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「にしても全てが黒いこの景色、どうなっているんだろう。」
カムイもまた、部屋に帰り、先程見たものについて考えていた。
「テレビもなければ景色は真っ暗。まるで現実のものじゃない」
「現実のものじゃない…?」
「じゃあここはどこなんだ…?」
現実世界でないなら、浮かび上がるのは相対的に1つ。
「仮想空間…か…」
「でもどういう経緯でここに来た?」
「仮想空間なら現実の俺はどこだ?」
「そもそも俺ってどんな人物なんだ…?」
考えていると、カムイの頭にはとある声が再生された。
『ほら、もっと泣き喚きなさいよ。痛いものも痛いと言えないほどの馬鹿なの?あなたは。』
「???誰の声…なんだ?」
その途端、部屋に機械音が響き渡る。
プルルルル プルルルル
「電話…?一体誰がかけているんだ?」
一緒にいた4人の誰かだろうか。
そう思いながら受話器をとる。
すると聞こえてきたのは誰かの話し声。
『ひでーなあれ。』
『ね、ほんとかわいそー。』
『あいつもよくあれで懲りないよ。』
『私だったら病んで学校辞めるって。』
『あら、今日も来たの?』
『別に。休む理由ないし。』
『あらあら、馬鹿なのねあなたは。』
『休む理由なんて目の前にあるじゃない!』
その話し声の後、辺りは笑い声に包まれた。
その声をぼやっと聴いていると、いつの間にか受話器はツーツーと音を立てていた。
「なんなんだ…?今の電話は…。」
確かに受話器から聞こえた声だが、どう考えてもそれは電話ではなかった。
なにかの録音なのだろうか?
でも電話から録音が聞こえるなんて有り得るのだろうか。
「いや……。」
有り得るのかもしれないのだろうか。
なぜならここは、“現実ではない世界”なのだろうから。
「……」
しばらく考えたのち、ゆっくりと口を開き呟いた。
「美亜のところにでも行くか。」
他の3人ならともかく、美亜は馬鹿だからこの世界のことわかっていないだろう。
だったら伝えに行くべきだ。
そうすれば、自分も気分転換になる。
「美亜」
美亜の部屋のドアを開け、呼びかける。
ただ…
「美亜?寝てるのか?」
美亜はピクリともせずベッドで横になっている。
「夜な訳でもないのに…」
壁にかかっている時計は3を指している。
夜どころか夕方にもなっていない。
「美亜、起きろ」
体を揺さぶってみるも、全く反応がない。
「美亜……?」