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1章
─古い地方史─
「それが…」
クラウディナは、手に何かを持っているようだった。
「庭で見つかりました。」
それは銀製チェーンと宝石のアクセサリーだった。中央にクルトーニ家の紋章がついている。間違いない。
「お父様の…」
思わず呟く。見覚えがありすぎる。これは、確実にお父様のものだ。代々クルトーニ家の当主は、この紋章をネックレスとして肌身離さず持っている。
「どこで見つけましたか?」
「東門の近くです。案内致します。m(_ _)m」
カリーナさんの目が、狩りをする野生動物のように細くなった。
東門の近くには、小さな花壇がある。ネックレスはそこで見つかったとのこと。“丁度品質が衰えてきたから新調しよう(*^^*)”と言っていたのに。すると、カリーナさんはその場にしゃがみこんで周辺を見渡した。地面や草、門を見た。すると、
「…なるほど。少し分かりました。」
「今度は何があったのですか?(- -)?」
カリーナさんは地面を指差した。けれど、さっぱり分からない。
「最近ついた車輪の跡です。」
よくよく見ると、うっすらと跡がついていた。でもおかしい。ここに馬車を連れるなんて滅多にない。すると、タイミングよくシストがやってくる。
「馬車の跡?…ですが昨夜、馬車の出入りは報告されていません。」
やっぱりそうだ。馬車が東門に来ること自体珍しい。
「だから問題なのです。( ー̀ н ー́ )」
カリーナさんが不機嫌だ。風が吹いて、木々が揺れる。とてもいい予感はしない。いや、嫌な予感がする。
「誰かがここへ来て、誰かがここから去った。」
そして、カリーナさんは白い手袋をはめ、足元の布切れを拾う。小さくはあるが、紋章が描かれていた。布もなかなか高級な代物だ。そこには、十三本の線が三日月を囲うように描かれている。
「この紋章をご存知で?」
「いえ、知りません。(. . ))」
カリーナさんが険しい表情をしている。
「これは、相当なレベルの事件になりそうです。」
数秒の沈黙。カリーナさんは静かに言った。
「こちらとかなり似た紋章の事件なら知っています。……十年ほど前の話になります。なので、資料などはあまり残っていません。」
ビ「どうして?」
「国が回収したからです。」
空気の流れが一気に変わった。王国がわざわざ事件の資料を?
カ「普通は有り得ません。なので、妙に感じました。」
その日の午後。屋敷にある古い書庫。天井まである本棚の間を、カリーナさんは歩いていた。クルトーニ家には、歴代当主が集めた膨大な資料が保管されている。地方史、事件録、王国史、古地図。どこかにありそうな雰囲気がする。
「…ありましたよ。」
それはひどく古びた地方史だった。ページをめくる。そこには“クワナ山周辺について”と書かれていた。私たちの住んでいる国、ルクレシア王国の支配下だ。表向きには、“険しい山道なので、立ち入り禁止”と言われている。更に読み続けた。
カ「山中には、正体不明の集団が存在していた。その組織は、紋章に数字を用いていた。と書いてありますね。( ᷄ᾥ ᷅ )」
だが、その続きのページは破られていた。
「誰かが破ったように見えます。…I˙꒳˙)お疲れのようですね。( ¯ᵕ¯ )また明日にします?」
私が思っていた以上に私は疲れた顔をしていたらしい。私は自室に戻った。カリーナさんはお客様として、一晩泊まるとのこと。出窓から見える夕焼けが目に焼き付いた。そのとき、シストが部屋に入ってきた。
「何?少し休憩させて…ハァ(_ _ ̥” )...」
「いけません。王宮から手紙が届きました。」
コメント
2件
コメントありがとう💬´-
第5話、読み終えました。紋章付きネックレスに車輪の跡、破られた地方史のページ——カリーナさんの観察眼が冴え渡る回でしたね。「国が回収した」資料というワードに世界観の深みを感じます。あの三日月と十三本の線の紋章、絶対に後で効いてきますよね。最後の王宮からの手紙も気になりすぎます。続きが待ち遠しいです!