テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
女装男子は恋したい
メイクにネイル、フリフリのスカートに肩まであるショートヘア。
完全に見た目は女の子だ。
でも本当は男。いわゆる女装男子というものだ。
高校の時から女装をするのが好きで一人の時はメイクの練習したり服にお金かけたりしていた。
けど趣味が女装なんて誰にも言えない。言えるわけが無い。
でも今はもう大人。誰かに言わないといけないなっと思っている。あとは…彼氏とか欲しいし…
「レンタル彼氏かー…」
勇気を出し、レンタル彼氏の予約をしてみた。名前はもちろん偽名。見た目も完全に女の子。
「はっ…?!イケメンすぎるでしょ…」
レンタル彼氏のページを見ていると俳優さんレベルのイケメンの顔写真と名前が掲載されていた。
佐野勇斗_『話すことが大好きです!気軽に予約して欲しいです!』
当日朝早くメイクやアイロン、服選びをいつもより慎重にした。
だって佐野さんに女の子って思われたい、可愛いって沢山言われたいもん。
約束している場所まで向かった。なんでだろう、凄く緊張している。
いままで自分の趣味でしていた女装だけど今日は佐野さんの為に可愛くなっている気がしたからだ。
待ち合わせ場所に向かうと既に佐野さんらしき人がいた。
こちらに気づいたのか手を振ってきている。
「谷岸ありさちゃんだよね〜!今日は1日よろしくね!」
「うん、よろしくね。」
声は高く、視線は上目遣いに。とにかく女の子のフリをすること。
「早速約束してたカフェ巡りしよう!」
今日のデートプランはカフェ巡り、フレンドリーな感じ、夜の9時まで。
すると隣から視線を感じた。
(え…もしかして女装してるってばれた?)
「ありさちゃん…可愛すぎてやばい。」
手を繋いで佐野さんのコートのポケットに手を入れられた。
「…!」
「笑笑、恥ずかしい?笑」
「べっ、べつに…照」
本当の彼女のように扱ってくれている。出会ってすぐ始まるカレカノごっこ。
カフェの奥の席。
窓際。
夕方の光が、ありさの頬に当たる。
「甘いの好き?」
佐野がメニューを見ながら聞く。
「うん、好き」
本当はそこまで甘党じゃないけど。
“女の子らしい”答えを選ぶ。
「じゃあこれ一緒に食べよ」
大きめのいちごパフェ。
二人でシェア。
スプーンが一つ。
「え、俺が先?」
「うん、どうぞ」
にこっと笑う。
ちゃんと可愛く。
佐野が一口食べて、
「甘っ」
って少し顔をしかめる。
思わず吹き出す。
「あ、今の顔かわいい」
「え、俺?」
「うん」
無意識だった。
素の声に近いトーン。
一瞬、佐野が目を細める。
「今の、好き」
どきっとする。
「さっきまでと違う」
心臓が跳ねる。
「ち、違わないよ?」
少し高めの声に戻す。
佐野は少しだけ考える顔。
でも追及しない。
「ありさちゃんってさ」
パフェを差し出してくる。
「あーん、できるタイプ?」
え。
「な、なにそれ」
「やってみたいだけ」
悪戯っぽい笑い。
断れない。
スプーンを持つ手が震える。
「……あーん」
佐野が素直に口を開ける。
距離が近い。
唇に視線がいく。
やばい。
口に入れたあと、佐野が笑う。
「照れてる?」
「照れてない」
「耳、赤い」
最悪。
「店暑いから」
苦しい言い訳。
佐野がくすっと笑う。
「俺の前でそんな頑張らなくていいのに」
またそれ。
胸が締め付けられる。
「頑張ってないよ」
嘘。
本当は、ずっと。
パフェを食べ終わったあと、
佐野がふと真面目な目になる。
「ありさちゃんはさ、どういう人がタイプなの?」
突然の質問。
「まぁ、隼斗くん見たいな人…。話しやすいし、気使わなくていいからめっちゃ気楽だし」
「え?まじ?!めっちゃ嬉しんだけど?!!」
「俺もありさちゃんみたいな子、どタイプだなぁ」
「…///照れるからやめてよ…」
耳が一瞬で赤くなるのが自分でもわかった。
なんでだろう。
なんで彼はこんな甘い言葉を知っているのだろう。嫌いになる要素もないし、好きになる所しかない。
「ありさちゃん」
「ん?」
「俺さ」
少し間を置く。
「今日、普通に楽しい」
それは仕事の言葉かもしれない。
でも目は本気っぽい。
「レンタルだからじゃなくて」
心臓が跳ねる。
「また会いたいなって思ってる」
息が止まる。
“ありさ”として?
それとも――
「……ほんと?」
「うん」
まっすぐな目。
嘘じゃない。
だからこそ苦しい。
(俺じゃないのに)
テーブルの下で、指先が震える。
佐野が気づいて、そっと手を重ねる。
「そんな不安そうな顔しないで」
優しい声。
「ありさちゃん、ちゃんと可愛いし」
その言葉が嬉しくて、
でも少し痛い。
このまま続けたら、
きっともっと好きになる。
好きになってから、バレたら。
怖い。
でも。
「……また会いたい」
小さく言う。
佐野が笑う。
「決まり」
その笑顔に、また胸が鳴る。
コメント
1件
バレても可愛いからええやんか、!!