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女装男子は恋したい5
「……帰る?」
隼斗が聞く。
でも手は離さない。
胸に顔埋めたまま小さく首を振る。
「もうちょっと、一緒にいたい」
消えそうな声。
でもちゃんと届く。
隼斗の喉がごくっと鳴る。
「……やば」
小さく笑う。
「今それ言う?」
顔を少しだけ上げる。
まだ赤い。
でも目は真っ直ぐ。
「どこ行く?」
隼斗が少し考えて。
ふっと笑う。
「人少ないとこ」
意味深じゃない。
ちゃんと優しいやつ。
駅から少し歩く。
川沿いの遊歩道。
夜風、少し冷たい。
街灯がぽつぽつ。
人、ほとんどいない。
静か。
隼斗が立ち止まる。
手は繋いだまま。
「改めて」
向き合う。
距離、近い。
でもさっきより落ち着いてる。
「彼女なんだよな」
確認みたいに言う。
少し照れて。
でも逃げない。
「……うん」
今度はちゃんと目を見て言える。
隼斗の顔が、ゆるむ。
心から嬉しそう。
「じゃあさ」
一歩近づく。
「ちゃんとデートしよ」
「今もデートじゃん」
「違う」
少しだけ低い声。
「恋人として」
胸がぎゅってなる。
隼斗が、絡めた指をぎゅっと握る。
「手、繋ぐのも遠慮しない」
「嫉妬も隠さない」
「好きもちゃんと言う」
真っ直ぐ。
「俺、ちゃんと独占する」
どきん。
風が吹く。
髪が揺れる。
隼斗がそっと整えてくれる。
その指先が優しい。
「……柔太朗」
名前を呼ぶ。
甘い。
「もう一回だけ」
さっきより少し低い声。
「キスしていい?」
夜の川沿い。
静かな空気。
断る理由、ない。
隼斗の問いかけのあと。
静かな夜。
川の水音だけが、ゆっくり流れてる。
でも。
さっきは“許した”だけ。
今度は——
自分の意思。
ゆっくり、一歩近づく。
隼斗が少しだけ目を見開く。
でも動かない。
選ぶのを、待ってる。
距離、あと少し。
息が混ざる。
「……隼斗くん」
小さく呼ぶ。
それだけで、隼斗の喉が動く。
すこし背伸びをする
一瞬だけ迷う。
でも逃げない。
そっと。
自分から、触れる。
やわらかいキス。
さっきより、少しだけ長い。
触れて、離れようとした瞬間——
隼斗の手が、後ろに回る。
強くない。
でも、引き寄せる。
「……やばい」
唇が離れたあと、低く漏れる声。
「自分から来るの反則」
顔が一気に熱くなる。
でも今度は隠れない。
ちゃんと見つめる。
隼斗の目、完全に甘い。
「好き」
ぽつり。
自然に落ちる言葉。
「ほんとに」
そのまま、額が触れる。
「俺の彼女、可愛すぎ」
柔太朗の指が、隼斗の服をぎゅっと掴む。
「隼斗くんも」
小さく返す。
「ずるいくらい優しい」
夜風が吹く。
でも二人の距離は、ゼロ。
隼斗が少しだけ笑う。
「今日、帰したくない」
冗談みたいに言う。
でも声は本気混じり。
「でもちゃんと帰す」
優しく。
「大事にしたいから」
その言葉が、胸にしみる。
手を繋いだまま。
ゆっくり歩き出す。
指、絡めたまま。
もう、ただのレンタルじゃない。
本物の恋人。
コメント
2件
ヤバい、普通にイイ話すぎで涙で文章読めなかった、😭