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ルザネは、自身の母であるリアに「夕飯よ、起きなさい」と軽く叩かれ、目が覚めた。

(あーあ……ジュプエ、傷つけちゃったかなぁ……)

浅い眠りだったのか、頭がまだすっきりしないようだ。

ルザネは昔から自分の思い通りに行かないとイライラしてしまう子供のような性分を持っていた。昼間の怒りも、その性分からのようだ。

(ずっと自分でも隠してきたけど……僕って、ジュプエのこと好きなのかな。小さい頃から僕がいつも傍にいたのに、ちっとも見てくれないのが悲しいのかな)

ドアを開けて右側の突き当りに進む。鏡に映る蒼白い顔を見ながら蛇口を捻り、手を洗う。

(ジュプエはやっぱり、エリアが好きなのかな? ……僕は好きじゃないのかな)

洗面台のすぐ横にあるタオルで水分を拭き取る。

(あー、もう。自分なんかいなくなってしまえばいいのに)

顔を洗っていないのに、思わずタオルで拭いてしまい、頬をペチペチと叩いた。

夕飯の支度を手伝うために階段を下りていたら、ふと夕飯だと言われたのに自分の分を食べきれる気がしないな、と思った。

「ルザネ! 早くしなさい」

階段から下りてきたルザネを見て、リアがそう強く言う。

「…うん」

元気がないルザネに面食らったのか、リアは束の間棒立ちしていた。

「…ルザネ、何かあったの?」

下を向くルザネにそう問うた。

「…なんでもない」

「そう……。友達とのトラブルなら、何がいけなかったのかをよく考えて早いうちに謝りなさい。それとも勉強で出来ないところがあるなら明日か明後日のうちにパパに聞いちゃいなさい。もう四年生なんだから、自分で考えるなら自分で、自分に分からないことなら他人を頼りなさい、いいね?」

「うん…」

ルザネはリアの言葉を聞いて「そっか、謝らなきゃ」と呟いた。

そんな様子を見て、

「さ、ご飯食べましょ」

とルザネの肩を優しく叩いたのであった。


私は自分のスマホを開いていた。

”母”、”おじいちゃん”……とある中、最後にある”ナティ”と書かれた連絡先は今日新しく交換したものだ。

『ねね、今日は連絡先交換してから解散にしない?』

『もちろんいいよ』

『やったー! ありがと!』

という感じで交換した。…使うかは分からないけれど。

「そういえば、ジュプエ達と交換してないなぁ、連絡先」

(そもそもジュプエの家ってそういうの許可してるのかな。結構真面目そうな家庭なんだよねぇ……)

スマホを見ながら自分の部屋を開ける。

「…あ」

いつもよりも綺麗に片付けられた部屋を見て、私は思い出した。

(予定、あったじゃん。ジュプエが私の家に行きたいって、言ってたじゃん)

私は頭を抱えて床に寝転ぶ。

(あーもう……今度の授業の時に謝りに行くしか)

忘れてしまっていた自分のポンコツ脳みそを恨みながらカレンダーを睨む。

「あ……その時と一緒に連絡先交換すればいいじゃん……使うかどうかは置いておいて」

その考え方をすることによってポジティブになろうとしたが、結局はポンコツであることに変わりはないことに気が付き、落ち込んだのであった。

ふいにスマホの画面を上から下にスワイプし、時間を確認した。

「そろそろ夜ご飯を作る時間だな……」

今日は何を作ろうか。

昨日はカレーだったから、同じじゃない方が良いなと思う。

「うーん、悩む。残り一つのギネジャ卵使いたいし……。…オムライスにするか」

確か、昨日輸入したばかりの米があったはずだ。

これで夜ご飯は決まった。…ニュースを確認したあとでもいいだろう。

「あ、そういえば卵といえば……大型の方のシュシュダの子供が生まれたから餌与えなきゃ……」

私はそのようなことを思い出してベッドから飛び降り、急いで餌を与えに地下室へ向かった。

シュシュダはある程度の子育ては出来るが、繊細であるため自分たち親が食べるものよりも品質が良いものでなければ子に餌を与えないのだ。

普段の餌は自動的に与えられるようにはなっているが、品質の良いものがひょんなことで親の方が食べてしまったら今後はもっと品質の良いものを子に用意しなければいけない。

このように、一つ間違えると金銭の面で飼育に大変苦労する生物なのである。

(んー……そう考えると隠し部屋の生物がますます気になってくる……。明日本格的に探そうかな)

普段は面倒くさくて興味があることもすっぽかし、やると決めたことも(飼育を除いて)三日坊主であることが多々ある。

しかし、これだけはそれらと違ってなんだか心の奥底から面白そうだと思えることだった。

地下室の重たいドアを開き、一番奥にある広い檻に向かった。

檻の下の引き出しから『子供用!!』と母の字で書かれた餌袋を取り出した。

袋の中の銀のスプーンを取り出し、一杯より少なめにすくった。手のひらサイズの、シュシュダの子供を檻から出して口元にスプーンを差し出した。

子供は餌の匂いに気が付くと、スプーンの縁をフンフンと嗅ぎながら餌へと鼻を付ける。

鼻に付いた餌を小さな舌で舐め、スプーンを片手で触れながら餌を食べ始めた。

「…可愛いね」

そう呟き、早くも完食をして首を傾げているシュシュダの子供を撫でた。

丁寧に持ち上げて親の元に返し、小さく手を振った。

早く上に戻ってご飯を作ろうと思い、餌袋を引き出しの中に放り投げた。

結果、中にぎゅうぎゅうに詰められていた道具やらが後ろに落ちてしまって閉められなくなった。

あぁ、面倒くさいことをしてしまったなと思いつつ引き出しをレールから外して落ちてしまったものを外へ出していく。

「…ん?」

ある程度出せたころ、引き出しの壁に違和感を覚えた。

引き戸の持ち手がそこにはあった。

隣の引き戸も外して確認してみると当時の母が丁度しゃがんで通れるくらいの大きさだった。

「もしかして……隠し部屋?」

そう思い、ワクワクしながら引き戸を開け、向こうの部屋へと移動する。

大きく息を吸い、周りを見回す。

「…ん? あれ、隠し部屋ではあるけど肝心の生物がパッと見た感じいない」

なんだか余計に緊張してしまった。

がっくりと肩を落としながら年季の入っている椅子の上に座る。沢山ある机の引き出しの一つを適当に選んで開けてみる。

…そこには沢山の生物の観察記録があった。

ここで飼っている生物は勿論、見たことも聞いたこともない生物のスケッチもあった。

「ここに書かれている字……。母さんの字じゃない。ということは、父さんが生前使ってた部屋なの? でも、なんであんなところに入口が?」

結論は天国にいる父さんか遠くにいる母さん、またはその両者しか知らない。

…なんだかもう、ご飯を作る気力をどこかへ置いてきてしまった気がする。疲れてしまった。

重たくなってきた瞼をそっと閉じ、椅子の背もたれに身を委ねた。

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