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「家賃? 大丈夫に決まってるでしょ? あなたと一緒にしないで。私には援助してくれる人もたくさんいるのよ。あなたも、こんな暮らししかできないようじゃ可哀想だから、家賃を払ってくれる男性でも見つけなさい」
「本当に……私は今の生活に満足してるの。家賃くらい自分で払えるから」
「無理しちゃって。でもまあ、琴音が彼氏を作るのは難しいでしょうからね」
余計なお世話だと思った。
姉さんこそ特定の男性はいるのだろうか?
何だか色々無理してる気がして心配になる。
涼香姉さんと私は……
本当の姉妹ではない。
子どもの頃、私はお母さんに連れられて、桜木の家に入った。
最初は、お姉さんができたことがすごく嬉しかった。だけど、そう思っていたのは私だけだった。
お父さんと涼香姉さんはすごく仲良しだったから、私達が入ってきたことがおもしろくなかったようで、だんだんとイヤミを言ったり、変なマウントを取ったりするようになって……
たぶん、きっと、姉さんは悪い人じゃない。
それはわかる。
でも、仲良くしたくて何度も歩み寄ろうとしたけれど、何だか最近は相手をする度に落ち込むことが多くなってきて……
「ごめん、涼香姉さん。私、そろそろ出かけないと。約束があるの」
嘘をつくのは嫌なのに、また……
こんなことの繰り返しで自己嫌悪に陥る。
「そうね、じゃあまた来るわ。私も今日はフレンチの予約があるの。2万円のコースをいただくのよ、楽しみだわ。琴音、お仕事大変でしょうけど頑張ってね」
「あっ、うん、ありがとう。涼香姉さんも……」
2万円のコース、そんなの今の私には何の興味もない。
嬉しそうにブランドのバッグを持ち、香水の匂いを振りまいて、涼香姉さんはさっさと部屋を出ていった。
いったいいつまで続くのだろうか、この不毛なやり取りは。私達は、もう、普通の姉妹として仲良くすることはできないのだろうか?
私は、ため息をついたあと、完全に冷めてしまったミルクティーにようやく口をつけた。