テラーノベル
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羽海汐遠
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友人が事故で亡くなってからは、眠れない日々が続いた。食事だって喉をろくに通らなかった。もしかしてあの件が、彼を不幸に誘ってしまったのではないかと、そんな考えだけが頭をよぎる。
友人の葬式には行かなかった。行けばきっと罪悪感で押し潰されてしまうし、それ以上に絶対に泣いてしまうと思ったから。
次の日、女の死体は見当たらなかった。今日がチャンスだと思い、スマホで調べて一番評判の良い占い師のところに行った。まさか自分がこんなのに頼るなんて、誰が想像できるのか。
駆け込むとその人は来ることを分かっていたかのように姿勢を正してこちらを見ていた。早くこの罪から逃げたくて、洗いざらい話した。
女を絞め殺したこと、友人に後処理を手伝ってもらったこと、その友人が死んだこと。
目の前の占い師は話を聞いたあと何かを唱えると、顔を青くして汗をダラダラと流しながら俯いて言った。
「無理だ、貴方のは、無理だ。私には、いいえ、私含め誰であれ、どうすることも出来ない」
占い師がこちらを、いや、少し上を見つめている。思わずゾッとして、ガタッと音を立てて椅子から立ち上がり、心の中で悪態をつきながら金を撒き散らして急いで家へと帰る。その日は一日中部屋に籠もって、久々の平穏にうっとりとしながら寝た。
と、いう夢を見た。深夜、急いで飛び上がり跳ねる心臓を抑え込む、変な時間に起きてしまった。ガンガンと痛む頭を抑え込み、膝を抱えて座る。暗闇の中、奥の方に何かが見えた。
死んだ女がそこにいた。しかも、解体前の、五体満足の体だ。
「なぁ、赦してくれ」
口を抑える。 女は答えない。
「悪かった、全部謝るから」
眉をひそめる。 女は答えない。
「もうここに来ないでくれ」
目を覆い隠す。 女は答えない。
「ああそうだ、認めるよ、アンタを殺した。でも、アンタだって、殺す気だったんだろう」
頭を抱える。痛い、痛い。痛い!
死人に口無し。
チクタクと時計の針だけが響く部屋の中、人一人と女の死体だけがそこにあった。
死んだ女がそこにいた。ー完ー
コメント
1件
うわ、これめっちゃ重い…読んでて息が止まるかと思った。夢から覚めて現実に女の死体がいるって、現実と夢の境目が溶けてる感じがゾッとする。「死人に口無し」って言葉が刺さる。時計の針だけの静けさが怖すぎる。主人公の罪の重さがひしひしと伝わってきて、胸が苦しくなった。占い師も逃げ出すレベルの業って、どうなるんだろ…。また続き読みたい。