も不器用で…曲がった事が嫌いな俺は、人付き合いが上手く出来ない
一度仲良くなってしまえば…誤解も解けて笑顔も増えるが
そこまでの仲になるのに、時間が掛かる…
『俺に、どうしろって言うんだよ…。 面倒くさい事に、なったなぁ…』
心の中で毒を吐き
大きな溜息を吐き出した…
撮影の中のリアクションの取り方や
ダンスレッスンの振り付けなら、教えられるが…
問題なのは、休憩時間のOFFタイム…
憂鬱になって項垂れていると
しばらくして康二の側に翔太が座り
そのまま仲良く話しながら、一緒に弁当を食べ出した為…
ようやく俺は安心して、眠りに付く事が出来たのだった
そんな、ある日…
「なぁ涼太。最近、康二に懐かれるじゃん」
翔太が変な事を言い出した
「は?懐かれてるって、毎日…ただ質問しに来るだけだけど?」
康二とは、毎日…仕事上の会話しかしていない…
それを懐かれていると言う翔太は、何をどう見間違えているのだろうか?
「まさか、涼太。気付いてないの?」
「何が?何の事、言ってるんだよ?」
不機嫌そうに眉間に皺が寄って、笑われた
「あのさ康二…。俺達も側に居るのに、少し離れた場所に居る…涼太に毎日、色々聞きに行ってる」
「は?何で?」
「さあ、知らない。ただ涼太と、仲良くしたいだけじゃないの?」
『康二が俺と、仲良くしたい?』
疑問がムクムク湧いて来て
俺は、気になり声を掛けた…
「なぁ康二。お前…他に皆んなが居るのに、わざわざ俺ん所来るって聞いたけど…」
「あぁ…。それは本当。声掛け言ってる」
「何で?自分で言うのも何だけど…俺、話し掛け難く無い?」
俺の言葉に不思議そうな、キョトンとした顔をして
「それは、仲良くなりたいからに決まってるやろ?宮舘君。実は、凄く優しいって思ってるから…」
間一髪入れずに、そう答えた
『俺が…優しい?』
予想外の返事が返って来て、思わず言葉を失ってしまう
「だって。弁当の事聞いた後も、俺が1人で食べてるの…ずっと気にして見てくれてたやん」
「あれは、ただ気になって…」
「それを優しいって、言うんやろ?」
「…///」
ついに周りで聞いて居たメンバー達が、笑い出し
「涼太、お前の負けだ。諦めろ」
「お前の性格、モロバレなんだよ」
口々に、茶々を入れて手を叩く…
実は涼太は、口に出さないだけで
誰より優しくて…誰より面倒見も凄く良い
そして、そこに康二が…すぐに気が付いた…
それから、今まで俺を遠巻きに見て居たラウールまでもが
頻繁に話し掛けて来る様になり…
俺の周りは一変した
俺の隣に座る康二…
もう、遠慮も必要ないらしい
康二の周りは笑顔で溢れ、周りは…いつも人の声で溢れていた
そんな彼が、いつも側に居るせいで…おちおち昼寝も出来やしない…
「全く…。これも全部、お前のせいだから…」
俺が、康二の背中を見つめて呟くと…
「ん?なんか言った?」
嬉しそうに、こちらを見つめて聞いて来る…
俺は、そんな康二を見つめながら
「面倒くさい事になったなぁ…」
そう、小さく笑顔で呟いた…
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