「ママ……大丈夫かな……」
「分からない……あの人が警備職を辞職したって噂を聞いてから、それ以来は見に行ってなかったからな、マーティルさん……元気にしてるかな」
そうして、ユリメアの母親マーティルに会いに行こうと向かう二人だが、しかし此処で『悲しい運命』私を知ってしまう事に。
「あら……?ルディックじゃない、久々ね」
「お久しぶりです、あの……ユリメアの母親のマーティルさんは今、どうしていますか?」
「…………!!!?、………………………………」
「え……、まさか何かあったんですか……!!?」
「………ユリメアちゃんの母親であるマーティルさんは……残念だけどつい先日亡くなったわ……近隣住民の通報で駆けつけた警察によれば背中や頭部、複数箇所に深く食い込んだ痕跡があったって……」
「…………………そんな………」
知人の人物から知らされた突然の悲しき言葉、ルディックはその後マーティルが埋葬されている墓場へ連れられ、墓参りをした。
「本当に、とても悲しい運命を辿ってしまったわね、ユリメアちゃんも……ユリメアちゃんのお母さんも、二人共親子揃って天国へ旅立ってしまって……離婚し、決別した旦那さんは、この事実をどう受け止めるのかしらね」
「………………この大事件は俺が絶対に止めるよ」
そう新たに決意したルディック。ユリメアは誘拐された挙句殺害され、機械人形の中にその身体は隠蔽され、そしてもう片方の母親は機械人形に突然と襲われ、噛みつかれた。
所謂、噛みつき事件……しかし、何れのケースにしても、この事件の数々に大きく関与していると思われる人物といえば、もはやあの男……『ウィリアム・アフトン』ただ一人しか居ない。
「まさか………マーティルさんが死んでたなんて……もっとあの人の事を気にかけていれば……!!、こんな悲惨な事態を招かなくて済んでたかもしれなかったのに……!」
「ルディックのせいじゃないよ、何れ……こうなる事は分かってた……あの機械人形達はもう、ウィリアム・アフトンに操られるがままに暴走を続けていく、きっと放っておいたら、もっと大勢の犠牲者が出てしまうよ……!!、何とかその前に止めないと……」
「ああ、そうだな。あの店の闇深き真実と真相を知った以上、それにお前だって彼奴に殺害されて死んでしまったんだ、怒りと恨みが湧き上がってくるよ、絶対に君の無念と復讐を果たすから……だからそれまで、傍で見守って欲しいんだ」
「うん、だけど無理はしないで。きみは一人じゃない、私が傍に居るから。二人であの男を追い詰めよう」
マーティルが死亡した原因である噛みつき事故、誤作動や急なエラーによるものなら、単なる偶然や不運と言えるだろうが、あのピザ屋に居る多くの機械人形、更に前提として旧店舗に当るあの店舗には置かれていない筈の機械人形達までもが徘徊していた事を踏まえて考えると、全ての要因である人物と言えば…………そんな事もう明白な話だ。
「彼奴を地獄まで追い詰めたい……それは殺された身として当たり前の怨念だけど、けどどうやってあの男を探し出すの……?」
「他の警備員の人達に色々情報を貰おう、もしかしたら誰かあの男の行方を知ってる人が居るかもしれない」
そんな淡い希望を抱き、彼は警備を続けながらあの男に関しての足取りなどを掴む為の情報を探し求め、あの店舗の内部関係者や元従業員、元々夜間警備に勤めて今は身を引いた者達に焦点を当て、情報を集める方針へ移行した。
その頃、凶悪な殺人魔『ウィリアム・アフトン』は次々と自身が思い描き、理想とする完璧な機械人形なる物を創り出すべく、一人……また一人と、夜な夜な誘拐しては幼き子供を欺き…言葉を偽り。残酷に無実の子供を殺害し、機械人形のガワの中で圧死てはの繰り返し。
「私が理想として求めてきた完璧なる機械人形……ただ設計された通りにしか動かないロボットなどつまらない、完全形の機械人形……何度も失敗を繰り返し未だ私が理想像とする完全形には近付けていないガラクタばかりだ、しかし……この肉体と魂が朽ち果てようとも、私は諦めない」
彼が追い求める理想……その真意と真相は謎ばかり。
一体何故このような事を冒してまで、果たしたいのか……彼は機械人形達を引き連れ、連続誘拐失踪事件を何度も、何度も引き起こす。
彼が尊い犠牲を生み続けているその頃、ルディック達は警備と情報収集を両立させながら流れていく日々……。
「情報が集まらないな、殆どの人が脅迫されてるのか口封じさせてるせいなのか、あの男についての話をしてくれる人が全く見当たらない」
「内部の情報ってなると、事件や事故の事なら隠蔽されてるって可能性はありそうだね…それにもし仮に知ってる人が居たとしても、それはほんの一部の人だけ………取り敢えずもっとあの男についての詳細を知ろう」
こうして、今度はネットの掲示板や記事などで事件当初の新聞やニュースからあの男についての情報を得る事に。
「………………でも、此処まで奥深くまで闇を暴こうとして……私達ほんとに大丈夫なのかな 」
「ユリメア……」
「真相や真実を深く追及しないほうが良い、真実の中には踏み込んではいけない……知ってはいけない領域がある、そう私とママを指導してくれてた警備員さんが言ってた事があった」
隠された闇深き真相を知り過ぎてしまえば、どうなるか分からない、闇に葬られるかもしれない。それはあの女性警備員、『ジュディア』が言っていた事だ。
「…………………………」
「大丈夫だよ、ユリメア。お前はもう一人じゃない、俺もお前の存在がこうして有るから希望を捨てずに立ち向かえてるんだ」
「ルディック、ありがとう…………」
そうして、独自にあの男について……『フォンガイ』について調べ尽くした。
「経営不振や信頼性欠落した要因は……やっぱり度重なる事件や不慮の事故による異様な死臭トラブル……数回警察沙汰になり、その後あの男は忽然と姿を消して行方不明に……やっぱり全ての元凶は彼奴で間違いないんだ、けど肝心な居場所が特定出来ないな 」
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