…雨が降り始めた。
子供の啜り泣く声も、大人二人の怒鳴る声も、…僕にとっては、死にたいと思う原因だった。
…雨の中、涙が溢れて、…ただ死にたくて……、夢にもあった言葉は、きっと俺には要らないもので…、…、何を思ってもそれは無駄なもので…、
理不尽な世界は、己の思考さえも闇に染めた。
真冬のこの時期に、海に入るのはきっと自殺行為それでも尚、己の足は海へと歩き始める。
『……気持ち悪い。』
海の底へと、堕ちていく。
『………、ここは…?』
そこは、真っ白な部屋だった。ベッドに寝かされていたようだった…そして、その部屋は薬品の匂いがすごく強い。
わけも分からず、ただベッドに座っていると…、
ふと、雨が降っていることに気づく。
雨音のする方へと視線を向けると、窓の外に見える花畑がすごく綺麗だった。良く目を凝らしていると、自分の姿が反射し映っていた。
『………は?』
頭に、耳が生えていた。
それは、……なんというか。…綺麗なみみ。』
もふもふとする耳。狐のような耳に、後ろを向くと自分自身に尻尾が9個も…、
本などでもよく見る九尾の狐のような姿になっていた。
『…まぁ、…ええか。』
「あ、…起きたんや。」
声がする方に目を向けると、浮いている頭に天使の輪っかがある。神と書かれた面の人。
『…え、…?』
「…あらぁ、…九尾になったんやな。」
「……それじゃあ、改めて…俺はしんぺい神。現人神だよ、」
現人神。…人間の姿になって現れた神様…、
『…ここ、…どこですか。』
「…自分の姿よりも、何処か気にするんやね…。…まぁええわ」
「…此処は、wrwrd。…神や妖怪、…そして人間が共存する軍事国家や。」
『…軍事国家…、…何で此処に…僕が…?』
「…そら、…世界を見てる時に君が来たからね。…目の前で溺れ死ぬ事も見たないし…助けちゃったわ。」
世界を見てる。…というのはよく分からないし、…、ここも…全く分からない僕はただ、…空を見る。
『……そうですか。』
「…君は自分に無頓着だね。」
『……無頓着や言うたって…自分を好きになれないんです。自分は…、』
「…まぁ、自分自身を好きな人間が死のうなんてするわけないもんな。」
「……、この軍に居たら、きっと、…君は自分を見ることになる。」
「……死にたいって想ってるかもしれへん…、やけど、…君は、君を見なきゃいけへんよ。」
「……それに、もう…君は…」
「死ぬことはできないから。」
『…は?…死ぬ事が出来ないってどういうことですか?』
「…君は、九尾の狐の神様に好かれてしまっていた。…、命をたとうとしていた君を、助けたのも九尾の神様や。…俺がそれを救ったけれどね。」
『……何がどういう…、』
「……九尾の神様が、俺たちのこと呼んでるからそっち行こか。」
『…え、…、あ、…』
そう言って、その神様は僕の手を掴んだかと思えば僕の体は重力に逆らい宙へと浮く。
そのまま、廊下みたいな場所を歩き、とある一角の会議室というプレートの着いた場所につく。
「…さぁ、着いたよ。」
ゆったりと、扉は開けられた。
『………、』
色んな人達がこっちを見つめる。
「…鬱!!?」
僕の姿を見つめる人の中に、僕と同じような姿をしている人がいた。
『……』
綺麗な赤色の瞳がこちらを見つめた。
「…トントン、こいつがお前の好いた奴なのか…?」
「…おん。」
好いた…?何言ってるんや。この人。
「……、ごめん、俺、お前の事助けた張本人やねん。…お前の家庭のことも、…全部知っとる。……俺が関与しちゃったことによって…お前死ねなくなっちゃったんや。…ごめん。鬱」
俺の前でごめんと手を合わせる赤い瞳の人に、ただ自分は冷たくそう返す。
『……別に。』
「……俺はトントン。狐の神様や。…そして、君の籠神」
『…籠神…、』
昔本で読んだことがあったんだ。狐の神様は何時も僕らを見守ってくれていて僕らを好いてくれて居るって
『………、そう…なんやね。』
「…君は鬱くんやね。鬱島大」
『…おん、』
「…」
コメント
2件
好きすぎる…🥺ᩚ🎀🪽 続き気になりすぎますわ… 無理せず投稿頑張ってください!
多分いつか続き出します。今はただ衝動書きしました