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『宵闇の中のジョーク』
第1話
「最悪な出会いは、だいたい面白い」
夕暮れを過ぎた街は、ネオンが滲んでいた。
駅前の小さなライブバー《Nocturne》では、今夜も騒がしい笑い声が響いている。
「はいはい! 次の人、ドリンク受け取ってー!」
カウンターの奥で忙しそうに動き回るのは、tg。 くるくる変わる表情と人懐っこい笑顔で、店の人気者だった。
「tg、お前また注文間違えてる」
低い声が飛ぶ。
「えっ、うそ!?」
「アイスコーヒー頼まれてホット出してる」
「愛情で温めたってことで!」
「意味わかんねぇ」
呆れた顔でため息をつくのはpr。 口は悪いし愛想もないが、顔がいいので常連人気は高い。
「prくーん、怖い顔してるとシワ増えるよ?」
「うるせぇ」
「でも助けてくれるの優しいよね〜」
「……調子狂う」
tgはにこにこ笑う。
prはそれを見て、なぜか視線を逸らした。
その時、店のドアベルが鳴る。
「いらっしゃいませー!」
入ってきたのは、長身で無表情気味の男。 その後ろには、ふわっとした雰囲気の青年が続いていた。
「こんばんはぁ……予約してたktyです」
「……mz」
短く名乗った男に、tgはぱっと笑顔を向ける。
「わ! イケメン二人組だ!」
「軽」
mzが即答する。
「えー、冷たい!」
「事実だろ」
だがその横で、ktyは困ったように笑っていた。
「mz、もうちょっと優しく……」
「甘やかすな」
prがその様子を見てぼそっと呟く。
「……なんか似たタイプ来たな」
「え、誰が?」
「お前以外」
「ひど!」
その時だった。
ガシャーン!!
店の奥から盛大な音が響く。
「うわぁぁぁ!!」
「……またか」
そこには床一面にグラスをぶちまけたatと、爆笑しているak。
「at!! 大丈夫!?」
「いや〜、滑った」
「天然で済む量じゃないんだよなぁ!」
akは腹を抱えて笑っている。
「でも芸術点高かった!」
「褒めるな」
prが冷静につっこむ。
tgはそんな騒がしい空間を見回して、ふっと笑った。
夜の街。 少し寂しくて、少し温かい場所。
ここには、変なやつばかり集まる。
だけど――。
「なんか今日、面白くなりそう!」
その言葉に、prはまた小さくため息をついた。
「……お前がいる時点で、毎日うるせぇよ」
「えへへ」
なぜかその笑顔から、prは目を離せなかった。
――続く。
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