テラーノベル
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「急がないと…。」僕は早足で街を駆け抜ける。でも、頭の中は「ウォッチがない」という絶望でいっぱいだ。その時だった。
「あーーっ!優翔くん、いたぁーー!!」
どこからか、空から降ってくるような声がした。
ドサッ!!!
「……いてっ」
誰かが僕の背中に激突して、そのまま一緒に地面に転がった。僕は慌てて起き上がった。
「も、もう!優翔くんたら、忘れ物だよ! これ、郵便局の机に置いてあったから持ってきてあげたよっ!」
振り向くと、そこには僕と同じ郵便局の社員(?)の明(はる)が満面の笑みで立っていた。……その手には、僕が忘れたウォッチが。
「……明…? なんでお前が……ていうか、ここは現世だぞ!?」
「えへへ、ちょっと調子に乗って勢いよく飛び込みすぎちゃったかな!……あれ、ここどこ?」
ピノはキョロキョロと周囲を見回すしながらその横で、1人の通行人(人間)が、
「……あの二人、突然どこから現れたの?怖…」と不思議そうな顔でこちらを見ている。
「……やばい。目立つなよ、このドジっ子!!!」
「ごめんってぇ…じゃあ僕帰るね!」
「待て!!」
「え…?」
この時優翔はある疑問を抱いた。
「なぜこの人間は僕らのことが見えている?」
「…」
「おかしいだろ」
人間は妖精のことが見えない。なのに、なぜ。
「あっ!でも、依頼人には僕たちのことが見えるって、習ったよ?」
「まさか、この人が依頼人!?」