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クム
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#狂愛
柏木さくら
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コメント
1件
うわっ、この話、すごく不気味でゾクゾクしました……。辞退したはずなのに辞退が伝わる仕組みが怖すぎるし、17番からの「でももう遅いかもしれない」は完全に背筋が冷えました。陸くんの混乱と恐怖が手に取るように伝わってきて、じわじわくる恐怖が巧みですね。るしゅさんの心理描写、相変わらず繊細で惹き込まれました🤍
翌朝。
陸は、ほとんど眠れなかった。
スマホは机の上に置いたまま。
通知が来るたびに、心臓が跳ねる。
午前8時17分。
画面が光った。
【23番】
陸は、しばらく手を伸ばせなかった。
やがて恐る恐る画面を見る。
【本日の案件について説明します】
その下に、短い文章が続いていた。
【本日は、通常案件ではありません】
「……通常案件じゃない?」
嫌な予感がした。
その直後。
もう一通。
【17番について、あなたに確認したいことがあります】
陸の指が止まった。
17番。
あの時、突然いなくなった参加者。
『なら、もう聞かないでください』
あの言葉が頭に浮かぶ。
陸は、画面を見つめたまま動けなかった。
やがて、新しいメッセージが届く。
【17番と連絡を取ったことがありますか?】
陸は迷った。
嘘をつく理由もない。
【あります】
送信。
すぐに既読がついた。
【何を話しましたか?】
「……」
陸は思い出す。
たった二通。
【23番です】
そして、
【誰に聞きましたか?】
【なら、もう聞かないでください】
それだけだった。
【それだけです】
送信。
しばらく返信が来なかった。
一分。
二分。
三分。
そして。
【17番は、現在も参加者です】
陸は息を止めた。
「……え?」
17番は消えたはずだった。
グループから。
連絡先から。
なのに。
【17番は、辞退していません】
陸の背中に、冷たいものが走った。
じゃあ。
あの日から。
17番はどこにいる?
その疑問を入力しようとして。
陸は指を止めた。
禁止事項。
他参加者の所在を確認する行為。
画面を閉じる。
聞いてはいけない。
そう思った。
なのに。
スマホがまた震えた。
【23番】
【あなたは、17番について知らなくていい】
陸は画面を見つめる。
その直後。
【ただし、17番はあなたを知っています】
「……なんで」
声が漏れた。
知らない。
17番と話したのは、ほんの少しだけ。
それなのに。
なぜ自分を知っている?
さらに一通。
【本日の案件を辞退しますか?】
陸は迷わなかった。
【辞退します】
送信。
今度は、すぐに返信が来た。
【承知しました】
陸は小さく息を吐いた。
終わった。
今度こそ。
そう思った。
その瞬間。
【では、17番にあなたの辞退を伝えます】
「……え?」
陸は固まった。
【必要ありません】
慌てて送る。
【17番に連絡しないでください】
既読。
数秒後。
【なぜですか?】
答えられない。
自分でも分からなかった。
ただ。
怖かった。
17番に知られることが。
そして――
スマホが震えた。
【17番からメッセージが届いています】
陸の顔から血の気が引いた。
そんなはずはない。
17番の連絡先なんて、もうない。
それでも画面には。
見覚えのないアカウントから、一通だけ。
【23番】
陸は息を止めた。
続いて、もう一通。
【辞めるなら、早いほうがいい】
陸の指が震える。
そして最後に。
【でも、もう遅いかもしれない】
画面が暗くなった。
陸はしばらく、何もできなかった。
17番が誰なのか。
なぜ自分に連絡してきたのか。
何を知っているのか。
分からない。
ただ一つだけ。
陸は初めて思った。
このバイトは。
金を稼ぐために参加する場所じゃない。
一度入った人間を。
簡単には外へ出さない場所なのかもしれない。
そして。
その仕組みを知っている人間が。
自分以外にもいる。
17番。
その番号だけが。
頭から離れなかった。