テラーノベル
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夜も更け、すっかり出来上がってしまった佐久間は、ソファにぐったりともたれかかっていた。
「佐久間、飲みすぎだって……ほら、水」
ため息混じりに、ペットボトルを差し出す。
佐久間はふにゃりと笑って、それを受け取ろうとするけど。
「……んぁ?」
握る力がなくて、そのままペットボトルはぽとりと俺の膝の上に落ちてしまった。
「うわっ!」
冷たい水がズボンに染み込んでいく。
「あ、あべちゃん……ごめ……」
「もう……最悪……」
慌てて立ち上がり、濡れたズボンを脱ぎ始めた。
その光景をぼんやりと眺めていた佐久間の瞳が、とろんと蕩ける。
「……え? ……えっち、する……?ぃーよ、しよ、」
「……は?」
ズボンを脱ぐ動きが止まる。
佐久間はふにゃふにゃと笑いながら、自分のシャツに手をかけ、ゆるゆると脱ぎ始めた。
「ちょ、待って! 違う違う違う!!」
「だって〜……あべちゃん脱いでるぅ〜……」
「これは水がこぼれたから!!」
「えぇ〜? ほんとにぃ〜?」
そんなこと言いながらも、佐久間は全然聞いちゃいない。
もぞもぞとシャツを脱ぎかけて、そのままソファに倒れ込む。
「んふふ……阿部ちゃんのえっちぃ……」
「もういいから、寝ろ!!!」
強制的に毛布をかけて、ふぅっと大きく息を吐いた。
……なんなんだ、もう。
「……バカすぎる……」
けれど、寝息を立てる佐久間の顔は、とても幸せそうで。
その額に軽く指先を触れさせる。
「……ったく、勘違いするなよ」
ひとりごとのように呟いて、そっと隣に座った。
こんなにも無防備で。
こんなにも愛おしい。
「……ほんとに、バカ……」
少しだけ微笑んで、静かに佐久間の髪を撫でた。
コメント
4件
酔っ払いさっくん絶対かわいい😂