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いつもどおりの日常
俺は一条葉太。白波高校に入学して1週間がたったばかりだ。吹奏楽部でフルートをやっている。
「葉太!新しい楽譜きたぞ」
放課後部室に向かっていると、友達が声を掛けてきた。
「まじか、早いな」
「ほんとそれ。練習始まったばっかなのに」
「な!」
「ミーティング始めまーす」
ーー少し遠くからそう聞こえてきた。
ミーティング中に入るのは地味に気まづい。
友達もそう思ったらしく、俺たちは顔を見合せて少し固まった。
「やべ」
「急ぐか!」
話を切り上げて、早歩きで部室に向かった。
部室である音楽室に入り、自分の席に着く。
まだミーティングは始まっていないみたいだ。
…よかった。ほっと息をついた。
数秒間をとって、部長が口を開いた。
「今日の予定はー」
ガチャ
「こんちはーっす!」
部室に、明るい声が軽く響いた。
入ってきたのは金髪で、ネクタイもしていない男。
ーーーサックスのやつか。
「おい、お前遅いぞw」
「またかよー!w」
「早く席ついて!」
サックスのやつは、部員に茶化されても気にせず笑っている。
「えー、そう?ごめんっ」
あいつ、見た目も謝り方もチャラいな。
俺がそう思うと同時に、部室に軽い笑いが広がった。
「えーあらためまして!ミーティングはじめます」
部長が場を仕切り直し、話の続きをし始めている。
「今日の予定は、いつもどおり、ミーティング終わったらパート練(楽器ごとの練習)して、18:15分までです。」
「あと、1ヶ月後のお披露目会で演奏する曲の楽譜が来たので、そこの練習をお願いします!」
「ミーティング終わりです!今日も頑張りましょう!」
「「「はい!」」」
みんなが一斉に返事をした。
空気が少し引き締まる。
「はー、楽器準備するか。」
さっとフルートを組み立て、パート部屋である3年A組に向かった。
「てか、フルートのパート部屋遠くね?」
移動中、同じフルートパートの大智に声をかける。
「それなー、!部屋割りした人、フルートのこと嫌い?もしかして……!俺のこと、嫌いだったりして?!」
「www被害妄想やばすぎ!
んなことないだろ。」
今日も大智のテンションは高い。
わいわい雑談しながら階段を上り、渡り廊下を渡る。
……やっとついた。
ほんとうに遠い。
3年A組のドアを開け、中に入る。
みんなで机を動かし、いつもの隊形を作った。
「じゃあ新しい楽譜くばるねー」
パートリーダーがみんなに声をかけた。
周りがちょっとザワついてるのを感じながら、俺も席について楽譜を待つ。
夏のコンクールの課題曲らしい。
「えっと、1stが花梨と私で、2ndが咲と
和佐ね。それでーー」
フルートは3つのパートに分かれていて、
それぞれ楽譜が配られる。
「3rdが、大智と葉太!」
心臓が、少し高鳴る。
おそるおそる配られた楽譜に目を通すと、
「うわぁ難そう。」
たくさんの音符で埋まった黒い譜面に思わず声が出た。
「まだまだあるよー!」
楽譜が次々と配られていく。
主にポップス系の楽譜が多い。
この量の曲を1ヶ月で仕上げるのか。
……大変そうだ。
でも、新しい曲が吹けると思うと自然と胸が弾んだ。
コメント
1件
あおいです🤍 第1話、ほっこりしながら読ませてもらいました! 吹奏楽部の、あの「まだミーティング始まってない…よかった」の空気感、すごくリアルで懐かしくなりました。金髪サックスのチャラい後輩が遅れて入ってくるシーン、一気に部室の空気が緩む感じが映像のように浮かびました。葉太くんの「パート部屋遠くね?」の何気ない愚痴とか、大智くんの過剰な反応とか、男子高校生の距離感が自然で好きです。 新しい楽譜を前に「難そう」と言いながらも胸が弾むラスト、青春だなあ…。1ヶ月後のお披露目会、楽しみにしてますね!