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第三十六話「包囲」
戦場。
クロノは神城怜と傲慢の攻撃を受けながら、小さく笑っていた。
「……ん?」
突然、空を見上げる。
世界統合の魔力が弱まっている。
「止まっている……?」
クロノは眉をひそめた。
「どういう事だ。」
少し考え、すぐに答えへ辿り着く。
「……一時的か。」
「曖昧。」
「古流斬の能力か。」
クロノは笑う。
「だが。」
「装置は俺自身だ。」
「私が生きている限り。」
「世界統合は再開できる。」
神城怜はクロノを睨む。
クロノは未来改変を発動した。
「なら。」
「逃げるか。」
「じゃあな。」
未来を書き換えようとした。
しかし。
一歩踏み出した瞬間。
「……何?」
行き止まり。
崩れた岩壁。
「右。」
そちらも瓦礫。
「左。」
崩壊した橋。
「後ろ。」
巨大な雷で焼け落ちた森。
クロノは目を見開く。
「逃げ道が……。」
「無い?」
初めて焦りが浮かぶ。
「何故だ。」
すぐに笑う。
「なら。」
「作るか。」
未来改変を発動。
新しい逃走経路を作ろうとする。
しかし。
その未来にも瓦礫。
崩落。
雷。
全て塞がれていた。
クロノは初めて表情を変えた。
「……古流斬。」
⸻
神城怜はその様子を見て、小さく笑った。
「そういう事か。」
傲慢は横目で神城怜を見る。
「気付いたか。」
神城怜は頷く。
「古流斬さんは。」
「未来改変そのものを止めようとしてたんじゃない。」
「逃げる未来の”出口”を全部消したんだ。」
傲慢は笑う。
「正解だ。」
「未来は変えられても。」
「行き先が無ければ意味がない。」
神城怜は剣を構えた。
「だから。」
「古流斬さんは。」
「装置を探す前に。」
「逃げ道を全部潰した。」
クロノはまだ気付いていない。
自分は未来改変で自由に動いているつもりだった。
しかし実際は。
古流斬が地形を変え。
橋を落とし。
道を塞ぎ。
崖を崩し。
逃げられる未来そのものを、一つずつ消していた。
クロノは静かに辺りを見回す。
「……まさか。」
「気付かない間に。」
「追い詰められていたのか。」
遠くで雷鳴が響く。
古流斬の声が聞こえた。
「クロノ。」
「今度は。」
「逃がさねぇ。」
クロノはゆっくり振り返る。
その先には。
古流斬が静かに歩いてきていた。
逃げ道は。
もうどこにも無かった。
⸻
第三十六話 完
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第36話、読み終わりました。 「逃げ道を全部消す」っていう発想、めちゃくちゃ痺れました……。未来改変って無敵っぽいのに、行き先そのものを奪うって、もう完全にチェックメイトじゃないですか。クロノが初めて焦る表情を見せたところ、じわじわ効いてきました。 古流斬さんの「今度は逃がさねぇ」の一言が、めっちゃ重くてかっこよかった。 次が楽しみすぎます……!
#作者干渉型コメディ
澪彩の引き出し【サブ垢】
10,730
#ご本人様とは一切関係ありません
yozakura🌸
349
ゆきまる
MaruM
117