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馬車からおりイベントNPCに下がるように声を掛けて四人共にクマの前に立つ。
「前は拳で片付けたけど今回はサクサク行きたいから剣を使わせてもらおうかな?新調したミスリルの剣とビギナーズラックで貰った鉄の剣の二刀流でね?」
「とりあえず私は変わらず【スピアプ】を使った戦術でやるかなぁ…。」
「これ私の拳って通るのか?」
「【破滅を呼ぶ戦姫プリン】さんが倒せたんですから余裕だよベルノちゃん! 」
「ネットのおもちゃになった私の二つ名言うのやめて貰ってもいいですか?」
「変なことするお前が悪い。」
「それはそう。」
「じゃあ誰が早く倒せるか勝負だ!」
「お前ら二人がいちばん早いだろ!?」
「レベル制限でやれることが少ないのでそうとは限らないですよ?」
「数的有利という言葉があってだな?」
「とにかくやるからな!よーい、ドン!!」
さて、と。このクマさんタイプに関しては私は1回倒してるし、なんならあのイベントの後この二刀流スタイルを獲得するための練習台としてスキマ時間にとことん相手してもらったからぶっちゃけ速攻で倒せるんだよなぁ。なのでベルノちゃんには悪いが私は一抜けさせてもらおうかな。
地を蹴り一気に距離を詰めたあとまずはクロスに斬り込み少し下がったあと再びスピードをつけて今度は少し手前で飛び上がりクマの頭上を通りながら体を回転させて斬り刻む。そして極めつけは背後から腹部を一刺し。ステ振りを物理攻撃とすばやさに振ったお陰で難なくプリンは倒すことに成功した。
「うーん…。コイツもしかして弱い?イベント戦のクマちゃんだからかちょっと弱体化されてるみたいだな。これならミーシャでも倒せるか。」
「うーむ。こいつは困ったなぁ…。」
勢い余って挑戦を受けたけども私は結構不利寄りの職業である。というのもまず魔法を唱えるには少しばかりの時間を有する訳でその隙をついて攻撃されるのは目に見えてる。でそれを埋めるための策はある事にはあるがそれが通用するかがわっかんないんだよね。お手軽にぶっ倒せるのはこのクマの四方を土の壁で封じて天井から私の『アイスランス』で串刺しでおしまいとか出来るけど、多分土の壁を作ったとしてもぶん殴られて壊されそうなんだよなぁ。今私が作れる土の壁もそんなに強度が高くないし高くする方法があっても流石にクマさんのパンチはアウトだろうからあってないようなもん。となると根本を変えていかないといけない。相手を封じるのではなくこちらの得意を押し付ける方にシフトチェンジしようか。【スピアプ】も上手く使い翻弄する形を取ろう。魔法使いが後ろから高火力を撃つ時代はおしまいよ、これからは前線に立ちつつ安定した火力を出す魔法使いが活躍する時代って訳よ。
「そんじゃあサクサクやらせてもらおうかな!まずは【スピアプ】で機動性を確保し次に土の壁でクマを囲む円を作るように、しかし規則性はないように隆起させる。これで視覚からの情報過多を促し変に気を使わせる。そして【爆華 クロユリ】の発動条件を満たす為に殴って『マーキング』を付けてあとは私の得意な『アイスランス』で貫き爆破でおしまいよ!」
彼女の策の通り素早さで翻弄し不意を着いたアイスランスと新たに作りだした【爆華 クロユリ】でクマを倒すことに成功する。
「うーん私強くなりすぎたかなぁ?つってもレベル制限によってMPが少なくなってて今のコンボもポンポンとは使えないな。今度自動MP回復の装備とかアルナさんに作れるか聞いてみようかな。」
「いい、ベルノちゃん?私らはMPが特別多いわけじゃないそのくせしてMPを使う技が結構あるの。だから節約しつつその中で高火力をぶっぱなしてあげる必要がある。」
「じゃあアタックボアを召喚して轢き殺すか?」
「あの体躯じゃあイノシシさんでも吹き飛ばすのは難しいと思うよ?それにお気に入りのベンゾルテちゃんは今のMPじゃ呼べないし」
「そうだったぁ!!?」
「なので、ベルノちゃんはいつも通り銀狼を出して数で戦うの。私は弓兵の石像を二体呼んでサポートに回るね!」
「打撃がどれくらい通用するのか怪しいけどやるだけやってみるよ!召喚!【三匹の銀狼】」
召喚士の得意とする戦術は呼び出した従者との連携攻撃にある。ステータスは極めて平凡的でベルノのように近付いて自身も物理的に攻撃して混ざる『近距離型』逆にルーマは離れた場所からミーシャのように魔法を使ったり自身よりも大型の従者を呼び出し操るような『中距離型』と言われるよくいえば万能、悪く言えば器用貧乏と言ったような形を取っている。本人のスタイルに合わせてあれこれ出来るのが召喚士の良き点であり悪い点でもある。これに加えてベルノはメイン職が魔物使いであるため召喚士の『近距離型』と魔物使いの得意とする獣と連携が相性バッチリなためより化ける戦力となる。
しかしデメリットも当たり前だが存在する。それはベルノのメイン職魔物使いは物理攻撃はそこまで火力が高くないことだ。基本戦闘は魔物に任せるのがこの職の本来の使い方だが、彼女はそれを嫌い自身も戦いに加わりつつ動物と戯れたい。その願いがいちばん近い形で叶えられたのが今の戦闘スタイルという訳だ。本人自体の火力は低いため一騎当千の活躍と言うよりはデュオなどの二人以上の味方がいる時真価を発揮するというコンセプトをルーマから聞きそのデメリットを何とか相殺できないと考えた結果生み出されたのが素早さに極振りしたステータスと召喚士というサブの職を使うということだ。もちろん完全に相殺はできておらず火力を補える代わりに今度は消費するMPが魔物使い単体の非ではなくなったこと。
これはルーマも同様でベルノと違い近距離型では無いにしろ消費するMPは激しいのに変わりない。むしろ中距離型と言われる戦闘スタイルのルーマにとっては重い枷である。その分メリットも大きいが今回のようにレベル制限が課せられている状態ではメリットよりもデメリットの方が圧倒的に大きい。
「くっ…!?拳って効きにくいのね!? 」
「まぁ、獣に対して殴りで対抗しようっていうのがそもそも間違いだもの。だから武器を使うんだから。 」
「そう考えたらプリンさん拳でこれ倒したの化け物すぎじゃん。」
「時間かければ倒せるみたいだけどね。今の私達は武器使ってもキツイんだけど。」
「ルーマのゴーレムすら火力不足になってるもんね。」
「そのせいでお二人共もう倒し終えてるみたいですし」
「私らが最後かよォ……」
火力不足故に少し時間が掛かってるとビッグベアが怒り出し咆哮によってノックバックさせられる。
「うおぉ!?」
「一定の体力削ると形態変化になるみたいだね。」
「あの二人はこれになってないとこ見ると一瞬で体力削ったのか…。」
「怒りっていう状態になったってことは火力とか攻撃パターンが変わってるかもしれないよ?」
「私らの知らん攻撃されたらたまったもんじゃないから速攻で片付けて……」
吹き飛ばされて起き上がるベルノに向けてビッグベアが口を大きく開いたかと思えばその口から閃光が放たれベルノの左肩を貫く。
「ぬぁぁ!?」
「な、何今の!!?」
「ビッグベアがなんかビーム出したんだけど!?こんな攻撃してきたっけこいつ!?」
「そんな話聞いたことないからこいつ多分特殊個体だよ!」
「体力半分くらい持ってかれたからあれ連発されると私らお陀仏かも!」
「ベルノちゃんは一旦下がってアイテムで回復してて!」
「ヤダね!やられっぱなしは気に食わないし何よりあのイベント以降手に入れたスキルの使い時だからね!」
「ベルノちゃん何を!?」
「自身の体力が半分を切ってると火力と素早さにバフが入り代わりに防御は2段階おちる【窮鼠猫を噛む】てパッシブスキル!」
「諸刃の刃とも言えるやつだけど…」
「今一応パーティープレイ扱いだから私がやられてもダウン扱いで済むしちょっと無茶させてもらおうかな!それに使えなくなったのは左腕で、私利き手右だから支障はない!」
「そういう問題じゃなくて自分大事にってことを私は言いたかったんだけど……」
呼び出した銀狼の1匹の背に乗りビッグベアに突撃していく。向かい来る狼に対してビッグベアは鋭い爪を使い横に薙ぎ払いベルノが乗る狼を屠る…。が、攻撃を食らう直後銀狼を囮にし宙に舞い使える右腕で攻撃を放つ。
「私の必殺の1つ、【ガイアインパクト】を喰らいやがれ!」
高く飛んだベルノは攻撃に備えるビッグベア目掛けて迷いなく叩き潰しに行く。対抗してビッグベアもベルノを貫こうと先程と同じく生物がやるとは思えないレーザーを放つ態勢に入る。
「それを許すわけないでしょ私が!」
レーザーを放つ態勢に入った瞬間ルーマが呼び出したアーチャーゴーレムによる三連弓によってキャンセルされ、その怯んだすきを逃さずベルノの【ガイアインパクト】が決まる。脳天目掛けて放ったその拳は華奢な体躯のベルノから生まれたとは思えない高火力で立って数メートルあったクマを地面に叩き付けその衝撃で地面に数メートルのクレーターが出来上がっていた。
「どうだコイツ!私の必殺【ガイアインパクト】は高所から攻撃することで火力が上がる格闘家スキルだけど、スキル販売店で売ってたから買ってくれたわ!」
「適正職ではないからそんなに火力は出ないはずなんだけど、【窮鼠猫を噛む】でそこはカバーされたのか…。」
「私はちゃんとボコられたけどそれでもクマさん三匹倒し終えたね。」
「これでイベント進むんじゃないかな?」