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次の日、他の部屋とは違う洋室の応接室に鈴に連れられて来た。鈴曰く、戦後とかは特に初めのドールに相談に来るドールが多いからそういうドール達は西洋だったりするからここだけ洋室だそうだ。
そんな話を聞いていると愛華が来た。
「待たせたな」
愛華がそう言った。
第一印象は、美しい。だった。俺は言葉が出なかった。漆黒の髪を俺と同じ様に頭の天辺で結んで、美しくも格好良い和服を着、紅色の瞳が此方をしっかりと見据えていた。女である俺でさえも、惚れてしまいそうなほどだった。
見惚れていると愛華はいつの間にか向かいのソファーに腰掛けていた。
「津逸か、、、、、鈴、席を外してくれ。くれぐれも、聞き耳を立てるなよ。今回はいつも以上にデリケートな内容になりそうだ」
俺の偽名を聞いて愛華は苦笑いを浮かべたかと思うと、若干笑いをこらえるようにして鈴を部屋から追い出した。
愛華は鈴に釘を凄く打っていたが、もしかして何時も聞き耳を立てているのか?
「まじ?ならうちは、主様と日本と遊んでくるね〜」
「祖国様はそんな年じゃないだろ」
何か、仲良さそうで羨ましいな。俺は、兄貴とそんな会話をしたのは随分と昔だから。
ケタケタ笑いながら鈴は部屋を後にした。
応接室には少し重い空気と沈黙が流れた。
「津炎、お前の兄から文は届いている。楽にしていいぞ、独華」
優しく微笑んで愛華はそう言った。久しぶりに呼ばれる本当の俺の名前を聞いて、少し、何故か、嬉しくなった。
「一応、自己紹介をしよう。私は日本国様のドール、愛華だ。愛とでも呼べ」
「おう、愛。俺の事も独って呼んでくれ!」
ニカッと笑いながらそう答えると愛は苦虫を噛みつぶしたような顔をした。
「男のフリも辞めて良いんだが」
「いや、兄貴との約束だからな、無理だ」
「そうか、、、いつか、お前が女として笑って生きれる世界にしよう。たとえ、口調が男でも」
愛は下唇をグッと噛んで、哀しそうな顔をし てそう言う。愛が気にする事じゃ無いのにな。
「それよりも、愛。兄貴は無事なんだろうか」