テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
困惑された方も多いでしょう。
長らく更新もなく久しぶりに投稿したかと思えばこれですので無理もないことですね。
あらすじ通りの物語ともいえないフェチ怪文書。短めです。
これをきっかけにくしゃみという生理現象を性的に見る方が増えればいいなと思い投稿した次第であります。
マイナーな性癖であることは理解しています。私自身生まれつきのくしゃみフェチですので、そう出ない方がくしゃみモノを見たときの精神的影響はどうしても計りかねました。
すみませんが見る途中に気分が悪くなっても、キャラ崩壊に解釈を起こしても、ここから先をスクロールしたならすべて自己責任ということで。
これを見てちょっとでも「いいな」と思った方はどうぞくしゃみ沼へ。
東京の働くオフィスでは、毎週決まった時間に決まった部屋で会議がある。
その部屋はビルの高層に位置しており、しかもガラス張り。圧巻のビル街が眼下に広がり、かのニューヨークにも勝る都会特有の圧迫感を孕む景色を楽しむことができる。(高所恐怖症からしたら恐怖でしかないが)
東京はその会議が行われている時間をいつも楽しみにしている。彼が相当のワーカーホリックだからではない。むろん景色もよいものではあるが、見慣れた(自分自身ですらある)それにそこまでの喜びは感じられない。
では、彼は一体なにを楽しみにしているのだろうか。
あくる日。いつもの通り出勤した東京は振られた仕事をいくつかこなし、かの会議室へと向かう。
彼は会議の始まる時間より少し早くその会議室へと向かう。同僚らはいつもそれを不思議がっていたが、会議の準備がある、と答えられるばかりだった。
事実、他のメンバーがドアをたたく頃には、会議の準備はすべて東京によって完了している。
そして今日も彼らはそんな東京の背中を頼もしく思いながら見送るのだった。
誰もいない会議室のドアを開けるとうざったいくらい主張の激しいコンクリートジャングルが目に入る。
東京は小さくため息をつき、テーブルの各席に資料を置いていく。スクリーンの準備も、パソコンの準備も終わった。
……会議が始まるまで20分はある。これからしばらく、ここに人は来ないだろう。
東京は、ごくりとつばを飲み込む。
ガラス張りの例の大窓へ足を向ける。
眼前には何万もの人の巣、コンクリートジャングル、我が物ながら、東京は息の詰まりそうな感覚を覚えた。
東京にとってこの景色は、自分を何倍も偉大に、そして何倍もグロテスクに映し出す鏡面に違いなかった。
目の前の東京は彼よりも東京だった。東京はこの類いの景色を見るたびに、大衆にとってより有意義な「東京」がどちらか痛く意識せざるをえなかった。
今だって、目の前の集合体は「お前なんか」と自分をあざ笑っているようにしか見えない。
だが、と東京は心の中でつぶやき、不敵に笑む。
ポケットの中からさも秘密兵器のごとくとりだしたはポケットティッシュ。大都市たる東京に似つかわしくない低品質のモノ。だがそれがいい。
東京はそのうちの二枚を重ねて細ーく捻る。そう、こよりを作ったのだ。
そして完成したそれを眼前のビル街に重ね合わせる。なんておかしな光景なんだろう。東京は再度唾を飲み込んだ。
ミスマッチな背景と主役とを見比べるのはほどほどにし、東京はこよりを鼻孔に差し込む。
そしてそのまま奧へとそろそろと進めていく。ベストポジションまでたどり着けばそこからちょんちょんと周囲の壁をつついていく。
「くう…………ふっ…………」
むずがゆく、もどかしく、情けない声まで漏れてしまう。
つんつん、ちょんちょん、繰り返し繰り返し。東京の鼻腔内にはだんだんとムズムズが蓄積されてゆく。
「ふゎ……ぁ…っ………」
「ひっ………ひくっ……………ぅ」
「…………………はぅ………っく……」
出したい、出したい、出したくてたまらない。生理的なその欲求とは裏腹に、東京は自信のそれを我慢し続ける。
ついさっきまで乾いていた鼻腔内も今は刺激により分泌された体液で大洪水さながら。喉奧を伝って口内ににじみ出すくらいだ。
もうそろそろ、いいだろう。もう、限界だ。
最後、どうすれば「その一発」にすべてを乗せられるか、東京は知っていた。
ふやけきったこよりの先で鼻奧を円を描くようにくすぐり、そのまま一気にずるりと引き抜く。
全身がその刺激に粟立ち、それから一拍遅れて、肺は急激に膨らみ開放のための空気を求める。こよりを抜いたにもかかわらず鼻のムズムズはピークを迎える。
ああ、くる。くる。くる。くる。
「はっ…………
くしゅんッッーーーーーーーーーーー!!」
東京は大きく体を反らせ、それから上半身を振り切るように、豪快にくしゃみをした。(その豪快さは、普段の彼からかけ離れたものであることはお分かりだろう。)
そして、過剰なほどに分泌された体液どもは目の前のコンクリートジャングルへ、何万の人の群れへとあふれ出してゆく。
そう、これなのだ。
数億の人間に、憧れられ、必要とされ、崇拝され、求められる、忌まわしき偉大な「東京」をこの瞬間だけは汚れたものにできる。
東京はいつも頭の中に、このくだらない体液がもう一つの自分に降り注ぎ、それがどろどろとビル街を汚すビジョンを描いている。
ああ、東京は、皆が勝手に神聖視しているだけであって、本当はこんなつまらないものだったんだ!自分自身の鼻水でその身を汚すような弱い町だったんだ!
目を開けると、体液は相変わらずのガラス窓にへばりつくばかりで、先ほどの妄想はやはり妄想にすぎなかったことがわかる。
ひとつ、情けなさにため息が漏れる。
自分に半ば呆れきった東京は、ポケットからもう一つ、こちらは品質のよいティッシュを取り出し、汚したガラス窓を掃除する。
…よし、あとの時間は自分の席で資料でも読み込んでいようー
ーー東京が振り向いた先には、どう考えても引いたような顔をしている埼玉がいた。
コメント
1件
やばいww埼玉さんいつから居たの?????w東京さん引かれとるw