狩り物競争
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俺の名前は倉西雄太。
7人の男女の一人として謎の場所に収集された。
「カリモノ競争をする」と言われて呼び出された。
「カリモノ競争か…」
俺は何度も借り物競走に出場したことがある。だから借り物競走は得意だ。しかし今回のカリモノ競争は何か不信感を抱いていた。司会者が話し始めた。
「今から皆さんには狩り物競争をしていただきます。殺し合いをしていただき、最後の一人が賞金五億を受け取っていただけます。」
そう、カリモノ競争とは狩り物競争のことだったのである。
「なんだよそれ!俺はやらねえぜ!」
参加者の一人が言った。
「伝え忘れていましたが、私に逆らうと即死です。残念ですが、さようなら。」
そいつが死んだ。早くも六人になった。
「皆さんに武器を渡します。」
俺に渡された武器は木の枝だった。勝てるはずがない。だからと言って逃げることも戦わないこともできない。どの道やるしかない。もう、他の五人が戦いを始めている。いや、違う。俺の方に近づいている。俺を集団で攻めようとしているのか?すると次の瞬間、意図していないのに俺の体が動き始めた。強い魔力だった。俺では制御できない。木の枝に攻撃と身を任せることにした。あっという間に四人死んだ残りは一人。俺は何もしていない。そう、死んだのは木の枝のせいだ。一瞬自分が振っているように見えたが木の枝が殺したはずだ。瞬きをする間に最後の一人も死んだ。
「おめでとうございます!あなたが最後の一人です!殺した六人の遺産の五億です。」
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それから一ヶ月が経つ。俺は逮捕された。殺人と窃盗の罪だ。
「何故だ。殺したのは俺ではない。木の枝だ!五億も俺が盗んだのではない!司会者が盗んだはずだ!」
警察は俺の言葉など全く聞き入れなかった。すると、あの時の司会者がやってきた。
「何故俺は捕まらなければならない!俺は何もしていない!お前が悪いんだ!」
俺は言った。
「ふむ。貴方にはやはりそのように見えるのですね。貴方にそう見えても他の人からはそう見えてません。貴方は狩り物競争をする以前の記憶がないのでしょうけれど、まあ、私が消したのだけれどね。貴方は殺した六人から五億を盗んだのです。その復讐で、六人と貴方を呼びました。木の枝が殺したと思ったでしょう?違う、違う。貴方自身の手で殺したのです。理解できるかな?」
あまり理解できない。しかし、いくつか謎が解けた。五人が一斉に俺に向かって攻撃をしようとしたこと。一瞬俺が木の枝を振っているように見えたこと。
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それから三ヶ月が経つ。倉西雄太は死んだ。おそらく自殺と見られるが、血の跡も、首を絞めた跡もない。足元には木の枝だけがあった。倉西雄太は全て謎に包まれた男だ。