テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
もあ
44
鬼霧宗作
50
#復讐
りう。
45
さぶれ-SABURE-
1,239
喉がひくっと引き攣れて、鼻の奥がツンとする。
滲んだ視界でも、グウェンダルが近づいてくることはわかった。たくましい腕に抱き締められて嗚咽がこぼれる。
「正直を言うと、最初はメリーティアの言動を不審に思った。意味がわからなくて頭を抱えたくなったこともある。けれどもういい。君が私の腕の中にいるから、もういいんだ。話したくないなら話さなくていいし、話して楽になるなら私がすべて受け止めよう。君が悪魔だってかまわない。共に堕ちる覚悟はできている」
(堕ちるのはわたしだけでよかったのに)
そう思いながらも、気づけばメリーティアはこれまでのことをグウェンダルに話していた。
前回、彼の身に降りかかった理不尽も、メリーティアが死んでからニルス神と邂逅するまでのことも含め、ほとんどを。
グウェンダルは黙って耳を傾け、時折、言葉を詰まらせるメリーティアの背中を優しく撫でてくれた。
「あなたのことを疑ってごめんなさいっ、処刑を止められなくてごめんなさいっ、あなたとの赤ちゃんを守れなくて、……ごめんなさい……っ」
グウェンダルの背中に両手を回してしがみつく。
ずっとずっと彼に謝りたかった。
でも今のグウェンダルは何も知らないから、謝っても仕方がないと悔恨を胸に抱いていた。
ひとつでも違う行動をしていれば全部防げたかもしれないのに、何もできなかったあの頃の自分に無性に腹が立つ。
本当はグウェンダルに合わせる顔がなかった。
自分にまだ、彼と未来を紡ぐ資格があるのだろうか。
「……つらい思いをさせた。私は、君を守ることができなかったんだな」
抱き締める腕に力がこもって、胸が苦しい。
「…………信じて、くれるの? わたしの頭がおかしいって思わないの……?」
「思わない。思わないよ。小さなメリーティアが教えてくれただろう。ニルス様が悪夢を消してくださったって」
子どもを宥めるように背中を撫でられていると、だんだんと落ち着いてくる。
グウェンダルに秘密を打ち明けたことで、心がすっきりしていた。
「あなたも、何か困ったことがあったらニルス様にお願いするといいわ」
「ああ、そうしよう」
小さく笑う声が聞こえたあと、そっと身体が離れる。
涙で濡れた目じりを指で拭われ、顔を覗き込まれた。沈痛な面持ちのグウェンダルを見上げると、泣いたせいで熱くなった頬を優しく撫で回される。
「自分を犠牲にしたのは、君も同じだな」
「……あなたのことを愛してるから……。グウェンダル、今も愛しているの」
「私も愛している。私を守ろうとしてくれた君の気持ちはうれしいよ。ありがとう。もうじゅうぶん君はがんばった。だからこれからは私に君を守らせてくれ、メリーティア」
顔が近づいてくることに気がつき、メリーティアはそっと睫毛を伏せた。
唇が重ねられ、その優しい触れ方にまた涙が溢れてしまう。
幾度も角度を変えて口づけられ、ふ、と熱い息がこぼれた。
その隙間から舌が入り込み、粘膜を擦り合わされる。
ずっとこうしていたい、と思ってしまうくらい心地いいキスだった。
大きな手が背中に回され、ベッドに押し倒される。口づけを交わしながら身体中を優しく撫でられ、そのまま身を任せてしまいたくなった。
けれど、メリーティアはグウェンダルの身体を軽く押し返す。
「……だめよ。わたしの身体は穢れているの」
毎夜離宮でグウェンダルも聞かされていたはずだ。
そしてメリーティアの身体を貪ったのはケイリクスだけではない。
この身体がどれだけ穢れているか知らないはずがないのに、どうして触れようと思えるのだろうか。
自分の身体を抱き締めて二の腕に爪を立てるメリーティアを見下ろし、グウェンダルは奥歯を噛み締めていた。
「汚くなんかない。君が気にするなら、私が上から塗りつぶしてやる」
グウェンダルはメリーティアが拒めないように後ろから抱き込む体勢にすると、ナイトドレスを脱がせてくる。
それから肩や背中、うなじにキスをして、全身余すところなく触れていった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!