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〜ぼっちの月の神様の使徒〜

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〜ぼっちの月の神様の使徒〜

233 - 69話 黒装束の一味。お荷物を添えて。

2024年06月06日

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『いやじゃー!ここは嫌なのじゃー!!』

コンがワンワンと五月蝿いが、それは勘違いだ。

「コンを置いていくつもりで山頂ここへやって来たんじゃないから、安心しろ」

『!?そ、そうだったのかえ?それならそうと言わんかっ!!』

面倒臭ぇな……

「確認の為に来た。どうだ?コンが昨日から留守にしていたが、結界に綻びはないか?」

『大丈夫なのじゃ!妾はあくまでも管理しておるだけで、ここには神気が満ちておるからの』

「そうか。じゃあもう一つ確認だ。コン。元のサイズに戻ってくれ」

コンはこの小型犬サイズがデフォではない。

本人曰く、ここに生まれ落ちた時のサイズが最も身体が動かしやすいとか。

『ふふん。驚くなえ?』

そう告げるとコンの身体が白い光に包まれた。

「おおっ!本物の神の使いに見えるぞ!!」

そこには尻尾も入れた長さで、全長5mはある立派な体躯の白狼がいた。

『どうじゃ!!跪いて頭を垂れても良いのだぞ!?』

「ポンコツが調子に乗るなよ?お前をここに置いて行ってもいいんだが?」

確かに強そうではある。

よくわからない威圧すら感じる。

だが、中身はビビリのポンコツなんだ。

『ご、後生じゃ!!頼む!捨てないでぇえ!?』

プゲェッ!?

「わかった!わかったからやめろっ!?」

俺に飛び掛かり押し倒し、俺の腕より長く太い舌で舐め回してきた……

『ほ、本当じゃな!?何処までも着いて行くからなっ!?』

「わかったって。もう一つ確認したら行こう」

『何じゃ?まだ何かあるのかえ?』

あの時コンは、麓よりも離れた位置にいた俺をここから捕捉していた。

と、いうことは……

「コンは何処まで下界を視ることが出来るんだ?」

『そんなことかえ。何処までも・・・と言いたいところじゃが…実はそんなに広くはないのぅ』

コンの説明を地球単位に直すと、この山を中心に半径50キロ程度だということ。

つまり……

「ここ以外の情報はないってことか…」

『す、すまぬっ!役に立って見せるから捨てないでっ!!?』

やめろや!

俺がロクデナシの男みたいに聞こえるだろっ!!

「仕方ない。森の外から迂回して、そこから先を目指そう」

獣人達はこの山に守られている。

つまりここに用はないってことだ。

俺達は森の外、連邦側に転移して、旅を再開することに決めた。






『あれはなんなのじゃ!?』

コンは知らないモノを見つけるたびに聞いて来た。

「あれは馬車だな」

『あれは!?あれは!?』

「うっせぇな…あれは……砦だ」

コンとの旅ももう5日。

いい加減答えるのが面倒になってきたところで、遂に変化があった。

画像


「どうやら砦が必要な何かが、この先にあるみたいだな」

『セーナが言うておった、連邦の敵国かの?』

「そうだといいが、その前に俺達は身を隠さなくちゃな」

連邦は軍事国家だ。

そんな国家にとって重要だと思われる砦に、知らない奴が近づいて何もないわけがない。

海に程近い海岸線の街道を挟み、海とは反対側に岩場がある。

そこに隠れて転移して帰ることにした。

「夜にまた来るぞ」

『うぅ…妾は寝てても良いのじゃ?』

「俺だけに働かせるのか?わかった。これからはセーナにコンの面倒を見てもらうことにしよう」

『ひっ!それは嫌なのじゃ!!セーナは怖いのじゃ!!』

激しくモフモフされているからな……

コンには偶に聖奈の涎が付いていることがある。

恐らくコンを抱き抱えながらミラン達にコスプレをさせていたんだろう。

ぼっちの居場所はぼっちの傍なんだ。

いい加減気付け。

逃れられぬ運命に、俯いてしょげているコンを抱え、城へと転移した。






「過去の遺物の可能性もあるけど、その可能性よりは国境の可能性の方が高いよね」

城へと戻り聖奈に報告した後、今は夕食時でみんなと協議しながら、食事を頂いている。

「確かに過去のモノの可能性もあるな…」

大昔に、戦争の為に作ったものだったらまた空振りか……

「それよりもどんな形状だったの?」

「砦か…切り出した岩を組んで造られていたな。規模からしたらもしかしたら要塞なのかもしれない」

確か砦と要塞の違いは規模だったよな?

砦が出張所みたいなもので要塞は本丸だったかな。

「サイズは?」

「うーん。街道から向こう側が見えないくらいだったから、そこそこ大きいとは思うけど…発見したらすぐに近寄るのはやめたからな。正確なことはわからんな」

俺の進行方向で見ると、左手に高さ5m以上の崖があり海が広がっている。

逆に右手の方は行軍不可の岩場だった。

俺やライルなら跳びながら越えていける程度ではあったが、聖奈では移動不可だ。

砦までの道の幅は10m程。

砦は道幅よりも大きかったからそこそこの建物ではあるのだろう。

奥行きがわからんから何とも言えんが……

「じゃあ兎に角、夜にこっそりそこを越えてからだね。今夜はみんな起きて待っていようね!」

「わかりました」「はいですっ!」「仕方ねーな」『妾も待機が良かったのじゃ…』

約1名不服そうだが…無視だ。






夜になり転移魔法で砦付近へと戻ってきた俺は、暗視ゴーグルを使いまじまじと観察した。

「やはり見張りがいるな。連邦こっち方面でもいるってことは、反対は倍じゃきかない数の見張りがいそうだな」

『わ、妾は色白だから目立ってしまうのっ!足手纏いはいかん!城で待つとするゆえ送って『却下だ』…何故じゃ…』

コイツは自分を過小評価しすぎだな……

どう見てもお前強いだろ…まさか小さいサイズに慣れすぎて、弱者思考から抜け出せないのか?

んなアホな……

「コンは生まれてから戦ったことがないんだよな?」

『ば、馬鹿にするでないっ!!妾は神の使いぞっ!?』

「ん?じゃあ、あるのか?」

『……ない』

何の見栄だよ……

「お前は普通の大きさになればかなり強いぞ。少なくともその辺の兵が束になって掛かってきても、問題ないくらいにはな」

『そ、そうじゃったのか…』

俺には魔力視があるからな。

コイツが通常サイズに戻った時の魔力視に映った魔力は、爺さん(元師匠)が身体強化魔法を使っていた時に酷似していた。

つまり5mの普通(?)の狼の身体能力を、さらに少なくとも4倍した身体能力があるって話だ。

「それに俺達が見つかっては、何の為にコソコソとここまで来たのかわからんから、見つかる気はないしな」

俺はそう言うと、聖奈から預かってきたある物でコンの身を包んだ。

『何じゃ、これは?』

「ただの黒い布だ。これを巻いていれば向こうからは俺達が見えない。俺が何の為に真っ黒の服に着替えてきたのか考えなかったのか?」

『ダサいとは思うておったが…そんな意味があったとはのぅ……』

やっぱりこいつ捨ててこようかな?

俺はコンに布を雑に巻き付けて、落とさないようにキツく縛った。



そして……



『にゃっ!?真っ暗にゃっ!?ヒギッ!?』

乱雑に担ぐと闇に包まれた岩場を飛び跳ねるように移動した。

「黙ってないと舌を噛むぞ?」

ニャニャニャニャーーンもう遅いわッ!!」

何か言っているが……猫語は翻訳されないようだな。

砦は篝火が焚かれていて、ここからはっきりと見える。

夜の闇に不気味に照らされた砦を迂回するように闇の中を進んだ。







「ふぅ。ここまでくれば大丈夫だろう」

顔が割れないように覆っていた黒い布を剥ぎ取り、息を吐いた。

ここからも砦は見えるが、それは向こうが明るいからだ。

俺たちのように暗視ゴーグルでもあれば別だが、肉眼では捉えられないだろう。

「ん?おーい。生きてるか?」

気付いたらあれだけ騒がしかったネコ……じゃない、コンが静かになっていた。

不審に思い、首に巻いていた布を外して地面へと降ろした。

「…気を失ってやがる」

どうやら恐怖と揺れにより失神したようだ。

よかった。失禁じゃなくて……

そんなことを背中でされたら、本格的に捨てる自信しかないぞ……

「おい!着いたぞ!起きろ!」

ユサユサ

『はっ!?妾は一体…』

「寝ぼけているところ悪いが、先へ進むぞ」

こんな事で一々帰っていたら旅が一生終わらん。

俺は駄狐とは違い寿命がある、か弱い生き物なんだからなっ!

『な、何が……待ってくれぃ』

記憶まで無くしているとは……

まぁコイツにとっては全てが生まれて初めての体験だったから仕方ない…のか?

俺はコンが役に立つのか自信が無くなってきたが…まぁ一人旅よりはマシか!

と、思うことにした。


もちろん考え事をしていたコンポンコツ二号を待つことはなく、先へと進んだ。

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