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短編「閻魔の安堵」
閻魔の執務室。
部下が資料を整理していると、閻魔が静かに口を開いた。
「時々考えるんじゃ。」
部下は顔を上げる。
「何をですか?」
閻魔は窓の外を眺めながら答えた。
「もし、あの時。」
「古流斬が酒呑童子側についていたら、と。」
部下の表情が固まる。
閻魔は静かに続ける。
「酒呑童子の強さ。」
「古流斬の才能。」
「あの二人が手を組んでいたら……地獄どころの話では済まん。」
「現世も滅びていたじゃろう。」
部下は息をのむ。
「そんなにですか……。」
「ああ。」
閻魔は迷いなく頷く。
「何なら神々にとっても脅威になっていた。」
「傲慢以上に恐ろしい存在になっていたじゃろう。」
「古流斬は人間じゃ。」
「だからこそ成長に限界が見えん。」
「世界の理すら超え、自ら能力の性質を変えてしまった。」
「そんな存在が悪へ染まれば、誰にも止められん。」
部下は恐る恐る尋ねる。
「ですが、実際は……。」
閻魔は微笑んだ。
「ああ。」
「結果的に、あやつはこちら側へ来てくれた。」
「しかも根は優しい。」
「困っている者を放っておけん。」
「力があっても、それを誇示せん。」
「だからこそ、安心して背中を任せられる。」
閻魔は少し笑う。
「もし古流斬に善性がなかったら。」
「もし命を軽く見る人間だったら。」
「わしでも止められる自信はない。」
部下は静かに頷いた。
「……英雄だから世界を救ったのではない。」
閻魔は首を横に振る。
「違う。」
「優しい人間だったから、英雄になれたんじゃ。」
執務室は静まり返る。
閻魔は最後に小さく呟いた。
「本当に。」
「あやつが味方で良かった。」
#衝撃のラスト
山根利広
506
#バイオハザード
SOMAMON7A
159
にょーん
250
コメント
1件
第132話、「閻魔の安堵」、読了しました……。 閻魔様があそこまで古流斬くんのことを評価してるのが、何よりの布石って感じで胸に来ました。 「優しい人間だったから英雄になれた」って言葉、すごく好きです。 もしものパラレルに触れることで、逆に今の古流斬くんの「善性」が際立ってるなあって。 それに、作者さんご自身が作品内でそう語られるのって、ちょっとメタっぽくておもしろいなって思いました。 地獄の重い空気の中に、あたたかい信頼が滲んでる回でした……🥀🤍