コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
_sha視点
俺はA国の研究対象だった。
簡単に言えば実験体。
誰かの傷を癒し、
俺自身の傷も癒すことができる。
こんな能力があるから、育ての親にも捨てられた。能力を利用するだけ利用して捨てていった。
でも、俺はそれで良かった。売ったお金で幸せに生きてくれるなら。
特にこれといった思い出もないけど、孤児だった俺を救ってくれたから。こんな俺でも役に立てて嬉しかった。
…あの人たちは幸せに暮らしてるかな。
A国に売られて、俺は戦争の道具になった。
俺の力を頼りに無理矢理な戦争を繰り返してた。
俺は兵士たちの傷を癒した。数え切れないくらい。でも傷を治したからこそ、苦しみながら死んでいく兵士もいた。
あの時、そのまま死なせてあげてたら、苦しまずにいられたのかな。
sha
「…ごめんなさい。」ポロポロッ
何人も戦争で死んだ。俺が長く苦しませた。俺の力を求めて戦争が起こることもあった。
俺がいたから。
俺がいなければ、命を奪わずにすんだかな。
この力も、誰かを救うために使いたかった。
誰かを苦しめたいわけじゃなかった。
そう思うようになってから、俺は誰かを癒すことを拒んだ。もう誰も苦しめたくない。
そしたら、A国の研究者の人たちは俺を実験対象にした。
不老不死の薬を作るために、俺を地下で監禁した。
どれくらいまでの傷を回復することができるのか?毒にも耐性があるのか?死ぬことはあるのか?
色んな仮説を立てて、俺で実験した。
でもまだ小さかった俺の体は限界で、
自分自身すら傷を治し切れなくなった。
食事や睡眠も充分にとってなかったから、回復にも限度があったのだろう。
切り落とされた腕も繋がるまでに時間がかかった。繋ぎ目の跡は一向に消えない。
傷を癒せるはずの俺の体は、ボロボロになっていった。
sha
「もう、疲れたな..」