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「俺、うぬぼれてもいいの?」
太一くんの言葉が、田中くんが去って2人っきりになった静かな部屋に響いて溶けていく。
想像もしていなかった事態に、一度火花を散らしてショートした思考回路は完全に考えることを放棄していて、まるで壊れたラジオみたいに彼が言った言葉だけをエンドレスに再生する。
……今、何が起きているの?
追いつかない。なにもかも。
ズレたマスクを元の位置へと戻してくれた太一くんの手はまだそこにあって、まだ放心状態から覚醒していない私の頬をすっぽりと包み込んだ。
マスク越しでも分かるほど熱い手に身体が震え、伝わるぬくもりに視界が滲む。
「……違うのなら逃げて」
「ッ」
”逃げて”だなんて……。
もう分かってるんでしょ?
私がそうしないことを。そんなこと出来ないことを。
だって、ほんの一瞬視線が絡むだけで、心臓が自分ものじゃないみたいに急加速して苦しくなるの。
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