⚠文章下手・妄想・自己解釈等あり
自衛お願いします
あと〖13日〗
「魔理沙!!!」
聞き馴染みのある声がして、私は驚いた。
それ以上に前にいる男たちが驚いており、声の主の方を見て彼らは狼狽え始めた。
私もそちらの方へ目をやると、そこには紅白の巫女が立っていた。
艶やかな黒髪は月光が反射して光り輝いているように見えた。
ザッ……ザッ……ザッ……
彼女は少しずつ男たちに歩み寄り、胸ぐらをつかみ耳元で呟いた。
「…私の事、分かるんでしょ?アンタらが人攫いで有名な悪漢ね。
ご丁寧に工事の看板まで出してくれちゃって。
路地裏、工事、深夜、完璧な条件を揃えるなんて、悪い意味で頭が事故ってんのね。
……こんなに頭の回るアンタらなら、今がどういう状況か、分かるわよね?」
一生姿を見せないで頂戴、とつけ加えて、彼女は脚を振り上げ茶髪男の顎を蹴り上げた。ついでにもう1発加えようとしたので、わたしは慌てて彼女の動きを止めた。
「れ、霊夢、や、やめろ!!巫女が町民に暴力を振るったことが知れ渡ったら、大問題だぞ!。」
そう言って私が動きを止めているうちに、男たちは逃げ出した。
「魔理沙、……止めてくれてありがと。」
しばらくして先程よりも柔らかい目をした彼女が私を見つめた。
「いや、お礼を言うのはこっちだ。本当にありが━━」
そう言いかけて、私は倒れた。
「! 魔理沙……っ!」
霊夢が私をとっさに抱えた。
身体中が熱を保ったような痛みで、上手く体を動かせなかった。胸と頭が鋭く痛み、体が悲鳴を上げていると気づくには、そう時間を要さなかった。
「ハッ…!ハッ…!ハッ…!ハッ…!ハッ…!」
過呼吸になり、次第に目の前が白く霞んでいく。
「魔理沙!」
必死に私の名前を呼ぶ霊夢の声がして、私は気を失った。
あと〖12日〗
鳥のさえずりで目を覚ました。
上半身を起こすと、強烈に体が痛み、私は小さく呻いた。頭がズキリと痛んだので、こめかみに手をやるとカサッという音がした。
どうやら包帯が巻かれているらしい。自分の体を見ると、至る所にガーゼや絆創膏、包帯が巻かれていた。
首だけを動かして辺りを見回すと、少し古くなった障子と、そばには水の入った桶が置いてあった。
桶の中に手を入れるとひんやり冷たく、ついさっき水を入れ替えたばかりなのだと分かった。
「目が、覚めたのね。」
突然後ろから声がして、肩が跳ねた。
声の方を見ると、そこには優しい目をした霊夢がお盆を持って立っていた。
私の方へスタスタと近寄ってきて、下にお盆を置くなり私の額に手を置いた。
「良かった、熱は下がったようね。」
「え、熱があったのか?」
「えぇ、約40℃ぐらいかしらね。」
「…まじ?」
「まじ」
「なんでそんなに高いんだよ。」
「知らないわよ、私じゃなくてアンタが自分の体に聞きなさいよ。」
「分かるわけねぇだろ。」
「そうでしょうね。」
そんななんてことない会話をした。ただそれだけ。
それだけな筈なのに私は……楽しかった。
そして、やっぱり私は霊夢が大切だ、
そう気づいた。
誰よりも守りたくて、誰よりも幸せであって欲しい。
そう思うと、自然に顔がにやけた。
「ねぇ、魔理沙。」
「ん?」
「ごめん、あの時、無理に質問して。」
俯きながら霊夢は言った。
「え」
「魔理沙の気持ちも考えずに、無理やり聞き出そうとして……ほんと、反省してるわ。だから━━━━━」
嫌いにならないでね
そう言って彼女は縋るような目で私を見た。
許すなんて判断を下すのですら烏滸がましい私に、彼女はそんなことを言ってきたのだ。
「いや、私が悪かったんだ。こっちこそごめん。」
「私も、嫌いにならないから、霊夢も」
嫌いにならないでくれよ
そう言うと霊夢は笑った。
「え、これ私の好きな物じゃん!」
暖かい汁を少しづつすすりながら、私は声を上げた。
「まあね。」
私の好物を冷ましながら彼女は答えた。
「霊夢ってほんと私の事好きだよなー、なぁんて。」
「そうね。」
ん?
「だから笑って欲しい。ずっと。」
彼女はいつの間にかこちらを向いていた。
「……そう言うのを反則って言うんだぜ。
レッドカード1枚だ、退場を願う。」
「…私が退場したら、試合は終わらないわよ?
アンタ、家帰れないわよ。」
「安心しろ、今日は帰るつもりは無いからな。」
「安心したわ……。って、魔理沙の顔の方がレッドカードじゃない。真っ赤になってるわよ。」
そういって、からかいあうこの瞬間が私は大好きだ。
コメント
1件
平和だ・・・ うん、平和じゃないかもしれんけどこれが1番いい・・・