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※作者の都合上アニメの内容を中心として話が展開されていきます。
キャラ崩壊が多いです。
目が覚めると俺は沢山の札がびっしりと張られた部屋に、両手両足を地面と鎖で繋ぎ止められ拘束されていた。
この部屋はたしか…五条先生と宿儺の指の器である俺の処遇について話した部屋だったな。
どうして今ここにいるんだろうか。
さっきまで俺渋谷にいたよな…。
真人と戦ってたはず…
あ、これもしかして走馬灯ってやつだったり…?
俺死んだのか…?
…
いやいや、死んでるわけ…
いや俺は死んでた方がいいな
俺が死ねば宿儺が祓える
……
あー
死ぬならさっさと死んでくんねぇかな…
こうも長い時間走馬灯見せられてるとそろそろ泣きたくなってくるんだけど…
「おっ!目が覚めてるみたいだね」
懐かしい声が聞こえてきて俺は声の主がいる方向を見た。
逆だった特徴的な白色の髪にアイマスク、そしてなによりこの声。
五条「君、だいぶ寝てたみたいだけど調子どう?」
虎杖「…」
声が出なかった。
出せなかった。
どうして封印されたはずの五条先生がいるのか。これは現実なのか、それとも俺が都合よく見ているだけの夢なのか。
区別がつかない。でも…それでもただ一つ。
真実はあった。
俺に目の前には今、五条先生がいる。
奪われていない、正真正銘の五条悟が目の前にいる。
五条「どうしたの?僕のことをそんなに見つめて?」
五条「GLGの僕に見惚れちゃってたりする?」
五条「おーい?聞いてるーー?」
俺が反応するよりも先に五条先生は慌てたように俺に近づいてきた。
五条「もしかして…どこか痛かったりする!?」
俺は首を横に振る。
五条「それとも僕の顔が見えなくて怖いとかっ!?」
俺はまたも首を横に振る。
五条「僕がイケメンすぎて困ってるとかっ!?」
虎杖「ふはっw」
五条「えっ!?」
虎杖「ふはっあははははっww」
虎杖「五条先生wそのじょーだんはないってww」
五条「いやいや…君が泣いてたから……」
虎杖「ははっ…えっ?w」
五条先生が俺の目元に手を伸ばしていつの間にか流れていた涙を拭いてくれる。
ここで踏ん切りをつけないときっと俺はこの先へ進めない。
五条先生が俺を覗き込みながら「大丈夫?」と心配してくれる。
変わらないこの人はいつもどこか寂しそうで、それでも前に進み続けようとしている。
そんな五条先生を見てふと思った。
きっと俺は過去に戻ったんだろう。
なぜそう思ったのかはわからない。直感的にそう感じた。
でも過去に戻るなんて夢物語だ。
だから…これが夢でもいい、走馬灯でもいい。
この世界でだけは……何も失いたくない。
虎杖「五条先生…」
五条「なに?」
虎杖「俺…宿儺と一緒に死ぬよ」
五条「……」
五条「それは…器だから?」
虎杖「……」
虎杖「…変なこと言ってもいい?」
五条「いいよ」
虎杖「俺…たぶん未来から来たんだ」
その後色々と話をした。
五条先生は俺の話に終始顔を凍らせながらも聞いてくれた。
五条「…そう、大変だったね」
虎杖「だから…この世界では失いたくない、みんなを救いたい」
虎杖「俺が指を全部喰って死ねばきっと…」
五条「ねぇ悠仁」
五条「それじゃあ君は救われない」
五条「悠仁の言うみんなを救うには君自身も含まれていないとみんなとは言えないよ」
虎杖「でも……俺が生きてたせいで………」
五条「悠仁」
俺は五条先生を見る。今まで何度も見てきた。真っ直ぐ俺を見る表情をしていた。
この顔は絶対に諦めない顔だ。
五条「僕が宿儺のことはどうにかする、だから悠仁は死ぬなんて言わないで」
虎杖「…でも___」
五条「悠仁!」
虎杖「…」
五条「わかった?返事は“はい”or“YES”」
五条「それ以外は認めないよ」
虎杖「…それ、俺に拒否権ないじゃん……」
五条「決まってるでしょー?」
五条「君の話だと悠仁は僕の生徒なんだから」
虎杖「てか、五条先生俺の話信じてくれんの?」
五条先生は少し間を空けてから話し出した。
五条「そりゃあ信じ難い話ではあるけど、悠仁と話してるとなんだか懐かしいような気がしてね」
五条「それと話しててわかるよ、悠仁は素直で優しい子だから絶対嘘は吐かないって」
五条先生はそう言い終えると俺の背後に回って両手両足の鎖を取ってくれた。
五条「悠仁、僕は上に悠仁のこと報告しなきゃいけないから少し空けるね」
その言葉を聞いて俺は頭がフリーズした。
虎杖「え?」
五条「ん?」
…
虎杖「五条先生俺が指食って暴走したとか話聞いた後にそんなすんなり俺のこと解放しちゃっていいの!?」
虎杖「しかも高専側に許可もら…ってか報告すらしてないのに!?」
五条「んーまぁ大丈夫でしょ」
五条「僕、最強だから」
虎杖「いやいや…それはいくらなんでも……」
五条「ゆーじ?」
俺は五条先生を見つめる。
五条「何がなんでも悠仁のことは上に納得させる…というか悠仁の記憶の中の僕は多分無理に押し通してたと思うよ」
虎杖「えっ!そうなの!?」
五条「多分ね、まぁそういうことだからちょっと待っててね悠仁」
そう言い残すと五条先生は目の前から消えてしまった。
状況が飲み込めず放心状態の俺に誰かが声をかける。
「ケヒッ、相変わらず間抜け面だな小僧」
この声は……
虎杖「宿儺…?」
俺がそう声を漏らすとケヒケヒと笑い声が聞こえてくる。
宿儺「なんだ小僧、もう俺を忘れたのか?」
虎杖「…」
俺は頬に浮かび上がる口と目を睨む。
宿儺「そう警戒するな、今の俺はお前に害を加える気はない」
虎杖「じゃあ何しに出てきたんだよ」
虎杖「普段のお前なら出てこないはずだろ」
宿儺「…今は機嫌がいい教えてやろう」
宿儺「この世界はお前が想像しているような世界そのものだ」
宿儺「つまり、過去に戻って逆行している状態だ」
宿儺が言っていることが真実かどうかなんて俺にはわからない。
でも、聞くだけの価値はあると思った。俺と同じ…前世の記憶持ちとして。
虎杖「…それで?」
宿儺「前とは違う結末が見たくなった」
虎杖「……は?」
俺は思わず宿儺の言っていることに拍子抜けした。
こいつのせいで犠牲なった人がたくさんいると言うのに何を呑気に言ってるんだ…
違う結末もなにもお前のせいであの世界が生まれたんだろうが……
宿儺「前回は俺が鏖殺して逆行した」
宿儺「六眼と話していてわかっただろう?俺とお前以外は記憶がない」
宿儺「つまり…逆行の原因は俺かお前になる」
逆行の原因が俺か宿儺…?
虎杖「ちょっと待て?なんで俺か宿儺なん?」
宿儺「はー…少しは頭を使え小僧」
宿儺が相変わらず気怠そうな声で溜息を吐く。
そして呆れたように話し始めた。
宿儺「逆行というものの意味を理解しているか?」
虎杖「過去に戻ることじゃねぇの?」
宿儺「大雑把に言えばそうだ、だが少し違う」
宿儺「逆行というものは時の流れに逆らうことだ」
宿儺「つまり記憶が残っているのは異常……この世界に不適応な異物とでも言うべきか」
虎杖「で…その異物が俺たちってこと?」
宿儺「そうだ、そうじゃなければ記憶なんて存在しないだろう」
虎杖「……」
宿儺「珍しく冷静だな小僧」
虎杖「いや…お前が素直なことに驚いてるけどそれよりも過去に戻ってるなら本当に未来を変えられるのかもしれないなって思っただけ」
宿儺「如何にも小僧らしいな」
虎杖「いやだってお前のせいで何人死んだと思ってんだよ」
宿儺「それもそうか」
虎杖「だから今度こそ______」
俺の言葉を遮って宿儺が声を上げた。
宿儺「おい六眼、いつまで黙って見ているつもりだ」
宿儺はそう言ってドアを見た。
俺も宿儺に釣られてドアの方を見る。
すると五条先生が顔をひょっこりと覗かせた。
五条「バレたー?」
虎杖「五条先生っ!?いつの間に帰ってきたん!?」
五条「ついさっきだよー」
宿儺「戯け、最初から聞いておったであろう…」
虎杖「えっ!?」
宿儺「まぁいい…興が醒めた、話はここまでだ小僧」
虎杖「はっ?おい…おい宿儺っ!?」
俺の声を無視して宿儺は自身の生得領域に籠ってしまった。
五条「やっぱりあの両面宿儺にはバレるかー」
虎杖「五条先生……結果はどうだったん?」
五条「全然おっけー!悠仁の言ってた条件付けたらすぐに引いてくれたよー」
俺が言ってたっていうか…元々は五条先生がやってくれたんだけどね……
五条「じゃあそういうことね」
五条「特に話すこともないようならこのまま高専に行こうと思うけど悠仁から僕に伝えたいことってある?」
虎杖「あのさ…五条先生」
虎杖「俺の記憶のことってどうするべきだと思う…?」
五条「あぁそっか悠仁は記憶があるから今後の展開も大体わかるんだもんね」
五条「なるべく上層部にはバレないようにしたいかな」
五条先生はしばらく考えるような素振りをしてから俺を見て答えてくれた。
五条「僕としては悠仁が伝えてもいいと思う人にだけなら記憶のことを伝えてもいいと思うよ」
五条「だって悠仁が僕に教えてくれたのは僕が信頼できるって知ってたから教えてくれたんでしょ?」
五条「なら、悠仁が信頼できる人にだけ教えて協力を得ることはいいことだと思うよ」
虎杖「…」
今の俺では力不足なところがあることはわかっている。
だからこそ誰かの協力を得ることが大切だということも。
でも…前のみんなは俺を救うために……
順平…ナナミン…釘崎……
他にもたくさんの人を救えなかった。
俺のせいで…俺が宿儺と生きているせいで殺してしまった。
俺はもう人を頼って悲惨な末路を迎えることはしたくない。
虎杖「うん、ありがと五条先生」
五条「いいっていいって!悠仁はもっと僕を頼ってくれていいんだよー?」
これからよろしく…は、おかしいか。
なら……
虎杖「これからもよろしく五条先生!」
そう言うと五条先生は嬉しそうに頬を緩ませて応えた。
五条「この五条悟にまっかせなさーい!」
そうして俺は五条先生と高専へ向かった。
久々に見る高専の校舎で伏黒に再開した。
伏黒「虎杖!!」
俺を見るなり伏黒は走ってきて俺を抱きしめた。
伏黒は俺に抱きついたまま顔を俺の胸に埋めてしまう。
虎杖「おー伏黒?どったん?」
俺は走ってきた伏黒の勢いを相殺して伏黒の顔を覗き込む。
伏黒「無事でよかった…」
五条「恵がそんなに熱烈なの初めて見たよー」
伏黒は顔をひょっこりと上げていつのまにか俺の背後に立っていた五条先生を見る。
伏黒「……いつからいたんですか」
五条「ついさっき」
そう言った五条先生の言葉に間髪入れず声が響く。
宿儺「戯け、何度嘘を吐けば気が済むのだ貴様は」
俺の頬から宿儺が話し出す。
五条「ちょっと宿儺?僕の株を下げるようなこと言わないでくれるかなー?」
宿儺「事実だろう」
二人の会話に呆れる。
宿儺が声を上げてから伏黒がカタカタと震えている、と思ったら急に伏黒が俺の頬を両手で挟んだ。
伏黒「虎杖お前っ宿儺に何もされてないよな…!?」
伏黒が真剣な目で見てくるものだから少し驚いてしまう。
宿儺「何を勘違いしておる伏黒恵、俺は今世で小僧に手を出さんと自らに縛りをかけておる」
宿儺「故に、小僧になにかするということはない」
宿儺がフォローを入れる。
伏黒「お前の言葉は信用できない」
伏黒「本当に…何もされてないのか虎杖?」
不安そうな子鹿のような瞳で見つめられる。
虎杖「なにもされてねーよ」
虎杖「あとコイツの言う通り宿儺は今俺に手出しできねーから」
俺がそう言うと伏黒は安堵したように肩を落とした。
と、同時に俺を睨む。
俺は伏黒に睨まれるような行いをしただろうか。
そう頭の中で言葉が刹那の間通過していく。
伏黒「なんで宿儺の指をあの時躊躇うことなく食った?」
目は口ほどに物を言うという意味がわかった気がする。
伏黒は俺を心配してくれているのだ。
睨んでいるとはいえその瞳の奥には不安定な黒が渦巻いているのが見えたような気がした。
虎杖「え?伏黒を助けたかったからだけど…?」
素直にありのままを答えた。
伏黒はため息をつき俺から離れる。
頭を抱えたかと思えば急に右腕を上げた。
そしてそのまま上げられた上で俺の頭へ向かって垂直に振り下ろされた。
直後バチンという音と軽い衝撃が全身に響いた。
虎杖「ちょっ!?何すんだよ伏黒!?」
俺は叩かれた頭を押さえながら伏黒を見る。
伏黒は清々しいほどの顔で「馬鹿杖」と言った。
五条「さぁーて御面会も済んだことだし!このまま最後の一年生を迎えに行こっか!」
いつも通りの陽気な五条先生の声。
伏黒は俺のフードを引っ張りながら俺の背後にいるであろう五条先生の元へと歩いていく。
俺は伏黒に連行されるがまま引っ張られて行った。