テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#リゼロ
すず
144
33
第97話『老将の一手』
中華連合武闘場。
本戦一回戦・第六試合。
項燕
VS
顔聚
激しい攻防が続く。
一撃。
二撃。
互いに決定打を許さない。
観客席は静まり返り、その攻防を見守っていた。
項燕が静かに笑う。
「見事だ。」
「これほど堅い守りは久しぶりだ。」
顔聚も息を整えながら答える。
「あなたの攻めも、一瞬たりとも気が抜けません。」
次の瞬間。
項燕が攻撃の手を止めた。
観客席がざわつく。
「どうした?」
「動かない……?」
顔聚は慎重に距離を詰める。
「何か狙っている……。」
その判断は正しかった。
項燕は相手が一歩踏み込むのを待っていたのだ。
「今だ。」
項燕がわずか半歩だけ横へ動く。
顔聚の攻撃は空を切る。
その勢いで重心が前へ流れる。
項燕はその腕を軽く押した。
「っ!」
顔聚は体勢を崩す。
項燕は追撃しない。
ただ一歩前へ出る。
その圧力だけで、顔聚は後退せざるを得なかった。
一歩。
また一歩。
気づけば背後には場外線。
観客席で李牧が静かに言う。
「攻撃ではなく、圧力で追い込んでいます。」
王翦も頷いた。
「これが歴戦の大将軍の間合いだ。」
顔聚は最後の力を振り絞る。
「まだだ!」
渾身の一撃を放つ。
しかし。
項燕はその拳を受け流し、肩を軽く押した。
ほんのわずかな力。
だが、それで十分だった。
顔聚の足が場外線を越える。
実況が旗を振る。
「場外!」
「勝者――」
「項燕!!」
武闘場が拍手に包まれる。
顔聚は苦笑しながら立ち上がった。
「完敗です。」
項燕は静かに手を差し出す。
「あなたは立派な大将軍だった。」
顔聚はその手を力強く握る。
「その言葉、ありがたく受け取ります。」
李丙が壇上へ立つ。
「第六試合終了!」
「勝者、項燕!」
「続いて本戦一回戦・第七試合!」
洛亜完。
VS
蒼厳(龍)。
四天王筆頭にして龍国総司令官。
黒龍大戦で圧倒的な実力を見せた男が、ついにトーナメントへ姿を現す。
コメント
1件
うわあ、第97話……なんかもう、静かな熱さがすごかった……っ! 項燕、あの一手で攻め止めて待つだけで空気変えたよね。あれだけで歴戦の風格が滲み出てて。押す力も最小限で場外に追い込む戦い方、めちゃくちゃ渋くてかっこよかった〜🥀 顔聚も「完敗です」ってスッと言えるのが本当に大将軍だなって思うし、二人の間に流れるリスペクトが尊い……。 次はいよいよ蒼厳さんか……っ。この緊迫感、大好きです🍙さん!