テラーノベル
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監獄の深層へと進むにつれ、廊下の空気はより重く、湿り気を帯びた魔力に満たされていった
第4階層への入り口――そこは「宝物庫」へと続く唯一の道であり、
この監獄で最も強固な魔法障壁が張り巡らされた「デッドゾーン」だった
MEN 「……止まって。ここから先は、さっきまでの『認識バグ』じゃ通れない。
物理的な壁じゃなくて、空間そのものが魔法でねじ曲げられてる」
MENが指差す先、廊下の空気が陽炎のようにゆらゆらと揺れている
一見、何も無いように見えるが、その向こう側には「触れたものを無差別に転送・切断する」
という狂気的な防衛魔法が渦巻いていた
おんりー 「……これ、俺のスピードでも無理?」
MEN 「無理だね。一歩踏み込んだ瞬間に、右足と左足が別々の場所に飛ばされるよ
……でも、逆に言えば、この魔法の『核』さえ叩けば
この監獄のセキュリティは全機能が停止するはず」
MENは廊下の隅にある、巨大な水晶が埋め込まれた制御盤の前に立った
彼が端末を接続した瞬間、フロア中に警報音が鳴り響く
MEN 「おんりー、これから俺がこの空間魔法のプログラムを強制上書きする
かなり強引にやるから、俺はここから一歩も動けない
……最短でも五分。その間、俺の背中、守ってくれるか?」
おんりー 「……五分も? MENにしては長いね」
おんりーは不敵に笑い、奪った魔導槍を再び手に取った
廊下の前後からは、先ほどの守護兵とは比較にならないほどの数の、黒い影が迫ってきている
MEN 「文句言うなって。魔法の神様と喧嘩してるようなものだから、これでも最速だって
ま、最速様には負けるけどなw ……じゃあ、始めるぞ。」
MENの指が、残像を残すほどの速さで画面を叩き始めた
それと同時に、制御盤の水晶から激しい放電が起こり、MENの全身が青白い火花に包まれる
おんりー 「……っ、始まったか」
おんりーはMENに背を向け、迫りくる「影」――魔法で作られた自律型暗殺者たちの群れを見据えた
彼らには実体がない。黒い煙のような体に、鋭い鎌のような腕
それが、四方八方の壁や天井から、音もなくおんりーへと襲いかかる
おんりー 「……遅い」
一歩。 おんりーが地面を蹴ると、その姿は再び「線」となった。鎌が空を切り、石床に深い爪痕を残す
そのコンマ一秒後、おんりーの槍が影の核を正確に貫いた
アサシン 「ギ、ガァァ……ッ!」
おんりー 「一体……次」
息をつく暇もない。 正面から三体、天井から二体
おんりーは槍を回転させ、魔法の打撃をすべて弾き飛ばす
防具のない彼にとって、一撃でも掠れば致命傷になる
だが、その極限の状態が、おんりーの集中力を限界以上に研ぎ澄ませていた
おんりー (……MENのキーボードを打つ音が聞こえる。あいつが戦ってる間は、一歩も後ろには引かせない)
背後では、MENが冷や汗を流しながら、必死にノイズと戦っていた
画面には「Access Denied」の文字が並ぶが、彼はそれを強引にコードの書き換えで突破していく
MEN 「……くそっ、魔法のバックアップが多すぎる……!
待ってろ、今この世界の『理屈』を全部ぶち壊してやるからな……!」
MENの目には、もはや周囲の光景は映っていない
彼の脳内では、複雑怪奇な魔法の数式が、0と1の羅列へと分解され、書き換えられていく
それは、魔法という絶対の力に対する、科学という名の人間の意志の反逆だった
おんりー 「……はぁっ!」
おんりーの槍が、最後の一体の影を霧散させた
だが、廊下の奥からはさらなる増援の足音が聞こえてくる
彼の呼吸は少しずつ荒くなり、額からは汗が流れ落ちる
腕輪の重みが、じわじわと体力を削っていた
おんりー 「MEN、あとどれくらい……!」
MEN 「……九十パーセント! あと三十秒だけ、耐えて……!」
おんりー 「三十秒、ね……。わかった。じゃあ、とっておきを見せてあげるよ」
おんりーは槍をその場に突き立て、腰を深く落とした。 武器を捨て、素手で構える
彼の周囲の空気が、まるで真空になったかのように静まり返った
おんりー 「……最速のその先、見せてあげる」
迫りくる十数体の守護兵たちが、一斉におんりーへと飛びかかったその瞬間
爆発的な衝撃波が廊下を駆け抜け、視界が真っ白に染まった
おんりーは、動かなかった
──正確には、動いた瞬間に元の位置に戻っていた
ただ、彼の周囲にいた守護兵たちは、何が起きたのかを理解する間もなく、
その全ての関節を粉砕され、地面へと崩れ落ちた
MEN 「……ふぅ。お待たせ、おんりー。システム・ハック……完了!」
MENが最後のキーを叩きつけると、廊下を塞いでいた陽炎のような魔法障壁が、
ガラスが割れるような音を立てて粉々に砕け散った
それと同時に、監獄全体の明かりが消え、非常用の赤いランプが回転し始める
おんりー 「……間に合ったみたいだね」
おんりーは肩で息をしながら、MENの方を振り返った
MENもまた、精根尽き果てたように制御盤に寄りかかっているが、その瞳には勝利の輝きがあった
MEN 「あー、疲れた……。おんりー、怪我はない? あんな無茶な動きして」
おんりー 「……MENこそ。あんなに火花散らして、生きてるのが不思議なくらいだよ」
二人はお互いのボロボロな姿を見て、ふっと小さく笑い合った
障壁の向こう側――そこには、二人が失った「力」が眠る宝物庫の扉が、静かに待ち構えていた
コメント
4件
ワタシモ゙~ 今回も面白かったです!見るの遅れたっ