走馬灯を見ている
ボクには丁度いいしょぼさ
“最期くらい”と期待したけど
ボクが今まで見てきた
何気ない風景が蘇る
ボクを見下す木々
可愛い顔で嘲笑う花々
ボクを呑み込もうとする波
ボクを押し潰そうとする綺麗な空
そして
落ちる君
「しょぼい人生だったな~」
そんな事を言いながら
キミは笑顔だった
鈍い音が響いた
落ちながら靡いた白のワンピースは
赤く染まった
ボクは階段を駆け下りて
キミの顔を見た
真っ赤に染まる笑顔に
ボクは裏切られた気がした
キミはボクから逃げた
“ずっと”
“一生”
“永遠”
その言葉の意味を
温かいキミに求めた
ワタシがボクになったのは
キミのお陰だった
ボクを認めてくれたのは
キミだけだった
ワタシは愛されていた
ボクは孤独だった
だけど”キミ”も孤独だった
ボクの求めを無視して
キミはコオリになった
ボクはコオリを抱えて
階段を上る
綺麗な空を睨みながら
ワタシは落ちる
ワタシは今落ちている
コオリを抱きながら