テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ぷち
220
56
番外編68『目の前で主様が……』後編
※今回はあくねこマイナスです。天使狩りの最中主様が亡くなってしまうお話です…😭
知能天使は去り、辺りには静寂だけが残る。
そして、地面に散らばる血飛沫が現実を見させてくる。見たくもない現実が、突き付ける。
『お姉ちゃん!!なんで、なんで私なんか庇ったの、なんで……っ!!』
私はお姉ちゃんを膝の上に乗せ、両手で支える。
『百合菜……ふふ、貴方が私の前から居なくなると思ったら……身体が勝手に動いたのよ……。ごめんね……こんな守り方しか出来なくて……。』
『そんな……っ。酷いよ…こんな、こんなの…っ。』
『ルカスさん!主様を、主様を助けて下さい!!』
『分かってる。まず止血をする。そして、血の輸血を……。』
『ダメよ……。』
私はルカスの手に触れる。
『ルカスなら、分かるはずよ……。私の命はもう長くない……そうでしょう……?』
『っ……!!』
主様の言う通りだ。主様の命の灯火はもう消えかけている。1時間も経たないうちに死んでしまう。だけど、そんなの関係ない。私はただ救いたかった。
『私のことは、いい……他に被害が出てないか……負傷者がいないか見てこないと……。』
『主様以上に大切なものなどありません!!』
『ふふ、貴族に聞かれたら……怒られるわね……。』
『あるじ、さま……?』
その時、反対側からロノ達が戻ってくる。
『嘘……ですよね?そんな、なんで……』
『急に天使が居なくなったと思ったら……こういうことっすか…っ。』
『お姉ちゃん、嫌だ、嫌だよ……っ。』
暖かい雫が頬に垂れた。
『泣かないで……百合菜――。貴方を守れた…むしろ、本望よ。ふふ、大丈夫。貴方は私がいなくてももう平気よ。』
『嫌だ、死なせない…っ。ルカス、お願い、止血して、輸血すれば助かるんでしょ!?ほら、私の血を輸血して、お姉ちゃんと血液型同じだから!ねぇ!ねぇ、ルカスってば!!』
『百合菜様……。』
『見捨てるの……?お姉ちゃんのこと…。まだ、まだ大丈夫だよ……。ほら、私の血を輸血して、お姉ちゃんを助けて、お願いルカス……っ。』
『……。』
『どうして……っ。どうしてこんな目に遭わなきゃいけないの、なんで、なんで……っ!!
私があの時ここにいなければお姉ちゃんはこうならずに済んだのに、私の、私のせい……っ。』
『百合菜……。貴方のせいじゃない。私が勝手に、したこと……。げほ、げほっ!』
赤黒い血を地面に吐く。
『はーっはーっ……。』
『嫌だ……お姉ちゃん、置いてかないで……っ!!』
『みんな……こんな別れの仕方で…ごめんね。みんなとの約束……守れなかった――。』
それぞれの執事にその言葉は重く伸し掛る。
『ベリアン……。』
『っ、主様……。』
主様に呼ばれ、そっと手を握る。
『百合菜のこと……よろしくね。』
『っ…はい…っ。』
『主様ァ……。』
『ふふ、ムー…そんな悲しそうな顔、しないで。ほら、いつもの可愛い顔を見せて?』
『っ…。』
『ふふ、可愛い。百合菜…。』
百合菜の頬に手を添える。
『貴方が妹で良かった。大好きよ。』
スっと手が離れ、地面に落ちる。
『お姉ちゃん……?お姉ちゃん……お姉ちゃんってば!!嫌だ、嫌だよ……っ。置いてかないで!!』
『っ……。』
『嘘だよ、こんなの……っ。どうして目を開けてくれないの……。お姉ちゃん、お姉ちゃんってば――!!!』
主様は静かに息を引き取る。街の人も貴族の人もみんな無事だった。――主様の死を除いて。主様の懸命な判断がこの結果を生んだ。
自分の死が分かっても尚、最後まで街の人のことを案じていた。そんな優しい主様に仕えられて私達執事は幸せでした。
その場には激しく泣く主様と、静かに涙を流す執事達の姿しか目に入らなかった。
数年後――
『お姉ちゃん。やっと、平和な世界が訪れたんだよ。みんな幸せに……暮らしてる。私も……だよ。お姉ちゃんがいれば、もっと……幸せだったんだけど……。』
お姉ちゃんのお墓を見てぽつりと呟く。
『お姉ちゃん、お姉ちゃん……。やっぱり、寂しいよ……。』
私は静かに泣いた。他の誰にも……泣いてるのを悟られないように。
[END]
Afterstoryは妹versionを書く予定です。
マイナス書いた後に普通の書くのちょっとあれよね。罪悪感……。
コメント
1件
ああもう、読んでて胸がぎゅっとなりました……。主様が最後までみんなを想って、自分の命より街の人や百合菜ちゃんを守ろうとした姿が本当に尊くて切ないです。「貴方が妹で良かった。大好きよ」の台詞、涙が止まらなかったです。ルカスたち執事の静かな慟哭も、数年後の百合菜ちゃんの「寂しいよ」も、余韻がずしんと残ります。Afterstory、楽しみにしてますね……!